慶應大学医学部の2012年小論文解説

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慶應大学医学部の2012年小論文解説

こんにちは。
牛山です。

本日は、2012年度の慶應大学医学部の問題解説です。

【1】問題概要


2000人の患者さんにインターネットで調査したところ、7割の患者さんが医者に嘘をついたことがあることがわかりました・・・という趣旨の課題文が出題されました。

問題は以下のようなものです。

この内容について、率直にどのように感じるかを書く。(300字)


また、患者さんの立場に立って、どうして嘘をつくのかについて述べる。(300字)

【2】問題1について

(1) 出題意図

医学部では、学科試験で十分に能力面の資質は確認されています。

慶應大学医学部に合格できそうな水準にあるということは、東大の理系に合格できる力がある程度ですので、日本でトップクラスの学力は既に担保されています。

したがって、今更小論文試験で、あなたの知識量を試したところで、その知識テストは意味があまりないばかりか優秀な学生と取り逃すことになってしまう可能性があります。

この手の問題について、出題意図を見抜くには、問題の全体像を見ることが大切です。

設問2を見てみましょう。どうして嘘をつくのかについて、自分の考えを述べる問題となっています。

この問題では、論理的思考能力(推理力)や、感情を感じとる力(EQ)などが確認されているのだと把握することが重要です。

(2) 背景「心の知能指数」
学科試験では、あなたのIQ(知能指数)を見ることはできます。

しかし、学科試験では、あなたのEQ(心の知能指数)を見ることはできません。

仮に人の心がわからない人が、臨床医になっていた場合、医学の基本的な精神が欠落したロボットのような医師が病院で患者さんと接するようになるかもしれません。

当然このような状況は望ましいとは言えません。

(3) 背景2「私学の気風と特徴」

国立大学はかつて、官位制学校を発端として成立している歴史的背景から、原則として国家的エリートを養成することが、その運営の主眼になっています。従って、人物評価の軸はこのような観点を中心としたものとなる傾向があります。


一方で、

慶應大学は、私立大学です。その為私立大学特有の気風、伝統、精神があります。

従って、この点においては、ハーバード大学がそうであるように、実社会での活躍を中心に、学生を選抜する気風があると言えるかもしれません。

このような違いがあるために、まずは優秀かどうかという観点で評価されるというよりも、今後の変化しつつある社会の中で、この人物は大きく活躍するかどうかという観点で評価される傾向も一定程度あると考えた方がいいでしょう。

今回の問題も、臨床医として活躍する人物像を想定し、将来臨床の現場で、この人物が医師として多くの人の尊敬や信頼を集め、社会において重要な仕事を多く成し遂げることができるかどうかについての素養を見る問題と考えることが大切です。

(4) 注意点

ありがちな失敗は、「嘘をつく」という現象に対して、感情的に反応する失敗です。

・嘘をつくとはけしからん。
・嘘をつくのは良くないことだ。

このような短絡的な自分の感情的反応をそのまま書いた場合、医師としての適正に欠けると考えられてしまうかもしれません。

視野が狭いと見られる可能性があるためです。第二の理由は、自分の感情をコントロールできない人は、理性的ではないと判断されやすいためです。

(5) アプローチ『感情をイメージする』

医療系の問題では、患者や人の気持をイメージさせる問題が少なくありません。

これらの問題は、将来医療の現場で活躍するシーンを想定して作られています。

この手の問題は論理一辺倒で考えるのではなく、まず「人の気持ち」に寄り添うように頭のなかで心をイメージすることが大切です。

その時に感じられる感覚について、あなたが、自分の頭のなかで後から、論理的に意味付けを行うことが大切です。

特に今回の問題では、論理的な意味付けを優先的に問うているわけではなくあなたがどのように感じるかという、貴方自身の感情的反応を確認する問題になっています。

したがって、理想的な思考回路は以下のようなものです。

A:患者の心に寄り添う
B:あらゆる可能性を考慮する
C:冷静に意味付けを行い治療における優先重要指標を頭のなかで考察する
D:冷静な状況判断の末に、自分の心と向き合う。


以下のような形は避けましょう。

A:嘘をつくという表面的な現象に意味付けを行う。
B:医師である立場を忘れ、感情的に反応し、自分の感情をぶつけるように答案に感情を書く。

(6) 言葉にひきずられない

率直にという言葉にひきずられないことが大切です。

以下のページの最初の問題を解いてみてください。


http://www.skilladviser.com/book/keidai/1_g.html
(10秒程度でできます。)

(7) 人の思考は感情的なもの

人が直感的に思考する時、その思考の精度は人によって全く違います。

また、人が直感的に思考する度合いも人によって違います。

ある人は直感的に思考することなど、程度が低いことであると考え、ある人は直感を大切にします。

このように、人によって思考は全く違うものだと考えてください。私はこのあたりの研究を大学院で行っていました。

人は多分に感情的に思考します。しかし、感情的に思考する人は、思考力が落ちてしまう原理原則が存在ます。

冷静に思考するようにしましょう。

(8) 原因について仮説をたてる

なぜ患者さんは嘘をついたのでしょう
か。

この点について、仮説を複数立て、原因を考慮に入れてみることは大切です。

※注意
その原因はあくまでも仮説ですので、間違いのないものとして扱わないことが大切です。

このように、いくつかの原因が存在することを視野に入れ、やむをえない事情があるケースも考えた上で、医師として、職責を果たすという意識に立ち、貴方自身のこころと向かい合った上で、自分の感情をコントロールするように、物事を考えた結果、生まれ感情を、記述しましょう。

【3】問題2について


問題2では、なぜ嘘をつくのかについて述べる問題となっています。

通常原因は、証明できません。そして通常原因は複数あります。今回のケースは特にそうです。

患者さんの数だけ理由があるので、パターン化しても、数十はあるでしょう。

この手の問題は、原則として、視点の良さを見ています。

したがって一つだけを取り上げるのではなく、複数の可能性を並列列挙していくことが大切です。


・経済的事情
・自尊心(プライド)
・仕事などのやむを得ない理由
・単なる勘違いによる失言
・気遣い
・医師を操作したい感情(特定の薬だけ処方して欲しい場合など。)
・恐怖(手術や注射が恐いなど)
・怒り(精神科に通院する患者が家族関係について虚偽の報告をするなど)

などなど、いろいろな事情が考えられます。綺麗に整理して記述することを心がけましょう。
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