慶應大学 法学部 1995年小論文過去問題の解説

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1995年度慶應大学法学部 小論文過去問題解説

 

こんにちは。
牛山です。

 

本日は、1995年度 慶應大学法学部小論文問題解説です。

 

【1】問題概要

 

(1) 設問の要求

次の文章を読んだ上で、あなたがこれ までに自然に接してきた体験にも触れ ながら、著者のいう文化資源としての 自然について論じなさい。

 

(2) 課題文

 

 課題文の要約を作ってみました。読んでみましょう。

 

 感性は知性との強固な結合によっ て、世界を深く認識する機能を発揮す るが、そこまでの深みを持つに至らな い大きな理由の一つは、子供たちの密 室文化にある。私がことあるごとに自 然に親しもうと呼びかけてきたのは、 密室から出て物との対話から離れ、い のちあるものとの対話の日常を楽しむ ようにしないと、感性は潤いを失って 無機的になり、やがて萎縮してしまう のを恐れるからである。子供の教育や 人間の健全な生活には、自然と親しむ ことが大変重要であるが、そのような 教育がなされているだろうか。残念な がら、非常に不十分と言わざるをえな い。我が国は、世界でも有数の天災多 発国だが、日本の森は壊されても焼か れても復元する強靭さを持っている。 この自然を日本人は保護しようとなど という考えが生まれようもなかった。 日本人にとっては、自然は人間の対立 物でもなく、ましてや支配する対象で もなかった。日本人は自然に対して関 心がないのかというと、そうともいえ ない。日本人は家に庭を作り、生け 花、盆栽、床の間、俳句など、自然か ら美を抽出する芸術行為が得意であ る。自然美に対するたぐいまれな鋭利 で精妙な感性を解き放ってほしいと私 はいつも心から願っている。森林は今 まで環境資源として価値づけられてき たが、これからは子供を育てる場とし て、また高度な文明社会に疲れた人 間が、新鮮な気分を回復する憩いの場 として、さらにさまざまな知識を提供 し、美意識を解き放つ場である文化資 源として、生活の中に取り入れていき たい。

 

(3) 考え方

 

設問で求められていることにきちんと応えることが大切です。

 

----------ここから----------
あなたがこれまでに自然に接してきた体験にも触れながら、
---------ここまで-----------

 

自然に接してきたことを書くことは大切ですが、本当に自分と自然というテーマで作文をしてしまうと、論文試験になりません。

 

したがって、自分が書く体験がなんらかの根拠になっているように文章を構成していくことは理想です。

 

なぜ自然を通じた教育に大きな価値があるのかといえば、自然を通じて感性が強化されるからでしょう。そのことが課題文の中でも述べられていましたね。

 

ということは、、、、、、、

 

あなたが書く内容の落としどころは、「感性と自然と教育」についての論考である必要があります。

 

(1)感性
(2)自然
(3)教育

 

そうしなければ、著者が課題文で述べた際のテーマから外れるだけではなく、課題文の著者と、その著者の文章を選んだ作問者の問題意識からも、外れた考察をすることになってしまいます。

 

【2】ヒント

 

以下の3つを論理的に結合することを考えてみましょう。

 

(1)感性
(2)自然
(3)教育

 

換言すれば以下の、二つの命題を論証することができれば、論文になるということです。

 

a.自然は感性を強化する。
b.感性は教育に重要である。

 

3つの関係は、流れで表現すると以下のようになっています。

 

【流れ】
自然→感性→教育

 

それでは、いつものように、少しだけ考えてみましょう。

 

あなたは、自分の経験や他の知識、一般原則によって、どのようにこの論理を構築しますか?

 

ここまで具体的に落とし込むと、少し考えやすくなっているはずです。

 

ここから先を考えることができない場合は、スキルの問題や知識不足の問題であることが多いです。

 

それでは、考えてみたでしょうか?

 

(10秒か、3分程度考えてみましょう。)

 

解答例をご紹介します。

 

【3】解答例

 

 私は著者が述べる文化資源としての 自然という意見に概ね賛成である。私 の祖父の家は岡山県の山の頂上にあ る。幼少時から、お盆になれば、墓参 りを兼ねて祖父の家で過ごしてきた。 山奥と都市部の違いは、時間の流れで ある。都市化が進めば進むほど、相対 的に感じる時間は短くなる。自然の中 では時間はゆっくりと過ぎている。 「喧噪な現代社会の中で忘れられがち な、よりいっそう本質的な目的意識や 生の価値」を自然は感じさせるのであ る。私が自然による教育を重視する理 由は逆説的だが現代人が大切にしてい るものに由来する。大きく3つの「仮 説を支える理由」を以下に挙げる。
 第一の理由は、思考の原理原則にあ る。現代社会や特定の学問では、思考 がハウツー化するきらいがある。しか し、高度な思考は必ず感性的に行われ る。思考の原理原則は、思考方法をメ ソッド化しても、必ず何かを発散する か、集約するかのどちらかであり、ど ちらのケースでも、感性は大きな力を 発揮する。アインシュタインが相対性 理論を考案した時も、ピアノやバイオ リンを弾きながら考えたと言われてい る。感性を育てることが肝要だ。
 第二の理由は、感性と知性の関係で ある。知性は感性に比例する。棋士が 思考する際には、脳に電極を当てる と、右脳が活発に活動していることが 分かっている。速読も同様であり、東 大で行われた研究によれば、速読時に 右脳が活性化していたことが分かって いる。高度な推論能力や情報収集は感 性を通じて行われるということであ る。私が行った研究でも、感性を働か せる人物の推論能力は高い数値を示し た。
 第三の理由は、日本の教育方針であ る。前述した感性の重要性は日本では 大変軽視される傾向がある。確かに、 言語化、符号化することにより、サイ エンスの観点から言えば、より確から しい実態を捉えることはできるだろ う。しかし、近年トマ・ピケティーが 指摘したように、特定の学問的規範・ 文化の中に閉じこもりすぎることによ り、学問が形骸化する傾向があること も確かだ。「学問のための学問」 は手段の目的化である。学術、研究、 教育の分野で、記号化と符号化を強化 すればするほど、感性が犠牲にされ る。現行の教育は、日本人から思考力 を奪っている可能性がある。
 以上、3点の理由から、私は著者と 同じく、「記号化・符号化の対極に位置する 感性」を文化資源としての自然から感じ 取る教育を推奨したい。

 

【4】感性の重要性

 

感性って小論文でどのように関係があるの?

 

という人のために、ウェブBookを書いています。

「小論文にセンスが不要と考える危険性」と「センスを磨く7つの対策」
http://www.skilladviser.com/book/sr/sr-sense/1.html

 

小論文の点数を引き上げていく大きなカギがここにあります。

 

【5】編集後記 

 

 (1) 牛山がブログのようにお伝えするお馬鹿な日記 

 

大自然を満喫?してきました。

 

http://www.skilladviser.com/base/brogteki/122.html
 (2) 科学と「科学っぽいこと」の混同 

 

~科学論は今後も出る~

 

ピケティーは現行の学問に次のような辛辣なメッセージを投げかけています。

 

-------------ここから-------------
率直に言わせてもらうと、経済学とい う学問分野は、まだ数学だの、純粋理 論的でしばしばきわめてイデオロギー 偏向を伴った憶測だのに対するガキっ ぽい情熱を克服できておらず、そのた めに歴史研究や他の社会科学との共同 作業が犠牲になっている。経済学者た ちはあまりにしばしば、自分たちのう ちわでしか興味を持たれないような、 どうでもいい数学問題にばかり没頭し ている。この数学への偏執狂ぶりは、 科学っぽく見せるにはお手軽な方法だ が、それをいいことに、私達の住む世 界が投げかけるはるかに複雑な問題に は答えずに済ませているのだ。 -------------ここまで-------------

 

私が解答例の中で述べている「手段の目的化」とはこのことです。

 

知識人やインテリなら、ここまで述べなくとも、ピケティーが述べた内容を知っている可能性があるため、あえてあのような表現を用いています。

 

なかなかに厳しい指摘ですが、一理あると頷く研究者も多いでしょう。

 

まだまだこの手の論争は続きそうですが、いずれにせよ、科学論は今後もどの学部でも、出題される可能性があります。

 

過去の出題内容を見る限りでは、文学部、法学部、環境情報学部、総合政策学部で、科学論そのものや、研究アプローチについて問う問題が出題されています。

 

科学的であるとはどのようなことを指すのか、自分なりに勉強を進めておきましょう。

 

 (3) おまけの解答例 

 

今回の問題では、

 

----------ここから----------
あなたがこれまでに自然に接してきた体験にも触れながら、
---------ここまで-----------

 

という設問の要求がありました。

 

もしも、この設問の要求がなかったらどんな解答例になるのだろう?

 

チョットそんな好奇心から、作ってみましたので、興味がある人は読んでみましょう。

 

構成の勉強だと考えましょう。

 

 感性は知性との結びつきによって力 を発揮するが、現代日本社会では、自 然との触れ合いが減少することで、感 性面の教育が脆弱になりつつある。森 林は今まで環境資源として価値づけら れてきたが、これからは文化資源とし て、生活の中に取り入れていきたい。
 以上が著者の主張である。私は著者 が述べる文化資源としての自然という 意見に概ね賛成である。私自身、大学 院で大前研一氏に大学の教育改革につ いてのアンケートで、まったく同様の ことを述べた。自然の中で教育を行う か、自然を通じて教育を行うことが重 要である。その理由は、課題文の著者 と概ね同様だが、少し掘り下げて3つ の理由を挙げる。
 第一の理由は、思考の原理原則にあ る。現代社会や特定の学問では、思考 がハウツー化するきらいがある。しか し、高度な思考は必ず感性的に行われ る。思考の原理原則は、思考方法をメ ソッド化しても、必ず何かを発散する か、集約するかのどちらかであり、ど ちらのケースでも、感性は大きな力を 発揮する。アインシュタインが相対性 理論を考案した時も、ピアノやバイオ リンを弾きながら考えたと言われてい る。感性を育てることが肝要だ。
 第二の理由は、感性と知性の関係で ある。知性は感性に比例する。棋士が 思考する際には、脳に電極を当てる と、右脳が活発に活動していることが 分かっている。速読も同様であり、東 大で行われた研究によれば、速読時に 右脳が活性化していたことが分かって いる。高度な推論能力や情報収集は感 性を通じて行われるということであ る。私が行った研究でも、感性を働か せる人物の推論能力は高い数値を示し た。
 第三の理由は、日本の教育方針であ る。前述した感性の重要性は日本では 大変軽視される傾向がある。確かに、 言語化、符号化することにより、サイ エンスの観点から言えば、より確から しい実態を捉えることはできるだろ う。しかし、近年トマ・ピケティーが 指摘したように、特定の学問的規範・ 文化の中に閉じこもりすぎることによ り、学問が形骸化する傾向があること も確かである。「学問のための学問」 は手段の目的化である。学術、研究、 教育の分野で、記号化と符号化を強化 すればするほど、感性が犠牲にされ る。現行の教育は、日本人から思考力 を奪っている可能性がある。
 以上、3点の理由から、私は著者と 同じく、記号化・符号化の反対である 感性を文化資源としての自然から感じ 取る教育を推奨したい。

 

 

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