慶應大学 小論文対策 第四十五章 「すごい感じ競いあいっこ」ではないとは?

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第四十五章 「すごい感じ競いあいっこ」ではないとは?



45-1 「すごさの競い合い」だと考えてはならない

 多くの学生がどうやら勘違いしているのは、小論文試験にせよ、AO入試にせよ、「すごさ」の競い合いだと思っている点です。この「すごさ」については、「優秀さ」と言ってもいいかもしれません。

 漠然と「優秀なかんじ」と考えていると、これはほとんど「すごい感じ」と考えているのと変わりません。

 頭がいいから受かるんでしょ?と考えている学生は、(どうやれば頭がいい感じ)に見えるかばかりを考えるようになります。また、自分の答案で(頭がいい感じ)をどうやれば演出できるのかばかりを考えるようになってしまいます。



45-2 何がすごい感じなのかは分からないのに確信してしまっている

 ところが、このように「すごい感じ競い合いっこテスト」だと小論文試験を認識している人に、「何がすごい感じなのですか。」と質問しても、当然何も具体的な答えは返ってきません。「何がいいかは分からないけど、とにかくすごい感じだったら、すごいわけだから頭がいいってことであって、すごい頭がいいってことなんです!!」という具合の返事が、実質的に返ってくるわけです。ハチャメチャ答案というのは、およそこのような漠然とした誤解から生まれることがほとんどです。

 そして、不合格になってしまった後に、(なんでこんなにすごい感じなのに受からないんだ!!!)となってしまいます。それは、原因ははっきりしています。そもそも、小論文試験は「すごい感じ競い合いっこテスト」ではないのです。「すごい感じ競い合いっこテスト」だという認識を頭から消すことが大切です。



45-3 「すごい感じ競い合いっこテスト」という考えから生まれる悲劇

 小論文試験を「すごい感じ競い合いっこテスト」だと認識することから生まれる悲劇とは次のようなものです。


・難しい雰囲気をムンムンに醸し出すことに成功していれば、「すごい感じ競い合いっこテスト」で上っていうことなので、間違いなく点数が高いだろう。


・議論を整理していれば、「すごい感じ競い合いっこテスト」だから、一段と上のことができているということなので、間違いなく点数が高いだろう。


・原因を考えていれば、「すごい感じ競い合いっこテスト」では、他の人が原因を考えることにそもそも考えが及んでいないのだから、他の人よりも一段とハイレベルなことをやっているわけであって、これは間違いなくすごい感じを出すことに成功しているだろう。


・原因を考えて、さらに対策案まで述べてしまえば、「すごい感じ競い合いっこテスト」において、対策案まで述べてしまっているわけだから、上ということであって、他の人よりも上だからすごいということで、点数が高いだろう。


・反対意見に言及すれば、これは「すごい感じ競い合いっこテスト」において、反対意見に言及してしまうことができているのだから、他の人ができていない、より一層すごいことができているということであって、すなわち「上」ということだから、すごく点数がいいだろう。(※反対意見に言及するのがダメというわけではありません。)


 こんな風に紹介したわけですが、このように紹介すると、(そんな風に考えているわけじゃないけどなぁ)と思った人もいると思います。ここでご紹介した文章は露骨な表現なので、反発する心が芽生えてしまい、そんなことはないと思った人も多いかもしれません。

 ここで大事なことは、「そう」なのか「そうではない」のかではなく、考え方が似ているか似ていないかです。

 上記の考え方に共通するのは、「良い」方向へ、自分の答案をもっていこうとしていることです。この点について、自分の答案をよくしようとしているわけですから、小論文に対する取り組みとして、よくがんばっており、何もかも全部だめということはありません。ただ、正確に言えば、妥当な方向へ自分の答案を変えるというよりも、他の答案よりも一段上の状態に持っていこうとする考え方の方が強い考え方とも言えます。



45-4 現実には「上」だと考えていたことが「上」ではない

 ところが、認めたくないかもしれませんが、自分が「上」だと思っていたことは、実は上ではないということがよくあります。ここまでにご紹介した内容で確認してみましょう。


・難しい雰囲気をムンムンに醸し出していき、ペダンチック(学問ぶっている様子)な態度を取ることは、「上」ではありません。多くのケースで難しい内容を醸し出すことができていないばかりか、表現が不適当かつ曖昧になり、評価が落ちています。その時の評価は普通レベルではなく、30点台レベル、もしくはそれ以下ということが少なくありません。(あなたがそうだというわけではなく、多くのケースがそうだということだとご理解ください。)


・議論を整理しても、そもそも求められていない場合評価は高まりません。また整理することがポイントなのではなく、高いレベルでできていることが大切です。議論を整理する方がいい問題で整理すれば評価は高まりますが、不要な問題でやっても、何をやっているのかと思われるだけです。これは、「ワンパターン解法による失点」とも言えます。


・原因を考えて対策案を書くと、①「内容が非論理的」②「推測の連発になり、作文化」③「視野の狭さをアピール」などの問題が発生し、多くのケースで点数が下がります。このような状況は、「ワンパターン解法による失点」による悲劇とも言えます。


・対策案を述べることは「上」ではありません。(なんで?)と思われます。なぜ対策案を述べているのかよく分からないと思われることが少なくないということです。特に、課題文の内容を踏まえてあなたの意見を述べよという問題で、対策案を述べていると、議論が踏まえられていないと思われてしまうことが多いと言えます。「議論の整理をしていれば、課題文の内容が踏まえられている」と解釈することはできるかもしれません。しかし、多くのケースでそのような態度は、単なる「設問無視」、「課題文の論考回避」、「自分都合の主張のオンパレード」につながりがちです。出題者の意図を汲み取らず、設問の要求を無視し、課題文の中で行われている論考に参加せず、ただ単に自分が思ったことを連発する答案では、高得点は望めません。


・反対意見に言及することは、一般的に論文を書く際に好意的に評価されます。ただし、ここで満足してはいけません。問題はその反論の妥当性です。また、自分が反論を行う際に、自分の答案を総合的に見て、論理的に妥当でなければなりません。そもそも自分が述べている内容が非論理的である場合、論理構成が脆弱な場合、論考として不適当な場合、論点が散漫な場合、反論が論理的に有効に機能していない場合、単に反論しているだけで論理的に妥当ではない場合など、多くの失点パターンが「反論を取り扱った答案」に見受けられます。


 ここまでにご紹介したように、多くの受験生が「上」だと思っていることは、実はまったく「上」などではない(ハイレベルとは言えない)ことが少なくありません。なぜこのようになってしまったのでしょうか。頭が悪いわけではありません。ふわっとした雰囲気と空気感の中で、教える側が、なんとなく「上な感じ」を醸し出す指導を行っていたケースがほとんどだと言えるでしょう。また、「ワンパターン解法」を身に着けてしまった学生は、思考方法がワンパターンになるので、書き方も考え方もセットだと思いこんでいます。こうなると、とりあえず反対意見に言及しとくか・・・ということになりがちです。そもそもなぜ言及するのかよく分かっておらず、何を全体の文章でやるのかも考えていない状態で、(とりあえず、「確かに」と書いておけば点数が高くなるってことでしょ?)と考え、文章を書いてしまいます。



45-5 妥当性を高めれば結果として高得点につながる

 今まで「上」だと漠然と思っていたことが、ハイレベルではないのであれば、どうやれば、高い点数を実現できるのでしょうか。

 その答えは、妥当性のレベルを高めることです。


・あなたの答案構成は、論文の答案として妥当だと言えるでしょうか。

・あなたの答案は論理的に妥当でしょうか。なぜそうだと言えるのでしょうか。

・あなたの答案は、表現が適切であり、妥当だと言えるでしょうか。

・あなたが答案で見せた発想は、妥当だと評価されるでしょうか。


 このように、何が妥当なのかを考察しなければなりません。ただし、多くのケースで、考察するだけでは不十分であり、教えてもらうことが必要でしょう。



45-6 市販の書籍でも予備校で学べない?

 小論文の答案について、何が妥当なのかを考察した本も売られているようです。しかし、その内容は、少なくとも私の目から見れば、かなり妥当とは言えないものでした。

筑波大学の名誉教授いわく、市販の小論文本の95%は不適当な内容とのことです。こうなってくると、多くの人は、「何が妥当なのか」をなかなか学べないということになるでしょう。



45-7 設問の要求・出題意図を無視してはいけない

 設問の要求・出題意図に応えていくということは、大変重要なことです。しかし、無視されがちです。

 「すごい感じ競い合いっこテスト」というのは、小論文試験を「文章テスト」だと認識する考え方です。文章がすごいかどうかのテストではありません。自分の頭がいいかどうかのテストではありません。出題者を無視してはいけません。出題者の要求を無視するのは、出題者の存在を無視するようなものです。出題者が「この点について考えなさい」と言っているのに、それを無視して、あさっての方向を見て、自分が思うことを述べまくるようなことはやってはいけません。

 しかしながら、多くの小論文の答案は、論点で考えるという発想が欠落しており、これをやってしまいます。

 なんとなくテーマがあっていれば、あとは何を述べようが自分たちの勝手なんでしょ?と考えていると、大きく失点するということです。論文とは論点を含む文章のことです。論文はテーマ文ではありません。テーマ文とは、作文のことです。作文は特定のテーマについて書かれた文章のことです。「すごい感じ競い合いっこテスト」だと論文テストを認識してしまった場合、特定のテーマについて何かしら「すごい感じ」にすれば点数が高いと考えてしまいます。すごい感じにすることを出題者は求めているわけではありません。特定の論点について、きちんと考察することを出題者は求めています。

 問題設定を行い、点数が上がるのは、論点を明示するためです。出題者側と、論文の論点についてきちんと確認しあうことで、何の論文なのかを採点者に知らせることができます。

 論文を書く際には、序論・本論・結論で書くのが世界のスタンダードですが、序論とは、問いを明示する場所です。序論がない文章は、何の文章か、何の論文なのか分かりません。

 以下のような考え方はまずいということです。


【不合格になりやすい考え】

・好き勝手にまとめればいいんでしょ?すごい感じになればいいんでしょ?

・すごい考察だったらいいんでしょ?一段上のことができてればすごいでしょう?

・すごい対策案を述べればすごいでしょ?だってだれもこんなすごい対策述べていないんだから。



45-8 問いを設定するということ

 論文テストで問いを設定することにはどんな意義や価値があるのでしょうか。一般的に私の経験では、問いを設定するほうが、小論文試験でも点数が上がることが多いようです。その理由はたくさんあるので、また別の機会でお話しましょう。

 問いを設定するということは、(小論文以外の)論文ではどのような学問の系譜の中のどの部分に自分の研究が位置づけられており、どのような先行研究に基いて、自分が着想を得たのかを明らかにしていくことでもあります。

 社会背景を述べれば、それが「正解」なんだから、社会背景を述べるのが正解で勝ち・・・というように、ハチャメチャに考えないようにしましょう。





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