慶應大学 小論文対策 第六十六章 心理操作の褒めは全てを台無しにする

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第六十六章 心理操作の褒めは全てを台無しにする


66-1 真実を言ってほしい

以下の内容は、ある生徒さんと、私のメールのやり取りです。

 

------ここから-----

 

わかりました。ありがとうございます。

 

あと自分では素直でいるつもりですし、
判断も間違ってないつもりです。
でもそれは主観的な判断ですので
牛山さんが違うと思ったことはその
都度指摘して下さい。

 

僕はどんな真実でも受け止めます。
なので励まし、同情よりも真実を言っ
てもらいたいです。

-----ここまで-----

 

このメールに対しての私の返事が以下の内容です。

 

------ここから-----

こんにちは。
牛山です。

 

いつも私は本音でしか話していませんよ。
時にオブラートに包む方がよいこともあ
りますので、やんわり話すこともあるか
もしれませんが、

真剣に考えているので、本音でしか
話していません。

本も、メルマガも、メールも、電話相談
もすべて同じです。

 

従って

励ましではなく、声掛けです。
同情ではなく、配慮です。

同じように感じるかもしれませんが、
違うのは、

生徒さんを自立した個人として見ている
ということです。

自立していない依存状態にある人には
励ましが必要なのかもしれませんが、依
存させても不合格になるので依存はさせ
ない方針です。

 

また、

依存状態にある人には、
同情が必要なのかもしれませんが、自立
した人間に同情は必要ありません。

 

私ががんばってね

と言うのは、

がんばれーー

と言っているのではなく、

しっかりね

という意味です。

 

見ていますよ

という意味であって、

何でも助けてあげるからおむつかえてあ
げるようにやってあげるからねという意
味ではありませんよ。

 

自転車に乗ることができるようになるプ
ロセスで、お父さんがずっと後ろを持っ
ているとうまくなりません。

 

見ているのが一番いいわけです。

勝手にやれと
ほうっておくのも手ですが、

それよりも、近くで見ており、
自分でやるのを手助けすると上達が速く
なります。

 

またこの論点大事なので、
ウェブブックに書きましょうかね。

 

それではがんばってください。(しっかりね。)

------ここから-----

 

このように、生徒さんは真実を言ってほしいと考えているものです。また、少なくとも自立した個人を育てるために、子供扱いをいつまでも続けることはやらない方針です。自立心を育てる教育を私は重視します。

 

 

66-2 褒めたほうがいいのかそうではないのか
そもそも、私は褒めることは否定していません。

 

また、褒めることが大切という主張の論拠は、その方が伸びるとか、生徒が喜ぶというものです。

 

 

 

 

実際はどうかと言えば、生徒が一番喜ぶのは合格する時です。暇つぶしで教えてもらっているわけではありません。従って成果に対して、教える側も真剣にならなければならないでしょう。

 

また、

 

褒めた場合、研究によれば、学習意欲の向上効果が認められることはあるようです。この確率は、調査対象と方法にもよりますが、概ね60%程度という結果があります。従ってどんどん褒めればよい・・・・とはなりません。

 

その理由はいくつかあります。

 

第一に、有頂天になってモチベーションが上がっていれば、良いことができているとは限らないからです。一番大切なことですが、気分があがっていれば、不合格になってしまうことがよくあります。


 

間違ったことを指導されて、「これでいいよいいよ、すごくいいよ、いいねぇ~」などと言っていれば、受験本番まで天にも昇るような気分を味わうことが可能でしょう。しかし不合格になってしまうでしょう。

 

 

第二の理由は、ここでご紹介したように、一般的に学生は心理操作を嫌うからです。3歳児なら何もわからないでしょう。まだ脳が十分に発育していないためです。しかし、もう成人を迎えようかという若い大学受験生は、十分に大人です。いつまでも子供扱いをしていれば、バカにしているのかと思うでしょう。

 

そもそも、調査は限定的な環境の調査にすぎないものであり、一般化できません。また、褒めた方が合格するかどうかも定かではありません。

 

第三の理由は、モチベーションの質が不適当であることです。単に気分があがっている状態は、理想的な心理状態ではありません。問題は上がっているか下がっているかではな
く、自発的に自分の目の前の課題に挑戦するチャレンジ精神が醸成されているかどうかです。

 

暗記科目とは違い、小論文の学習は、できないことをできるようにするプロセスです。仮に暗記科目をがんばっているのであれば、モチベーションが持続できれば、自然と成績が上がっていくでしょう。しかし、小論文の場合、単に続けているだけでは点数は上がっていきません。

※評価者が不適切な評価を行う場合は見かけの点数が上がるでしょう。

 

小論文の教育におけるモチベーションとは、困難にチャレンジし、克服する自己変革、自己成長への意欲でなければならないということです。単に量だけ重ねていれば自動的に成績が上昇する他の科目と同じように考えてはいけません。

 

また、

 

モチベーションの向上に持続性があるかどうかが調査されているわけではないことも大切です。

 

いわゆる外発的な動機づけは、一時的なものとなることが多く、長期間に渡り、理想的なモチベーションを保つことができるわけではありません。従って、褒めていればよい結果になるというわけではありません。

 


66-3 ほめるかどうかよりも何を褒めるかの方が大切
ここまでのお話は、言い換えれば、問題は、褒めるか褒めないかの二元論ではないということです。

 

何を褒めるかということが大切です。褒めるという行為は、リードする行為でもあります。それでいい、その調子だと褒めるのはその方向性をもっと伸ばせというメッセージです。
従ってよくある言説としては、がんばったことを褒めるのが良いというものでしょう。

 

そうすると、子供はより頑張るようになるから・・・

 

というのが理由のようです。

 

ところが、これはあくまでも一般論の話であり、勉強をがんばれば、学力や成果との相関があるのでそうすればいいとは必ずしも言えないでしょう。問題はどうがんばることが良いのかであり、何を頑張ることが良いのかなのです。

 

頑張っていれば問題が解決する他の科目であれば、褒めていればいいのかもしれませんが、小論文ではそうではありません。要は、指導者が見えているものが大切ということです。どのようにリードしていけば成績が伸びるのかを熟知している指導者は、成績をぐんぐん伸ばすことができるでしょう。当然です。伸ばす方向性を見誤っていないからです。

 

このような事情を全く知らない人は、とりあえず何かを教えてもらって、+になればいい・・・という程度に物事を考えてしまっていることが少なくありません。


66-4 指導品質の見極めでほとんど決まってしまう
プラスになればまだしも、マイナスになる指導はたくさんあります。また、情報をたくさん教えてもらえばそれで受かる・・・と考えている人もいるようです。問題は情報の量ではなく、その質と理解度です。情報をいくら与えてもイチロー選手が生まれないのと同じで、情報の質と理解度が、成果を出す人はそもそも桁違いだという理解がなければなりません。

 

従って、たくさん情報を集めて、自分で判断して取捨選択して考えていけばいい・・・と考えている人は、多くのケースで失敗してしまいます。なぜならば、達人レベルの上級者の理解に短期間の情報収集で達することができないため、そもそも情報を得ても何が良くて何が良くないのかが分からないからです。

 

意思決定論の分野で古典的な名著とされる「経営行動」で、ノーベル賞を受賞したサイモンは、人の合理的な意思決定には限界があると述べています。今回のお話について言えば、情報を得ても判断ができないことが多いので仕方がないと言えるでしょう。

 

この意味でも、小論文指導については、何をどれだけ教えてもらっても、原則として、受講生は良し悪しを判断することは一般的に難しいと言えるでしょう。そのため、自分の主観的な満足を優先させてしまったり、子供が喜んでいるかどうかを優先させてしまったりと、不適切な判断で失敗する人が後をたちません。つまり、褒めるかどうかという言説は少なくとも小論文に関しては、指導の妥当性とセットで考えなければ、何も始まらないということです。

 

ほめるのがいいかどうか、どう褒めるのがいいのかというのは、この意味で、重要性は低く、大事なことはもっと本質的な部分と言えるでしょう。

 

66-5 指導者がウソを言わないという信頼関係
私が大切にしているのは、指導する側が、心理操作を行わないということです。当たり前のことです。しかし、この「当たり前」が、近年、当たり前ではなくなっています。

 

小論文の指導現場で、リライト(書き直し)をさせ、「良くなりました」と言うのは簡単です。また、ハードルを下げて、できたできたと褒めるのも問題があるでしょう。加えて、最初から、不合格になるのが分かっているような書き方をしている学生に対して、より一層不合格になりやすい指導を行い、「それでいい」、「とってもいい」と言うのも問題があります。

 

 

問題はこれらの各指導理論は、すべて例外なく、理論的であるということです。世の中のすべての指導理論は、すべて理論的ですので、これらの問題はすべて、解釈論となります。
良いも悪いも解釈論次第・・・という状況があるからこそ、私は「良くなくても褒める」というようなことをやらないと決めることに大きな意義があると考えます。

 

才能不要のテクニックとか、そういうものが空理空論になってしまいやすいのは、そもそも、本当ではなかったからという問題や、指導者が何かの本で読んでかじった知識を教えているからということが大きいのです。

 

このあたりの問題は根が深いので、また別の機会にご紹介します。




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