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東京大学文学部 推薦入試 小論文 過去問題 平成29年度
問題
この文章は、1945年10月に発表した「配給された自由」という文章である。あなたが、入学後のゼミナールで、「この文章を手がかりに任意のテーマで研究論文を作成しなさい」という課題を課されたとする。その場合、あなたは、
1)どのような研究テーマを設定するか
2)そのテーマを選んだ理由は何か
3)そのテーマを追求するために、どのような事柄をどのような手順で調べていけばよいと考えるか。
1、2、3をふまえて、あなたの研究論文構想を述べなさい。
解説
この問題をどう考えるかですが、まずは読解ができなければ始まりません。解法のpointは、筆者が批判している点に注目する。

この文章は、それなりに長い文章ですが、かいつまんで言えば、以下の二つの文章に内容は集約されます。
1)文化の自由とは、とらわれざる批評家精神を持つこと以外にない。
2)真剣に孤独のうちに悩まねば、真の自由は無いのである。
タイトルからも分かるように、要は文化を与えられて満足するなということです。そのような、与えられた文化に染まることの危険性を著者は述べています。
それでは、研究構想について考えてみましょう。何を書くと点数が高いのでしょうか。ここで大事なことは、好き勝手に考えないということです。何をこの問題を通じて期待さているのかを考えましょう。
「期待されていること」
あなたがこの問題を通じて期待されていることは、以下の通りです。
1)ゼミナールに適した研究構想
2)課題文で著者が批判していることに関連した考察ができること
3)教員の関心事項に近い内容が考察されていること
4)ある程度社会性が高い問題が考察されていること
5)一定の新規性があること
ゼミナールとは、一般的に少人数のグループで、大学教員と学生が研究活動、学問的な発表、議論を行う授業のことです。
一般的な学校や塾、予備校では、研究についてほとんど指導が行われることはないでしょう。研究のやり方について解説し始めれば、それだけで一冊の書籍になってしまいます。
そこで本書では、研究について、一点だけ述べます。特に東京大学や慶應SFCを受験する人は、「研究計画の書き方」や「研究入門」のような書籍を自主的にしっかり読んでおきましょう。教養学部では、研究計画を書かされる問題がでているので、自主的に調べておかなければ対応できないでしょう。
研究について、一点だけ重要な点を述べるとすれば、普通の文章や、考察とは比較にならないくらいに精緻に論理思考することが求められる活動及び、文章(研究論文)だということです。そのため、統計学などの数学的な処理によって論理的な意味付けを研究結果に対して与えることも少なくありません。
ここまでのことを踏まえた上で、大学受験生に求められる内容を考察し、解答例をご紹介します。
問題 解答例
【研究テーマ】
グローバリゼーションによる文化の画一化に対する危機意識の比較研究
【テーマを選んだ理由】
我が国では、東京大学に対する批判として、国際性が欠如しており、思考様態が国内偏重であるという言説がある。一方で、文化の変容を観察すれば、世界中のどの国家でもグローバリゼーションの影響を受け、文化の画一化が問題視されている。海外の文化を自国へ取り入れることについては、そのメリットばかりが注目されるが、デメリットについても慎重に考察する態度が必要であると考えられる。課題文の著者が述べるように、文化に対する批判的かつ自主的な考察があってこそ、自国の文化と他国の文化の理想的な融合をはかることができる可能性も否定できない。そこで私は、国際性が豊かであると評価の高い大学の学生と、東京大学の学生を比較した場合に、上記のような他国の文化を無批判に取り入れることに対する危機意識の強さに違いがあるのかに注目した。
【研究方法】
本研究では、調査対象として、アトランダムに東京大学の学生30名と、国際色豊かな大学Aの学生30名を選ぶ。この際に質問調査紙により、5段階で他国の文化を無批判に取り入れることに対する危機感を評価してもらう。数値を集計し、統計的手法により両者の間に優位な差が認められるかどうかを確認する。
大学院受験生なら完全にアウトな内容(どのような検定手法で解析するのかなどを説明する必要があるため)ですが、大学受験生ならOKです。統計学は一般的に大学で学ぶためです。統計の知識があるなら、被験者の少なさなどを考慮に入れて、正確確率検定を実施するなどと書いてもいいでしょう。
問題2
右の文章に関して、あなたの考えを1000文字程度で述べなさい。
問題2 解答例
プルーストと、ポール・ヴァレリーの考えはどちらが妥当なのだろうか。私はプルーストの立場を取る。
芸術の価値について、私は3点あるのではないかと考える。第一の価値は審美性である。第二の価値は、表現性である。第三の価値は、情熱性である。審美性とは、美しさのことであり、表現性とは、芸術家が表現することを望んだ世界のことである。情熱性とは、その表現行為そのものに対する芸術家の想いである。
芸術を論じる時に、私たちが気をつけなければならないことは、芸術の特権化かもしれない。芸術をどの目線や立場で論じるのかについて、仮に芸術家本人が特権化を望んだとしても、そのような特権化が仮に存在すれば、芸術論を広く一般化した上で、何らかの考えを導くことはできなくなってしまう。
芸術作品がその由緒や、置かれる環境や、しつらえを必要とするかどうかは、その芸術品の個別的な問題である。奈良の大仏のように、その場所になければ、意味が理解できないものもある。
仮に芸術を特権化せず、しつらえが個別具体的な問題であり、芸術に少なくとも3つの価値が認められるのであれば、プルーストが述べるように、芸術品はどこにあってもよいということになる。
前述した3つの前提(特権化、しつらえの個別性、芸術の3つの価値)は、私が仮説を導く際の3つの論拠となっている。
以上の理由より、私は、プルーストの立場を取る。
問題2 解説
過去問題解説者 牛山恭範


・スキルアップコンサルタント
・専門家集団Allaboutスキルアップの担当ガイド
・ヤフー(Yahoo)知恵袋 専門家回答者
慶應大学に確実かつ短期間で合格させる慶應義塾大学合格請負人。慶應義塾大学合格の要である、小論文と英語の成績を専門家として引き上げる為、理系を除く全学部への合格支援実績がある。(学部レベルだけに留まらず、慶應大学法科大学院へ合格に導く実績もある。)短期間で人を成長させる為の知見を活かし、教え子の小論文の成績を続々と全国10以内(TOP0,1%以内も存在する)に引き上げる事に成功。12月時点で2つの模試でE判定の生徒を2ヵ月後の本試験で慶應大合格に導く実績もある。技術習得の専門家として活動する為、英語力の引き上げを得意としており、予備校を1日も利用させずにお金をかけず、短期間で英語の偏差値を70以上にして、帰国子女以上の点数を取らせるなどの実績が多い。慶應大学合格支援実績多数。自分自身も技術習得の理論を応用した独自の学習法で、数万項目の記憶を頭に作り、慶應大学SFCにダブル合格する。(その手法の一部は自動記憶勉強法として出版)同大学在学中に起業し、現在株式会社ディジシステム代表取締役。より高い次元の小論文指導、小論文添削サービスを提供する為にも、世界最高の頭脳集団マッキンゼーアンドカンパニーの元日本、アジアTOP(日本支社長、アジア太平洋局長、日本支社会長)であった大前研一学長について師事を受ける。ビジネスブレークスルー大学大学院(Kenichi Ohmae Graduate School of Business)経営管理研究科修士課程修了。(MBA)スキルアップの知見を用いることで、牛山自身の能力が低いにも関わらず、同大学院において、『東大卒、東京大学医学部卒、京都大学卒、東大大学院卒(博士課程)、最難関国立大学卒、公認会計士、医師(旧帝大卒)、大学講師等エリートが多数在籍するクラス』(平均年齢35歳程度)において成績優秀者となる。個人の能力とは無関係に「思考・判断力」「多くの記憶作り」等で結果を出すことができるスキルアップコンサルタントとしてマスコミに注目される。(読売新聞・京都放送など)他の「もともと能力が高い高学歴な学習支援者」と違い、短期間(半年から1年)で、クライアントを成長させることが特徴。慶應合格のためのお得情報提供(出る、出た、出そう)ではなく、学力増加の原理と仕組みから根本的に対策を行う活動で奮闘中。現在、東京工業大学大学院博士後期課程在学。
執筆書籍

マスコミ掲載事例一部
『慶應大学に我が子を確実に合格させる教育法』プレジデントFamilyClub様(メディア掲載)
クライアントの実績の一部
外部講師活動
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全国の高等学校で外部講師として活動(紹介動画)撮影許可を頂いて撮影しました。2008年7月の映像です。
メディア掲載: プレジデントFamilyClub様
『慶應大学に我が子を確実に合格させる教育法』
第2回 ⇒「慶應大学合格に必要な要素と中核」
第3回 ⇒「慶應大学合格に有効な受験対策(前編)」
第4回 ⇒「慶應大学合格に有効な受験対策(後編)」~「受け身の学習」から「攻めの学習」に変化させる~