このページでは、メルマガで流した慶應大学の文系学部の小論文問題の解説を掲載しています。
慶應クラスでは、構造ノートや構造議論チャートを使ってもっと詳しく細かく各学部の過去問解説を動画で行っています。
2008年度 慶應大学環境情報学部 小論文問題解説
こんにちは。
牛山です。
本日は、2008年度慶應大学環境情報学部の小論文問題解説です。
この年の問題はズルズル書いていくと何のことか分からなくなるので、まずは、どのようなことが問われたのかを端的にご紹介します。
問題の概要(概ね以下のようなことが問われる)
(1) 設問1
【1-1】
資料1に記載されている50の研究テーマを自由に分類してください。
【1-2】
あなたの分類はどのような意図で成されたのか、想像力の背後にある論理を追って、解答用紙に記述してください。
【1-3】
あなたの分類の中でどれについてもっとも研究したいかをここで宣言してください。
(2) 設問2
【2-1】
資料に書かれている漫画の内容にあなたが似ているかどうか、資料の竹中氏の内容にあなたが共感するかどうかを書いてください。
【2-2】
この二つの質問から、あなたのポジションがどれかを選んでください。この質問から自分とはどのような人間なのかを解答用紙に具体的に描写してください。
【2-3】
あなた以外のポジションについて、どのような人物なのかを書いてください。
(3) 設問3
資料4,5,6を読み、これらの資料からどのようなチーム、どのような思考方法、どのような知識のあり方をプロジェクト実施にあたって導入すべ
きかについて、それぞれの資料ごとに簡潔にまとめて、解答用紙に記入してください。
【3-1】
どのようなチームがいいと考えるか?
【3-2】
どのような思考方法がいいと考えるか
?
【3-3】
どのような知識のあり方がいいと考え
るか?
【3-4】
あなたはどのようなルールに基づいて他の3人の仲間と関係すればいいかを確定してください。
そのルールは次の4つの中から選んでください。
(1)権力ルール
あなたが皆を従わせるルール
(2)満足ルール
チームメンバーを満足させるルール
(3)合理ルール
個人の役割分担を明確にしてあなたが
リーダーとなり全員を引っ張るという
ルール
(4)協働ルール
状況に応じて各人が自律的に動くことで生産性を上げるルール
【3-5】
あなたが選択したルールは、下記のど
れがもっとも適当であると考えます
か?
(ここでは、チームメンバーの力の
出し方について、概念的な計算方法を
問われる。)
例)(A+B+C+D)×2
オリジナルの演算方法を考えてもかま
いません。
(4) 設問4
あなたが期待する自主的な研究プロジ
ェクトを立ち上げましょう。そのアイ
ディアを自由に解答用紙に記述してく
ださい。
解答例
設問1
【設問1-1 解答例】
情報産業 05,13,18,22,26,50
通信・情報技術 01,03,08,14,29,39,41
教育・人材育成 02,06,07,19,20,23,30,31,48
人間と環境 15,16,17,33,35,37,42,45,47,49
医療 04,11,12,21,25,27,28,32,
メディアデザイン 09,10,24,34,36,38,40,43,44,46
【設問1-2 解答例】
私が行った分類の背景には、「研究プロジェクトチームの運営」という考え方がある。雑多な研究会名称はどのように分類することも可能である。カテゴライズのアプローチは多種多様だ。私はこの多様な分類法の中から、分野別のプロジェクトチームを組織するメリットを考察した。各類型に置く研究指導主要メンバーには、経験豊富な教員を複数名あてがい、相互に連携を取りながら、指導教員がチームとしても機能するようにイメージを膨らませた。
【設問1 作図解答例】
【設問1-3 解答例】
情報通信技術
設問2
【設問2-1 解答例】
1)似ていない(漫画の女の子に似ていない)
2)共感する
【設問2-2 解答例】
A:どのような自分か(非感情的、合理タイプ)
Aである私は、非感情的であり、合理性を重視するタイプである。感情優位というよりは、理性優位の人間である。同時に、合理的な性格の持ち主である。感情的になりにくい分、冷徹な判断を下すとみられることもある。
【設問2-3 解答例】
B
Bは、感情的であり、合理的タイプである。情に厚く、熱血漢であるBは若干情緒不安定である。同時に、合理的に物事を考察する力に優れているため、論理的に細かな判断を行うことが得意である。
C
Cは、非感情的であり、非合理的なタイプである。明るく誰にでも好かれやすいCは、一方で優柔不断である。チームのムードメーカーであり、Cがいることで、活気が生まれる。
D
Dは、感情的であり、非合理的なタイプである。情緒不安定なところがあるDは、感情の浮き沈みが激しい。いつもはきはきしゃべるタイプではないが、感性を働かせてしっかりと物事を考えていることがあるため、重要なチームの一員である。
設問3
【設問3-1 解答例】(どのようなチームがよいか)
資料4で述べられている「コントロールされたリスク」を私はチームに取り入れたい。私が考案したチームの形態は各人の能力を最大限に活かすことを志向するものである。多様性をチームが内包することで、物事を多面的に見ることが可能になると言われている。仮に同じような思考性質を持つ人間を集めた場合、何かしら問題に直面した際に、一面的な物の見方をすることで、問題の性質を見誤る可能性がある。各人の意見を重視すれば知スクは高まる。しかし、コントロールされたリスクという概念があれば、リスクをコントロールしやすくなると考えられる。
【設問3-2 解答例】(どのような思考方法がよいか)
資料5で述べられている「潜在的需要を取り込む重要性」を私は参考にしたい。それぞれのチーム構成員が、気楽に自由に発言できる環境が重要だと私は考える。多くのチームでは、自由に発言することができないケースが多く、ワンマンリーダーが独裁的にチームの思考を組織しようとする。このようなチームの生産性は低いことが分かっている。「ビジョナリーカンパニー」シリーズの研究では、冷静なリーダーが業績を引き上げる傾向があることが明らかにされている。チームの各人員が、潜在的需要について意見を出し合うことで、この問題を解決したい。
【設問3-3 解答例】(どのような知識のあり方がよいか)
資料6で述べられている「無料化」「オープン化」「公共化」というキーワードをチームのプロジェクトに導入したいと私は考えた。多くのケースで、知識には感情的なバイアスが含まれている。感情的なバイアスとは、(自分は優秀である)と感じる自己有能感などのバイアスである。バイアスの事例を以下に述べる。目の前に存在する問題について意思決定する際に、重要判断基準を何にするかで判断が分かれるというケースがある。このような場合、多くのケースで生産的な議論は行われず、感情的な喧嘩の延長線上の議論が行われる。このようになってしまった場合、いかなる知識、理論も役に立たなくなってしまう。
知識のあり方は、客観性が担保された状態が理想である。閉鎖的な空間では主観的な知のあり方が支配的となる。私は客観性を重視する。知識の客観性が高まることでチームの機動性は高まり、議論はより一層生産性を増すと考えられる。
【設問3-4 解答例】
②満足ルール
【設問3-5-1 解答例】
お>オリジナル (A×B×C)×D
【設問3-5-2 解答例】
4×3×2×5=120
設問4
【解答例】
私はいじめ問題を解決するためのプロジェクトを立ち上げたい。近年いじめは深刻な社会問題となっており、同時に一向に自殺者の数も減少していない。研究目的は、いじめ問題の減少である。
プロジェクトの開始段階では、現在のいじめ問題がどのような構図で起こるのかを調査する。また、いじめ対策ソフトを開発し、このいじめ対策ソフトの有効性を検証する。現在構想しているいじめ対策ソフトウェアは、行政、医療、司法、教育などの各機関へと利用者が手軽に通報、相談できるものである。同時に、前述した各機関との相談をスムーズにするため、時系列でいじめ被害内容を詳細に記録する機能を有するものである。利用は無料であり、クラウド及びスマートフォンアプリ内で操作可能なソフトである。
【2】解説
(1) 合格する考え方
今回は、一気に問題の概要だけを端的にまとめてご紹介しています。
その理由は、この手の問題は全体で考えなければ意味が無いことが多いからです。
上記の問題に、何も考えずに取り組むのは、大変危険です。本当に思ったことを適当に述べていると、足元をすくわれます。
その理由は個々の問題に正解があるわけではないからです。
あなたが述べたことが論理的に矛盾していないかを見られています。
さらに、あなたが述べたことが、最後の設問4と合致するかを見られています。
言い換えれば論理性と、創造性で、評価されているということです。
この手の問題を解くコツは、最初に問題用紙が配られた時にざざっと全体の構成を把握して、このような出題意図を読み取ることです。
読み取れれば、あとは、設問4まで時間内にさっさとたどりつき、書ききることで合格できるな・・・と合格のイメージが湧きます。
それに対して、このような出題意図を読み取れない人は、個々の問題でうんうんとうなり、頭を抱えてしまい、時間切れとなるのです。
頭を悩ませなくてもいいところで頭を悩ませてしまい、考え込むから時間が無くなるのです。
今回の問題で言えば、どこが花かと言いますと、(どこがポイントかと
言いますと)3-5と設問4です。
全ての問題がここに集約されている
構図を見抜かなければなりません。
かなり設問が長く、ズルズルと書かれ
ているため、まともに一つずつ何も
考えずに読むと、どこが花で何によっ
て評価されているのかが分からなくな
ってしまいます。
小論文試験で評価された時、例えばあ
なたが、50点だったとします。残りの50点はどこにあるのかな?と
考えると、実態からかい離します。その理由は、小論文試験とは、相対
評価だからです。どこで差がつくのか
という発想が不可欠なのです。今回は、設問3-5と、設問4です。
ここがバシッと決まり、論理的に
ブレていなければ合格します。
従ってどこが花で、どこに力を入れれ
ば突破できるのかと見抜くことが大切
になります。
設問1は論理的思考力を見る問題で
す。想像力も見られているでしょう。
設問2は、あなたの人間力を見られて
います。ここで自分を必要以上によく
見せようとすると、嘘がばれるでしょ
う。等身大のあなたを見せましょう。
設問3は、あなたのマネジメント能力
とセンスの良さを見られています。
機能するチームとはどのようなものか
を頭の中にイメージし、そのチームの
機動性が確保されるあり方を数式に
落とし込み言語化・符号化することを
求められています。
設問4は、あなたの問題意識、創造
力、アカデミックスキルが問われてい
ます。
研究不可能なテーマを扱うと、減点の
対象になるでしょう。研究とは何かを
理解しておく必要があります。
(2) この年はアカデミックスキルとワクワク感が重要
設問4が花と私は言いました。ここで
受かります。
従って、設問4を今回の解説では堀り
下げます。他のところをいくらつつい
ても受かりません。
設問4では、あなたの研究力が問われ
ています。
何らかの問題意識から生まれた、仮説
をあなたは考える必要があります。
学生と話をしていると、ざっくりと、
●●を調べると、答えることが珍しく
ありません。
●●について調べるというのは、文献
調査などをイメージしているのかもし
れませんが、このように、単に調べる
ことは、一般的に研究の分野では高く
評価されません。
調べたことを書いた論文は俗に「おさ
らい論文」などと呼ばれ、大変評価が
低いのです。
従って、調べたことを書くのではな
く、研究を行う時には、仮説を持って
何かを調べ、その仮説を検証できる
手順を考える必要があります。
このような手順を記載する書面を、
研究計画書などと言います。
実質的に研究計画書を書かせるような
問題が慶應大学環境情報学部では何度
か出題されています。
研究計画書を書くことができるという
ことは、ある程度ブレが少ない研究を
することができるということでもあり
ます。
しかしながら、受験生はこの感覚が
無いことが多いので、研究計画書を
書くことを習うことがなく、大変
ざっくりしたことを調べようと考えて
いることが少なくありません。
そこで、私が運営する「慶應クラス」
では研究計画書の書き方から授業を
行い、理解してもらうようにしていま
す。
今回のメルマガでは、一番大切な部分<
を紹介しています。
要は、研究計画で最も重要な部分とは
その研究計画で仮説を検証することが
できるかどうかという部分です。
ここに気を付けながら、設問3-4で問わ
れているポイントを考慮しつつ、矛盾
が生じないように、かつ、あなたとい
う人物、あなたが考案した「チームの
機動性が確保されるチームのあり方」
が生きるような研究内容を考えてみま
しょう。
最後に、もう一つ受かるコツを伝授し
ます。
ワクワク感があるかどうかです。
私はこの問題を見て、設問4を見た時
に大変ワクワクしました。
皆さんはどうだったでしょうか。
これから新しい研究をする、勉強がで
きる、学問ができるということについ
て皆さんはワクワクしているでしょう
か。
この年の問題を考案した人は恐らく、
大変真面目な方だと思います。
そして、ワクワクするような気持ちで
研究を行っている人かもしれません。
慶應SFCに合格する秘訣は、この
ような相手が投げてきているワクワク
感に応えることなのです。
テクニックで合格しようとするから、
片方にしか合格できないなどの結果に
なるのです。(仮に合格しても。)
考えてみてください。
日本の政治を変えることや、情報環境
を変えていくことはワクワクすること
です。
何も書くことが無いという人は、まず
ワクワクしていないのかもしれませ
ん。
何が思い浮かぶか?と考えているから
何も思い浮かばないのです。
自分が世の中の何を変えたいと思って
いるのかを考えてみましょう。
世の中に目を転じて、いろいろなもの
を見ましょう。
駅の横の高架下で、段ボールを敷いて
いる人を見るのも勉強かもしれませ
ん。
このような状況を見ても何も感じない
人がいくら公共政策の学問を探求して
いったい何の意味があるでしょうか。
他国の事例を読書で知ることも勉強で
す。
最先端の技術動向を知り、近い未来に
何が起こるのかを知るのも、勉強で
す。
ここで、単に情報処理して、何もワク
ワクする気持ちが無いと、SFCには
受かりにくくなってしまうでしょう。
受験勉強と言えば、勉強技術ばかりを
磨いて、このワクワクする感じを無く
すようにあなたは考えていなかったで
しょうか。
他の大学については、それでいいかも
しれません。そもそも暗記量しか問う
ていないことが多いからです。
しかし、SFCは違います。このよう
に、あなたが何を考えていて、何を
したいかで、学生を選んでいるので
す。
ここで、大学が求めているものと、あ
なたがキャッチボールをするように、
答案を書くことができれば、スッと
受かります。
英単語を覚えている場合ではありませ
ん。(本当ですよ。)
【3】各問題の出題意図と解き方
(1) 設問1
【1-1】
資料1に記載されている50の研究テー
マを自由に分類してください。
⇒分類が非論理的かどうかを見られ
る。学びたい気持ちも同様に見られる
と考えていいでしょう。
SFCではよくあるパターンですが、
どのような分類であれば「正解」とい
うわけではありません。
設問で要求されているように、想像力
を働かせて書くことを求められていま
す。減点主義の考え方が染みついてい
ると何が「正解」なのかばかりが気に
なってしまうでしょう。注意してくだ
さい。
【1-2】
あなたの分類はどのような意図で成さ
れたのか、想像力の背後にある論理を
追って、解答用紙に記述してくださ
い。
⇒分類が非論理的かどうかを見られ
る。学びたい気持ちも同様に見られる
と考えていいでしょう。
【1-3】
あなたの分類の中でどれについてもっ
とも研究したいかをここで宣言して
ださい。
⇒あなたの意思がチェックされ後の
問題との論理的整合性が問われると
考えられます。
(2) 設問2
【2-1】
資料に書かれている漫画の内容にあな
たが似ているかどうか、資料の竹中氏
の内容にあなたが共感するかどうかを
書いてください。
⇒設問4との絡み合いで評価が決まる
と考えられます。どのような人間で
あったとしてもチームの作り方と
実行内容で、成果は変わるためです。
【2-2】
この二つの質問から、あなたのポジシ
ョンがどれかを選んでください。この
質問から自分とはどのような人間なの
かを解答用紙に具体的に描写してくだ
さい。
⇒設問4との絡み合いで評価が決まる
と考えられます。どのような人間で
あったとしてもチームの作り方と
実行内容で、成果は変わるためです。
【2-3】
あなた以外のポジションについて、ど
のような人物なのかを書いてくださ
い。
⇒設問4との絡み合いで評価が決まる
と考えられます。どのような人間で
あったとしてもチームの作り方と
実行内容で、成果は変わるためです。
(3) 設問3
資料4,5,6を読み、これらの資料から
どのようなチーム、どのような思考
方法、どのような知識のあり方を
プロジェクト実施にあたって導入すべ
きかについて、それぞれの資料ごとに
簡潔にまとめて、解答用紙に記入して
ください。
【3-1】
どのようなチームがいいと考えるか?
⇒いわゆる「組織論」などの学問分野
で研究されているチームの機動性に
ついて柔軟な発想で機能しうるチーム
を考えることができるかどうかを問わ
れていると考えていいでしょう。
【3-2】
どのような思考方法がいいと考えるか
?
⇒いわゆる「組織論」などの学問分野
で研究されているチームの機動性に
ついて柔軟な発想で機能しうるチーム
を考えることができるかどうかを問わ<
れていると考えていいでしょう。
おぜん立てされたようないわゆる
「正解」ではなく、あなたが考えた
内容の背景を出題者は探ろうとしてい
ます。
【3-3】
どのような知識のあり方がいいと考え
るか?
⇒いわゆる「組織論」などの学問分野
で研究されているチームの機動性に
ついて柔軟な発想で機能しうるチーム
を考えることができるかどうかを問わ
れていると考えていいでしょう。
おぜん立てされたようないわゆる
「正解」ではなく、あなたが考えた
内容の背景を出題者は探ろうとしてい
ます。
【3-4】
あなたはどのようなルールに基づいて
他の3人の仲間と関係すればいいかを
確定してください。
そのルールは次の4つの中から選ん
ください。
(1)権力ルール
あなたが皆を従わせるルール
(2)満足ルール
チームメンバーを満足させるルール
(3)合理ルール
個人の役割分担を明確にしてあなたが
リーダーとなり全員を引っ張るという
ルール
(4)協働ルール
状況に応じて各人が自律的に動くこと
で生産性を上げるルール
【3-5】
あなたが選択したルールは、下記のど
れがもっとも適当であると考えます
か?
(ここでは、チームメンバーの力の
出し方について、概念的な計算方法を
問われる。)
例)(A+B+C+D)×2
オリジナルの演算方法を考えてもかま
いません。
⇒ここでは、選んだ選択肢が設問3に
記載した内容と矛盾しないかをチェッ
クされるでしょう。
私がお勧めするのは、想像力があなた
にある場合、3-5では、オリジナルな
演算方法を考えることです。
相手が期待しているワクワク感に、
応えていくことが大切です。
(4) 設問4
あなたが期待する自主的な研究プロジ
ェクトを立ち上げましょう。そのアイ
ディアを自由に解答用紙に記述してく
ださい。
⇒研究が成立するかどうかをチェック
されます。研究テーマについては、
想像性や、構想力、研究としての妥当
性、新規性、進歩性などが評価の対象
になると考えられます。
さらに、上記の設問1~3の内容から
あなたがその研究を実行しきる能力を
推し量られるでしょう。
【5】編集後記
(1) 論証するということ
時々、実用書について、学術書と同じ
レベルの論証を要求する人がいますが
実用書は学術書ではありません。
また、多くの場合、学術的な論証は、
単なるロジックではなく、統計学の
手法をもって行われます。
このプロセスが重要なことの方が多く
言葉による論理を突き詰めた先に論証
があるというわけでもありません。
逆に言えば言葉を突き詰めても、あい
まいさはやはり残り、それによって
論証ができているわけでもないので
す。
私が大学院で研究を行った際には、
統計学の手法で各種検定作業を検討し
実験結果に意味づけを与えています。
(2) 発想する秘訣
私は発想法についても、ビジネススク
ールで大前研一氏にいろいろと教えて
もらいました。
発想する秘訣は、いくつかあります。
メンタルブロックを外すこと、そし
て、発想の軸を持つことです。
発想方法については、多くの手法があ
り、「速読情報活用塾」や「慶應クラ
ス」では、古今東西様々な有名な発想
方法を学びます。
発想の軸とは、例えば「中間をとる」
というようなキーワードから考えを
膨らませていくようなやり方です。
いくつかの発想の軸はトゥーリーズな
どと呼ばれる手法にもまとめられてい
るので、興味がある人は調べてみると
いいでしょう。
ロシアの研究者が特許出願された内容
を分類し、どのような発想によって、
それが成されたのかをまとめました。
約40万件の特許内容を40の発明
原理にまとめたものです。
発想方法を探していた人は、参考に
なるかもしれませんので、チェックし
てもいいかもしれませんね。
ただ、このようないわゆる「方法」は
実は、物事を考えていく時に、役立た
ないこともあります。
その理由は、本来の人間の思考活動に
後付を行っているのが、方法だからで
す。
頭の中でどのような思考をめぐらせた
のかについて、方法は何も教えてくれ
ません。
私は特許査定を受ける経験があるので
このことがよく感覚的に分かります。
発想する際に大切なことは、未来を
見ることです。
このあたりについては、多分に勘所を
含むことなので、メルマガには書かな
い方がいいでしょう。
こちらのウェブブックをまだ読んでい
なければこちらのウェブブックを参考
にしてみてください。
「方法とアプローチの違い」
http://www.skilladviser.com/book/kioku/difference/1.html
発想については、本当はもっと大切な
ことがあるのです。
テクニックでどうこうしても、いわゆ
る「なんちゃって」発明がたくさんで
きるだけです。
「なんちゃって発明」ではないものは
どうやって考えることができるのかに
ついては、また機会があればお話しま
しょう。
(3) まだ読んでいない人は読んでおきましょう
以下のウェブBookをまだ読んでいない
人は読んでおきましょう。
「議論力養成ウェブBook」
http://www.skilladviser.com/book/keidai/giron/1.html