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U 勉強しないとどうなるのか?


(1) 日本経済の先行き
 日本経済の先行きは言うまでもなく暗いものである。日本国の人口は今後大きく減少に転じる。国内の市場が少なくなる。また海外で戦う力は日本企業は総じて低い。大企業ですらいわゆるマルドメと言われる国内偏重型の経営を貫く企業が多い。私は大学院で、約2年間、様々な分野の企業の経営分析を課題で行ったが、どのような企業も大変厳しい経営環境の中で経営を行っている。特定の分野を除き、海外勢にヤラレっぱなしの状態である。

(2) 実力次第のウソ(誰も実力など認めない厳しい社会)
 誰が実力社会などとうそぶいたのだろか。確かに実力うんぬんの話は、本当か本当ではないかと言えば、本当である。しかし一般的な企業であれば、出身大学や保有資格の色眼鏡を通してその人の実力がある程度推し量られる。したがって、不条理な判断や評価が横行する。ある程度の規模の企業になれば、多面的な評価指標シートが用意され、数値入力されることにより、人物評価が成される。しかしながら、そういう土俵に登れるのは、すでに一部の名門校出身者であることも珍しくはない。ある程度の社会経験を積んだビジネスパーソンならば、このような不合理な人物評価がどれだけ横行しているかは何度か経験したことがあるだろう。

 私はこのような風潮には個人的には反対である。学歴など本来は人の評価になんら関係がない。いつどれだけがんばったのかについての指標にはなり得るがそれ以上のものではない。


 しかしながら、世間一般では、どの大学出身者かは大変重要な指標となり得ることが多いのが現実だ。

(3)統計上はどうなっているのか 
 出身大学別に、幸福度、満足度、昇進力、役員数、社長数などを計測した大規模な調査が行われた。100万人規模のアンケートを実施し、どの大学出身者の幸福度が高いのかについて調べた調査がある。東大、京大、早稲田、慶應の4大学は、言うまでもなくトップレベルの昇進力、幸福度の指数を示している。定量的な調査では、受験時の努力とその後の数十年間の幸福度には大きな関係が日本では存在しうることが伺える。

 

 

 

(4)学校の指導が実社会とズレることは多い
 進学実績を作りたい高校側では、国立大学を強く勧めることも多い。その指導方針に生徒の側が負担感を感じることもあるようである。統計上もそうであったように現実には早稲田、慶應などの知名度が高い大学や、教育に特色を出している立命館アジアや、国際教養大学、ICUなどは、大変将来性があり面白い大学になっている。私のクライアントだったある生徒は慶應大学SFCへ進学し、その後マサチューセッツ工科大学の博士課程へと進学した。世界一の理系大学である。

(5)やりたいことができるのは、むしろ希
 若い時分には(自分は何をやりたいかが分からない)と感じるものである。また、周囲の大人も(やりたいことをやればいい)と暖かい目で見守ることも多い。本人の自主性を大切にしたいとの優しい気持ちからである。しかしながら、実際に社会に出る段階になると、急に(何ができるのか)ということが露骨に求められる。やりたいことをやって食べていくことは比較的幸せなことだが、現実にはやりたくないことを仕事にしている人も多い。本人の自主性を重んじている内に、何年も浪人生活を送ってしまい、最終的にはやりたいこともできない状況に追い込まれているどころか、何ができるのかという観点からも、大きく自分の人材市場での価値や可能性が狭められてしまうこともまた珍しくはないのである。財力があれば、このような状況はひっくり返すことが簡単にできるが、いきなり会社を設立して社長に据えて、会社を回していくというのは、資産家や経営者でなければ難しい。

 

 

 

 

 














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