慶應大学法学部 2013年小論文の問題の解説。

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慶應大学 法学部 小論文問題解説 2013年


このページのテキストを深く理解しやすくなりますので、以下の動画をご覧頂くことをおすすめします。

 

~リーダーシップを学ぶ動画~


再生速度: 

こんにちは。
ディジシステムの牛山です。


今日は、慶應大学法学部の解説します。この問題は、簡単なように思えて、かなりディープですよ。


目次

1.権限論や浅いリーダーシップ論で済ませない
2.司法行政立法
3.組織論及び、リーダーシップ論、及び国政論
4.現政権の特徴(官僚への歩み寄り)
5.国政の在り方と沈む日本


さて、かなりディープな内容の為、メルマガに書くべきことと 書くべきではないことがあります。

そこの見極めを行いつつ、書いていきましょう。

日本の政治が構造的に抱える問題点については各自勉強していくといいでしょう。他国との比較などを通せばより学びも深まるかと思います。


【1】表面的には簡単に見える?


今回の問題を簡単だと思ってしまった 人もいるかもしれません。

今回の問題は要するに単なるリーダー シップの話でしょう?というのは、か なりまずい考え方です。

この問題は、日本の政治の根本的な部 分、極めて根深い部分の問題だという ことに、意識が回らないと、まったく 出題意図が分からなくなってしまいます。

この問題の意味が分からなかった人に は、簡単に見えるかもしれませんが、 出題者の真意がわかった人には極めて 難しく感じる でしょう。


【2】浅いリーダーシップ論で済ませない


 

今回の問題を、法的な権限論や、広義 の浅いリーダーシップ論で済ませない ことが大切です。

問題を解くときには、いつも言ってい ますが、出題意図を見抜くことが大切 です。そうしなければ、トンチンカン なことを書いてしまいますからね。

今回の2013年度の法学部の問題 は、日本の政治が抱える中核的な問題 を扱っています。

官僚主導と言われる政治についての問 題です。

これは動画講義ではないので、ここに 深く踏み込むのはやめておきます。

問題文を見てみましょう。

内閣制度発足当初の状況の資料ですね。 日本に初めて本格的な政府ができた当 時の組織状況、政治の在り方について の詳細な内容と問題点が書かれています。

これは・・・

つまり、一言化すると、『政官の在り方』です。

資料をもう一度見てみましょう。

大政官制の、政治と政官の在り方につ いて書かれています。

リーダーシップというのは、この政官 を含めた国政をどのように行っていく べきなのかについての、リーダーシッ プだという認識が大切です。


【3】三権分立


日本の政治が三権分立の体制をとって いることは、皆さんよくご存じですね。

司法、行政、立法の3つです。

今回はこの視点で、日本の政治を見て いくことが大切です。

日本の政治をもっと言えば、組織論、 リーダーシップ論、国政論の観点から 見ていくことが大事になってきます。

(私がディープと言ったのは、このあ たりに踏み込むからではなく日本の政 治が抱えている問題の中核に関与する 問題だからです。)


【4】組織論及び、リーダーシップ論、及び国政論


組織論というのは、簡単に言うと、組 織をうまく運用させる為の言説です。

リーダーシップ論というのは、組織に おいてリーダーがどのように働きかけ ることでより良い状況が生まれるかに ついての言説です。

国政論は説明の必要はありませんね。
今回の問題はこれらを総合的に考える 必要があります。

今回の問題は、安倍政権が、官僚主導 の政治を批判し、政治主導の政治へと かじ取りを進めすぎた過去の失敗をど のように今後取り戻すのかについての、 考察をさせる問題でもあるんですね。

その論点で書かなければならないわけ ではありませんが、書くことができて いれば、評価も高くなっていたかもし れません。

私が拙著慶應大学小論文合格バイブル で推薦図書として記載していた本を読 んでいた人は、かなり書きやすかった のではないかと思います。


【5】現政権の特徴(官僚への歩み寄り)


 

現政権の特徴は、官僚への歩み寄りを 安倍政権が行っていることです。

まあ、これは民主党政権の大失敗から 学んだと言えるかもしれませんが、行 政側との対立関係がひどくなると、行 政が滞り、結局は良い政治を行いにく くなる構図があるんですね。

このような問題を実態ベースでどのよ うに見るのか?というリアルな問題が、 今回の出題ではテーマになっています。

リーダーシップというのは、エラそう にするということではありません。

~強いリーダーシップの意味をはき違えない~

リーダーシップというのは、より良い 影響力を与えることであり、場合によ っては笑うことであったり、頭を下げ ることでリーダーシップを発揮するこ ともあります。

今回のケースでは、政治主導の在り方 そのものを広義のリーダーシップと捉 えているという認識が大切です。

一般的にはリーダーシップと言うと、 えばったり、偉そうにして、ついてこ させるイメージがあるかもしれません が、組織論の世界では、様々なリーダ ーシップが説かれています。

とりわけ今回の入試問題については、 安倍政権が今回の政権で有している官 僚への歩み寄りも含めた行政面への内 閣のアプローチそのものを総合的に見 た場合のリーダーシップをどのように 考えるべきなのか?

この点について、自分なりに問いを立 てることが大切です。

課題文は、二項対立ではありませんが、 その中心テーマが政官の在り方ですか ら、必然的に自分が問いを立てるとし ても、この部分について、問いを設定 していく必要があるわけです。

※問題文の ふまえて の文字に注目。


【6】設問の最初の要求は?


 

設問の最初の要求は、当時の内閣制度 が抱えていた問題点を300文字程度 にまとめることでしたね。

どんな問題を抱えていたかというと、 内閣制度創設黎明期の政官のあり方に おいて、諸大臣が各省の利益を代表す るという側面が肥大化しつつあり、弊 害を生む可能性があったという下りの 部分です。

どういうことかと言うと、各省の利権 と利益を大きくするように動かざるを 得なくなっていく組織上の問題があっ たということです。

このような構図が明らかであり、かつ 強力なケースにおいてはどんなリーダ ーシップが大事なのか?

調整役となるリーダーシップの発揮の 仕方が必然的に求められたわけですね。

何が問題なのか?というと、ここから が、まとめる力が求められるところな のですが、利権の構造が生まれる仕組 みそのものであり、同時に、リーダー シップを発揮できなくなる仕組み、そ の結果、国民に対して理想的な政治を 行うことができなくなる仕組み、ここ が問題なんですね。

今私たちが生きているこの日本におい ても、この構図は変わりません。無関 係な話ではまったくありませんよ。

 


【7】国政の在り方と沈みゆく日本


 

現行の政官の在り方にに関して、安倍 政権について、どのように評価したり、 考察することができるかは、日ごろの 問題意識のレベルによります。

今日本がどういう状況にあるのか?

安倍ノミクスと言われる経済政策にど んな意味があり、どのようなリスクが あるのか?

ここで書くべきことと書くべきではな いことがあるように思います。

メールマガジンには書きにくいことも あります。また機会があれば、部分的 にメルマガに書くこともあるかもしれ ません。

さて、今日はざっくりした解説でした がいかがだったでしょうか。今回の問 題のように、慶應大学の小論文試験は、 とにかくハイレベルな答案を書こうと 思ったら飛び跳ねて強烈に良い答案を 書くことができるケースも珍しくはあ りません。

これが、慶應大学の受験が減点方式で はないところなんです。

試験は正解と不正解があり、常に減点 方式で採点されていると思っている人 もいるかもしれませんが、そんなこと はありません。

素晴らしく良く書けているのであれば、 大きく加点されるイメージが大切。

最初から大きく飛び抜けることができ るように勉強を進めていくことが大切 です。

 


【8】深く理解する


 

今日お話しした内容について、過去問 題の解説については、慶應クラスでさ らにより一層詳しくお話をしていき、 メルマガには書けないことについても、 お話ができるかと思います。

政治主導なのか、そうではないのか、

今をどう捉えるべきなのか、何が重要 な前提なのか、そして、何が可能なの か?(私たちの国を変える為に)

これが、リアルにイメージできれば、 クルクルと結論が変わっていく様を頭 の中にイメージできるようになります。

論理とは何か、単に頭に思いついたこ とを書く作文のようにならないように。

そして、知識を吐き出して、それが正 解だと思わない様に。

知識が正解ではないからこそ、日本国 家の内閣創立の時代にまで、この問題 はさかのぼっているわけです。

その意味と価値に気付くだけの情報感 度の高さと、意識レベルが合格の為に 大切です。

ポーっとしていては見えるものが見え なくなります。考えなくなるからですね。

今年の慶應大学総合政策学部の問題を 見る事でも、もう少しイメージが膨ら みますので、また合格報告も含めてメ ルマガでご案内していきます。

(まだまだご紹介できていない報告がたくさんあります。)
⇒成功の秘訣、合格の秘訣を公開していきます。



【9】解答例

 当時の内閣制度は、「政権寡占クラブ」が薩長各藩から4人ずつ選出される形で構成されており、薩長間のバランスが意識された体制であった。当時の内閣制度は、内閣の長をこの八人の中から選出し、他の大臣を統率する体制である。このような体制は、組織のリーダーシップが属人的な物になることを意味する。さらに、太政官制においては、この八人は、各省のトップであると同時に、参議であり、国政を議する立場にあった。諸大臣は、各省の利権を代表するという側面が肥大化しはじめ、ついには各省間のむき出しの利害対立、政策的競合に直面せざるを得なかった。
 以上が当時の内閣が抱えていた統治機構の組織的問題点である。このような過去の統治機構上の問題点を踏まえ、現在の内閣総理大臣のリーダーシップの在り方はどのようにあるべきだと考えられるだろうか。
 内閣総理大臣は、政治主導と、官僚主導のどちらでもなく、政官の調整役となりながら、日本経済の立て直しに尽力する在り方が妥当であると私は考える。
 私が上記のように考える理由は3点ある。第一の理由は、本質的に利害調整をリーダーは行うことが求められるためである。もちろん、リーダーシップは強権的なものであることも良いケースがある。しかしそれは、内部でコントロール可能な範囲の話であり、リーダーは外部の制御不可能な対象については、環境適応の対象として、船のかじ取りをする使命がある。いかなる組織においてもリーダーは、環境適応のための調整を行うのが本分である。第二の理由は、現行の政治の実態である。官僚主導と呼ばれて久しい現行の政治体制を一方的に批判することに意味は無い。官僚主導の政治がある実態に即して、その状況に適応しなければ、かつての民主党政権のように、まったく政治主導を実現できないお題目だけの失政へとつながる可能性が大きい。第三の理由は現状の日本経済のリスクである。現状の日本経済は、かつての勢いを失い、極めて危険なフェーズにある。今重要なことは、現実にこの日本経済を立て直すことであり、理想論ではない。
 以上、リーダーシップの本分、現行の政治の実態(かつての失敗の歴史)、現状の日本経済のリスクを総合的に勘案し、政官の調整役となるリーダーシップが望ましいと私は考える。


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