慶應大学 小論文対策 第十八章 論証能力の高さと小論文

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第十八章 論証能力の高さと小論文

 

18-1 軽視される論証能力(日本の論文指導がおかしな部分)
 日本の小論文指導教育では、一般的に論証能力が大変軽視されています。もちろん、論文試験≒論証試験というわけではありません。そんなことは大学の教員が勝手に決めることです。論文試験の内容をどうしようが、どう評価しようが、基本的には大学の教員の勝手です。
 しかし、だからといって重要な原理原則を無視してもいいということにはなりません。もしも教員が決めることなのだから、どうしようもないのだなどと考えてしまえば、論文試験に対してなんら有効な打ち手もなくなってしまうでしょう。
 原則として、小論文試験で「論じなさい」と言われたときは、理由(論拠)と共に、仮説を提示しなさいということです。そして、その際に、論文として内容をまとめることを求められています。なんでもいいので適当に作文してくださいというのとはちょっと意味合いがちがうところがポイントです。
 小論文の書き方と言えば、一般的には型(評価されやすいとされる構成)が語られがちです。しかし、型はあくまでも便宜的な説明、あるいはテクニックにすぎません。原則としては、自説+論拠・根拠というように考えることが大切ですよ。
 そして、「自説+論拠・根拠」をどのように構成するべきかについての理論的な指導がいわゆる小論文の型だと考えることが大切です。大学側は型にはめてほしいわけではありません。また、大学側は型で書いてほしいと考えているわけでもありません。論文なのだから、序論・本論・結論で書いてほしいと考えています。その序論・本論・結論とは、問題設定→論証部分→結論のことです。
 一般的な学術論文の場合、全体を満遍なく評価されます。しかしながら、中核的な評価軸が存在します。その評価軸とは、「論証できているかどうか」です。論文として成立しているかどうかとは、言い換えれば論証できているかどうかと言っても過言ではありません。このような論文に関する中核的な評価軸は、論文を審査する側の人が考えているものです。
 ひるがえって小論文試験についてはどうなのでしょうか。そもそもなぜ小論文試験が用意されているのかについて、私たちは考える必要があります。
 例えば慶應大学の経済学部は一度小論文試験が廃止になっています。しかし、小論文試験が復活しました。その理由についてある教員は、大学でディベートの講義を行い、演習をしたところ、誰も何も言えなかったと、そしてこれでは慶應の学生としてまずいということで、入試の段階で論理思考による選抜を行うようになったとのことです。
 それでは、もう少し掘り下げて考えてみましょうか。なぜ大学側は、ディベートの力がない学生を見て、まずいと思ったのでしょうか。論理思考ができないということは、現実への対処能力が低いことに他ならないからです。論理思考の精度が低いということは、推論能力が低いということであり、同時に、説得的に人に情報を伝える力がないということです。自分で考える力もないし、人に影響力を与える力もないというのでは、エリートとしては大変問題があると言わざるを得ません。少なくとも、国家や企業の中で中心的な役割を果たしていく人材を養成するのであれば、この二つの力は決定的に重要です。国家や企業のトップ層が、事実を推し量れない、人を動かせないということでは、話にならないからです。そのためというわけではありませんが、このあたりの能力は海外のトップスクールでもかなり重視されています。ハーバードなども同様です。
 論文試験で論証能力を見れば、その受験生のこれらの力(推論能力や論理的思考力、仮説検証型の思考力、人を説得的に動かす力、社会に影響力を与えることができる力など)を推し量ることができます。

 

18-2 指導らしい指導が存在しない
 しかし、小論文指導の世界では、型ばかりが指導され、肝心かなめの基本的な論理思考についての指導が成されません。したがって論理思考について理解を深めようとする学生はおらず、どの本を読めば合格できるのかと、的外れな質問をする学生が増えています。小論文試験でマスを埋めることができないのは、知識がないからではありません。考えることができていないからです。
 そこで、この論理思考の部分を分かりやすく解説するために、拙著「小論文の教科書」(エール出版社)を執筆しました。まだ読んでいないという声も聞こえてきそうですが、ぜひ読んでおきましょう。

 

18-3 論拠と根拠で主張を支える
 小論文試験の答案について重要なことは、論拠と根拠(データなど)で、自分の仮説を支えることです。
 論拠は一般原則であるのが理想です。例えば、クラスメートに田中君という男の子がいて、彼がもてるということを主張したとします。

例)田中君はもてると私は考える。なぜならば、田中君はパンクでロックな男だからだ。

こんな文章があったとします。この文章は妥当でしょうか。あまり妥当とは言えませんね。土屋アンナさんのような人がクラスにいれば、パンクでロックな人がもてるのかもしれませんし、パンクでロックな人がかっこいいかもしれません。しかし、あくまでも一般論として、パンクな度合いが高いほどかっこいいとはなかなか言えません。それは好みの問題であり、原則とは言いにくいですね。

 

18-4 理由は一般原則であることが理想
 一方で次のようなものはどうでしょうか。

 

例)田中君はもてると私は考える。なぜならば、田中君はかっこいいからだ。

 どうでしょう。ちょっと説得力がありますね。なぜかと言えば、かっこいいということは一般的にもてるということだからです。このように、論拠は一般原則であるのが理想です。このような論理的な思考のことを、演繹的な推論と言いますよ。

 

18-5 複数の論拠、複数のデータで自説を支える
 理由を考えた時に頭に思い浮かんだ概念を一般原則に近づけていくことを考えてみましょう。その上で、いくつかの理由を考えることが大切です。
 基本的に、自分の主張が一つの理由だけで支えられている構図は大変脆弱な論理と言えます。いくつかの理由、事実によって、自説を支えましょう。
 ※ここでお話ししていることは、原則です。学部や問題によって例外はあります。

 

18-6 理由の妥当性、データの妥当性に注意しながらそれぞれを評価する
 自説を支える理由やデータは、問いの論点とどれだけ論理的に関係があるかが重要になります。自分の主張である仮説と論理的にあまり関係がない理由を書いている受験生が大変多いです。いくつかある理由を評価することが大切です。そして、データから理由、理由から主張についての論理の飛躍があるかどうかに注意しましょう。
 理由はもれなく重複なく組まれているでしょうか。このあたりについても、知らなかったという人は、もう一度「小論文の教科書」を読んでみましょう。小論文の添削指導で見てもらわなければならないのは、このような点です。アルバイトの添削だと、肝心要の論理性のチェックができないことがほとんどです。もともと、大学教育は、その論理性を強化することが一つの大きな目的になっています。そのため、論理について指導ができることが教授会で認められた教員がその指導にあたるという構図があります。
 「小論文の勉強を早めに開始しておきましょう」といつも私が言っているのは、このような論理的思考力についてのスキルを養成するためです。この論理性については、論文の評価に大きくかかわるところであり、同時に実力養成に時間がかかるところです。ふてくされず、コツコツがんばることが大切ですよ。

 

18-7 論証能力の前にあるのは、実態を推し量る力
 ここまでお話をしますと、なぁんだ小論文の勉強は細かいことばかりで楽しくないなぁと感じてしまうかもしれません。しかし、小論文試験の勉強は実社会であなたがどれだけ活躍できるかを決定づけるようなものです。
 こんな風に言えば、少しは興味が湧いてくるかもしれません。一般的に頭がいいというのは、実態を推し量ることができることを指します。これはテスト以前の問題です。テストができる人は頭がいいと思われますよね。その理由はテストができるということは、実態を推し量る力もあるとみなされるからです。もしもテストができても、実態を推し量ることができないなら、それは頭が悪いと世間では評価されてしまうでしょう。
 小論文試験は、他の科目のテストとは違い、この「実態を推し量る力」をダイレクトにチェックされます。要は、小論文試験ができるということは、頭がいいという評価につながりやすいということです。こんな風に考えると興味が湧いてくる人もいるかもしれませんね。
 論証能力という言葉をここでは分かりやすく話すために使っていますが、ごまかしの詭弁力のようなものを小論文試験では試されているわけではありません。「伝える力」を見られています。物事を整理して、論理的に伝える力がある人は、有能であり、そうではない人は、低く評価されてしまうということです。
 論理力については、小手先のテクニックだと思ってはいけません。型にはめてみたり、構文を使ってみたり・・・というのは論理力ではありません。また、単に読解するだけの力を論理力と考えてもいけません。論理力とは、分析力のことであり、人に物事を伝えて影響を与える力のことです。

 

【論理力とは】

  • 1)分析力・・・物事を正確に分析する力・実態を推し量る力
  • 2)影響力・・・リーダーに必要な力・社会に影響力を与える力

 

 小論文が慶應大学の経済学部で復活した理由についてもここではお話ししましたが、このように考えればなぜ慶應大学が日本でもっとも小論文試験を重視する大学なのかが分かると思います。

 

18-8 自分が書いた論文の答案構成を毎回チェック
 私が主催する慶應大学進学専門塾「慶應クラス」では、小論文を書いた後、毎回必ず自分の答案について分析をしてもらっています。自分が書いた答案の論理構成をもう一度自分んでチェックし、どこが甘かったのか、より良い理由とはどのようなものか、データは適切だったかなどを振り返ってもらいます。
 一般的に小論文は、「練習」などと称して無目的な練習が推奨されがちです。また、添削を受けさえすればいいと考えられるところがあり、何をどのようにチェックされても問題なしなどと考えられてしまうことがあります。これらはどちらも不適切な考えです。
 無目的な練習は何も生みません。一度練習すれば、他の人の何倍も成長しなければ時間の無駄遣いです。また、添削を受けても、重要な部分について、評価できる実力がない人が指導にあたった場合、間違ったことを指導される危険性があります。また、せっかく練習したのに、重要な成長機会を逃してしまうことにつながるでしょう。大変な損失と言わざるをえません。
 小論文の練習をする時には、今日お話しした点に注意して、必ず自分の論理構成について、振り返りましょう。どのように理由を書けばよかったのか、なぜよい理由を書くことができなかったのか、いかに頭を働かせれば、この問題は解決するのかなどを考察することが大切ですよ。

 

18-9 私の本を読んだだけで問題が解決しない時
 私の塾の生徒さんと話をしていると、今日お話しした点について、問題を抱えている人がいます。しかし、話をしてみると、例外なく、理解度と記憶の度合いが欠落しているケースです。これはやや厳しい言い方です。
 彼らの能力が低いわけではありません。まだ小論文を勉強しはじめなだけです。他の科目の勉強もあり、小論文の勉強ばかりをできるわけではありません。だから仕方がありません。
 私が書いた本を読んでいても、今日ここでお話しした内容について十分に理解できていない場合、問題は解決しません。また、重要な部分について、記憶できていない場合問題が解決しません。
 例えば、理由を書くことができない場合、何を考えればよかったのでしょうか。これは「小論文の教科書」に書いています。また間接的な説明は「小論文技術習得講義」にも書いています。
 このように、小論文を書くという現実の問題を解決することができない場合、小論文の答案を通じての質問や、メール、電話などの質問で問題を解決していきます。
 私が小論文の指導などについて、情報単位で考えてはいけませんよといつもお話しする理由はここにあります。情報提供だけで人は成長できません。だからこそコーチや指導が必要になってきます。オリンピックの金メダリストに柔道の方法を教えてもらえば、すぐにその人がオリンピックで金メダルを取ることができるわけではありません。何を自分が理解できていないのか、何を記憶できていないのか、どのような身体動作が備わっていないのかなどを理解して、記憶していくプロセスが必ず必要になります。自分ではわからない、気づかない、勘違いをするからこそ、コーチが必要です。ここで選ぶコーチを間違えると、不適切な内容を指導され、不適切に理解し、不適切に記憶し、不適切なアウトプットをするようになってしまいます。
 「本に書かれている内容と、塾の指導内容は同じなのでしょうか」などと質問することにほとんど意味がない理由は、情報を受けても問題をすべて解決できないことが多いからです。(もちろん、情報を得なければ、もっと問題は解決しません。これは程度の問題です。)ちなみに上記のご質問の答えは、「はい」と「いいえ」ということになると思います。私がここで今日お話しした論理性についてのお話は、大変重要な原則です。ですから塾で話すこともあるでしょう。その意味では、「はい」です。しかし、ここでお話ししたことは、一般論に近いことです。現実にはいくつもの誤解のパターンや勘違いのパターンが存在します。それらの個別の問題を解決するための細かい授業も塾ではたくさん用意しています。また、今日のお話の背景や、ここでたくさん話すと「話が長すぎる」と感じて嫌がる人には伝えられない詳しい解説も塾ではやらなければなりません。このような意味では、「本に書かれている内容と、塾の指導は同じなのでしょうか」というご質問に対する答えは当然「いいえ」になります。
 塾の中では、人間と人間の付き合いという色合いが濃くなると思います。公的な発言に近い部分では言えない勘所もたくさん話すことができるでしょう。これは情報発信の都合の問題でもあります。書籍は残るものなので、本音で言えないことはどんな書き手でも存在します。本には書けない内容もあれば、テキスト情報では伝えられない情報もたくさんあります。
 物事を情報(いい方法ないの?という考え)だけで構成されていると考える人は問題を解決できません。理解の重要性や、記憶の重要性、スキルアップの重要性を軽視しているからです。

 

 

 

 

 

 

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