慶應大学 小論文対策 第十三章 小論文の実力のつけ方

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第十三章 小論文の実力のつけ方

 

13-1 予備校の論法にやられない
 小論文の実力向上については、かなりの程度、予備校や塾の「売り文句」の犠牲になっている人が多いように思われます。
 一般的に、「これだけやれば受かる」「具体的にこうやればよい」「過去問題を練習すれば受かる」というようなことが言われがちです。
 このようなアドバイスを真に受けた人が不合格になっています。小論文の対策をどうやればいいのかについては、「何をやってはいけないのか」を知ることと不可分です。なぜならば、いいかげんな対策が最も点数を落とすからです。いいかげんな対策をしてしまった場合、合格もヘチマもありません。したがって今日は、これらの3点について解説を加えた上で、どのように小論文の実力向上を考えるべきかについてお話ししましょう。

 

13-2 「これだけやれば受かる」のウソ
 本当にわずかなことを知っているだけで、あたかも小論文試験に適応できてしまうかのような錯覚を与える言説があります。もちろん、商業的な色合いがコピーなどに出るのは、一種仕方がないことであり、市販の本については、売り文句としてのタイトルがつけられるのは仕方がないことと言えます。したがって、これらのタイトルにいちいち目くじらを立てるのは、馬鹿げているでしょう。実用書に求められるのは、一定の視点とその視点に基づいた問題解決です。学術書を作っているわけではありません。
 ここで大切なことは、タイトルがキャチーかどうかという問題ではありません。実態の方です。どのようなタイトルをつけようとも、そのタイトルではなく、内容の通りにやっていけば再現性がある場合、なんの問題もありません。しかし、そうではない場合、大変大きな問題があると言えるでしょう。
 小論文に関して重要なことは、「論理」と「感性」です。この二つは基本の力に該当します。ところが一般的な小論文の本は、論理も感性も軽視しています。これがなくてはどうにもならないという最も重要な力について、何ら言及がないばかりか、テクニックで論理力が無くても、感性がなくても試験をパスできる可能性にかけるギャンブルのような指導が成されています。だからまずいのです。
 どんなテクニックを用いても、内容が論理的ではない論文は答案としては0点に近いものです。0点がかわいそうなので、20~40点の点数が与えられている現実を私たちは直視する必要があります。いかにして論理を組むかということに神経を注ぐ必要がありますよ。必要最小限の対策パッケージが、「原因を書いて対策を書く」「発想アイデア集」「答えのようなネタ集」「特定の構文当てはめ型テクニック」などだと、不合格への切符を手にしているようなものです。そもそも原因を書いて対策案を書くのが論文ではありません。その考えは不適当であり、非論理的になる文章設計法です。

 

13-3 「具体的にこうやればよい」のウソ
 小論文指導について、具体的に教えてもらいたいと考えている人がいます。こういう人は、具体的に考え方を教えてもらうと喜びます。たとえそれが間違った不適当な、実態からかい離していく適当な考えであっても・・・・です。
 例えば、「原因を書いて対策を書け」と言われれば、受験生は(具体的だなぁ)と、一段具体的なことに喜びます。そして不合格になってしまいます。「確かに~しかしと書け」と言われれば、これまた(すごく具体的だなぁ)と喜びます。そして、予想されない反論を扱い「確かに~」と書き、論拠にすら言及せずに自分の新しい主張を展開し、「しかし~(自分の考え)」評価を落とします。なぜ評価が落ちるのかを理解すらしていません。きちんと教えてもらっていないからです。基本を教えてもらう前に、役立たない便法を教えてもらってしまうと、何が大事なのかまったく考えることなく、教えてもらったことをやってしまいます。
 ここでご紹介したような悲劇が起こるのは、受験生側に、何が適切なのかを判断する力が不足しているためです。これは仕方がないことです。分からないから教えてもらおうとしているわけですからね。しかし、その分からないのをいいことに、かなり適当なことを教えてしまう人が中にいます。無料でこのような情報が配布されると悲劇が起こります。
 本来小論文試験とは、このように、丸暗記で対処する学生がほしくないからこそ用意されているものです。答えを暗記してその答えを吐き出すだけの学生は優秀ですが、ある特定の視点から見た場合、能力が低いと評価されてしまうでしょう。最高学府と呼ばれる東大のある学生は、大学教員に講義中に質問され、次のように答えたそうです。「先生は私に答えを教えてください。質問はしなくてよいです。私は答えを教えてもらえれば、その答えを完璧に暗記します。そして答えを出せるようにします。」これは、大学以降の学問(問いを学ぶと書きます。)と、高校生までのお勉強を混同してしまった場合の答えです。大変優秀な東大の学生でもこのような勘違いをしてしまうことがあるようです。皆さんが何かしら勘違いしても仕方がありません。大学以降は答えがない問いを学ぶのです。したがって教員も答えは知りません。そもそも世界中の人が答えを知らないのです。学問はその答えらしき真実を科学的に推し量ることができるように設計された知の体系です。その知の枠組みを学ぶ際の作法や態度とは、真実に対して謙虚に、そして、問う態度を大切にすることなのです。小論文試験は、半分大学の教育に足を踏み入れるような科目だと思いましょう。一般的には、答えがない問いに対して、あなたなりの仮説を述べ、その論拠を整理して述べる試験です。
 「具体的にこうやればよい」というのは、一種の答えとしてのアプローチです。「どうやればいいのですか」と問うことが癖になっている人は、答えとしてのアプローチを知りたがっています。私たちは小学生から高校までずっと答えを教わってきました。学ぶこととは、答えを暗記することだといつの間にか錯覚してしまうのも無理はありません。しかし、本来学ぶということは、答えを暗記することではありません。実態を推し量り、自分なりに世の中の現象を紐解いていくことです。したがって一つ一つの状況に対して理想的な答えらしきものがいくつも存在することはあったとしても、漠然とした大まかな問いには、手順は存在せず、アプローチしか存在しません。皆さんが、答えだと思っているものは、アプローチに還元して考えることが大切です。このアプローチを「方法」なのだと考えるところから悲劇が始まります。
 「きれいになるにはどうすればいいですか」「幸せになるにはどうすればいいのでしょうか」という質問と、「小論文の対策はどうすればいいのか」という問いは、似ています。漠然としすぎており、一般化できないということです。
 きれいになるには、原理原則があります。幸せになるにも原理原則があります。小論文の実力が向上することや、論理的に考えることができるようになること、柔軟に発想できるようになることにも、原理原則があります。
 したがってこのように漠然とした問いに対応するには、諸般の原理原則に照らして、矛盾のない理想的なアプローチを設計する必要があります。これらの原理から外れると、そのアプローチは力を失います。私が塾を運営するとき、「原則中心の考え方」を大事にしているのはこのためです。人の脳のメカニズムや、思考の仕組み、頭が良くなる仕組み、発想しやすくなる仕組み、能力がガクンと落ちる仕組みなどから離れて、小論文の対策を行うことはできません。だから原則を大切にするわけです。
 原則を中心とした考え方は、時に抽象的です。音楽をやっている人は、歌がうまくなるにはどうすればいいかを考えることがあるかもしれません。指導は抽象的になります。スポーツをやっている人は、どうやればもっとうまくなるのかについて考えることがあるかもしれません。イチロー選手などの一流選手が述べる上達論はやはり抽象的です。しかし、多くの人は、具体的なアドバイスを求めてしまいます。イチロー選手を目の前にして、「要は具体的にどうやればメジャーリーガーになれるのか教えてください」と言ってしまうようなものです。そのような問いを誰に発しても、メジャーリーガーになれる道理はありません。
 多くの受験生は、具体的かつ不適当な内容を教えてもらうことで大きく点数を落としてしまっています。大学での学問が、具体的な答えを暗記することではないことを思い出しましょう。具体的な指導≒合格できる答え≒自分の合格という公式を頭から消しましょう。それでは合格できません。それは公式ではありません。
 まとまめましょう。以下のように考えることが大切です。

 

間違った認識
 ◆具体的な指導≒合格できる答え≒自分の合格

 

適切な認識
 ◆原則中心の指導(多少のあいまいさを許容する指導)≒合格できるアプローチ≒自分の合格

 

13-4 過去問題を練習すればよい
 言うまでもなく過去問題は大切です。しかし、過去問題が大切なので、過去問題をやっていれば合格できるということはありません。これはちょうど、試合の形式が大切なので、野球をやっている人は、練習試合だけをやっていればよいわけではないのと同じです。特殊な大学を受験するので、特殊な問題をやればよいというのも間違っています。特殊なチームと対戦するのに、特殊なチームと朝から晩まで練習試合をしたとしましょう。結局負けるでしょう。要は実力が伴っていないからです。肝心かなめの実力をどのように高めるのかという発想が完全に欠落していると、過去問題をやっていれば合格できるとか、合格するためにはたくさん過去問題で練習しなければならないなどという間違った認識に至ります。
 多くのケースで過去問題を推奨するのは受験産業の側です。受験産業の側は、皆さんのこのような先入観につけこみ、あたかも過去問題をやらなければどうにもならないように考えさせ、過去問題を中心としたサービスに申し込ませます。「あなたの志望校にあった対策ができる」などの売り文句は、高校から大学、資格試験に至るまで溢れています。一方で東大に現役合格する人は、教科書の内容を大切にしており、教科書しか勉強していなかったなどということはざらです。その反対に、早慶の英単語などというものを買い込み、シコシコ覚えている人が、早慶にも不合格になっています。何が起こっているのかを見極めることが大切です。
 実際問題、私が主催する慶應大学進学専門塾でも、過去問題だけを毎月練習することはできますが、過去問題ではなく、塾の課題問題をやる人の方が合格しています。「慶應クラス」(慶應大学進学専門塾)の基本的なカリキュラムは、毎月課題問題(2回~4回)+過去問題1回です。この通りにやる人と、過去問題だけをやる人では、なぜか課題問題をやる人の方が合格するのです。過去問題にこだわる人は、問題の形式やテーマにこだわっていることが少なくありません。その結果、基本を軽視する傾向が強いようです。過去問題に適応する方法に熟達すると点数が伸びるような問題を作ってしまうと、大学側は優秀な人材を確保できなくなってしまいます。しかしながら、そのような心配をする必要はほとんど必要ないくらいに、普通に論じる問題を作るだけで、基本的な力が欠落している人は、対応できません。過去問題にばかりこだわる人は形式にばかり対応しようとすることで、思考力が犠牲にされてしまい、考えることができなくなってしまっています。
 「過去問題に対応しきったこのカリキュラムで受かる!」という売り文句は、言い換えれば、小論文の実力がどうなっているのかはよく分からないけど、過去問題は一応公開されているし、この過去問題を扱えば、(小論文がどうなっているのかよく分からないけれども)、勝手に受験生が勘違いして申し込むのだから、とにかく過去問題を前面に押し出して生徒を確保しようという受験産業のポジショントークであることが少なくないと覚えておきましょう。
 過去問題は大切ですが、大切なことはエッセンスを抽出することです。過去問題は大学からのメッセージです。大事なことは過去問題の内容ではなく、メッセージの方です。法学部は皆さんの立論能力や理解力を求めています。経済学部は人を動かす力や論理思考の精度を求めています。総合政策学部は分析能力と、近年は特にデータサイエンス系の思考力を求めています。環境情報学部はプレゼンテーション能力や構想力を求めています。文学部は感性や表現力を求めています。これらのメッセージをくみ取り、自分の実力を向上させることこそが重要です。やみくもに過去問題をやり、やりっぱなしにして何が大切なのかもわからず、どのようにこれらの求められている力を伸ばせばいいのか見当もつかないというのがもっとも愚かだと気づかなければなりません。過去問題は、形式が合致しているだけであり、能力の向上に適したツールではありません。

 

13-5 小論文の実力をアップさせる両輪とは
 小論文の実力をアップさせるものは、大きく二つです。「適切な指導」と「適切な学び」です。このどちらが欠けても小論文試験で実力を伸ばしていくことは難しいと言えるでしょう。

 

13-6 適切な指導とはどういうことか?
 適切な指導とは、合格できる指導のことです。「合格者がいる指導」のことではありません。合格者がいる指導が妥当ならば、この世の中のすべての指導は妥当ということになってしまうでしょう。試験が簡単な場合もあれば、ラッキーで合格したケースもあれば、もともと優秀な人が指導を受けていたケースなどもあるのです。したがって重要なことは、その指導が合格しやすいかどうかということになります。
 手前みそですが、私が指導する内容は、慶應大学4学部合格、全国模試トップ0,1パーセントの成績、早慶模試全国1位、法科大学院なども次席合格などというように、トップ層へと成績を引き上げるのが特徴です。小論文指導には、成績が引きあがりやすい指導と、引きあがりにくい指導が存在します。
 受験業界には、ウソの合格報告や合格実績が多いので、私が主催する塾では合格証書や動画、模試の結果などをご紹介しています。
 小論文の考え方、作法、やっていいこと、悪いこと、書き方などについては、指導者によって指導内容がバラバラです。「適切な指導」を受けるかどうかが、合否に大きく影響する変わった時代が今の時代と言えそうです。

 

13-7 「適切な学び」とはどういうことか?
 適切な学びとは、皆さんの学び取る力のことです。どんなに適切な指導を受けても、自分で知見を広げ、自分で学び取らなければ成長は起こっていきません。言ってみれば、適切な指導とは、正しい方向に向けることであり、適切な学びとは、その方向へしっかりと進むことです。(添削でアドバイスをされた後に、自分でアドバイスされた内容を理解し、同じ間違いを二度としないように気を付けなければなりません。)
 小論文について、何かを学び取るには、本や情報だけではなく、考え方が大切になります。例えば以下のような考え方です。

 

  1. 1)小論文の学びを情報単位で考えない。
  2. 2)主体的に学び、受け身で学ばない。
  3.  
  4. 3)意思の力を重視する。

 

【重要原則1:学びを情報単位で考えている人は伸びない】
 小論文の学びを情報単位で考えている人がいます。もっと情報を出してもらえれば、受かるのに・・・という考え方はある意味で適切かもしれません。しかし、ある意味では不適当な考え方です。例えば世界一の砲丸投げのコーチが目の前にいたとして、このコーチが日ごろから大切にしているトレーニング理論があったとしましょう。このコーチのトレーニング理論は、本で学べるでしょう。それでは、もうこのコーチに直接指導を受けることは意味がないのでしょうか。既に情報はもらっているのですから、このコーチに新しい情報をどんどん出してもらわないとあなたの力は高まりませんか?そんなことはありません。なぜならば、そのトレーニング理論を世界一理解しているのは他でもないコーチだからです。そして応用をきかせることができるのもそのコーチです。そのトレーニング理論と一貫性のある指導ができるのもそのコーチです。指導は情報単位でしかないと勘違いしてしまっている人は、物事の理解や、考え方を軽視しています。自分が考え方を変えることができないからこそ、実力を伸ばすことができないのです。自分が何かをうまくできないのは、理解が不足しているからです。それにも関わらず自分の考え方を顧みず、自分の力は情報だけで高まっていると勘違いしてしまうと、不幸が起きます。なぜならば、いくら情報を仕入れても、自分の頭の中で整合性が取れず、混乱が起こり、理解できない時に人は何の問題も解決できないからです。明確にコーチに「こうしなさい」と指示してもらうことが重要になります。そうやって自分の考え方を軌道修正してもらうことで、成果につながります。情報さえ得ればいくらでも成長できるのであれば、あなたは誰からも何も学ぶ必要はありません。情報の羅列を見ればいくらでも成長できるということになってしまうでしょう。もちろん、そんなバカげた話はありません。何がどれだけ重要なのか、比重を指導してもらい、理解を深め、考え方を変えた時に人の成長は起こります。

 

【重要原則2:主体的に学び、受け身で学ばない】
 何も考えないと成長は起こりません。成長する人とは、よく考える人です。なぜ全国60万人の生徒は等しく同じ授業を受けているのに、成績が良い人と悪い人がいるのでしょうか。成績が上がらない人は、有名講師の授業を受けることができている人は、成績が上がると思い込んでいます。しかし、有名講師の話などまったく聞かなくても、数学でトップの成績になる人はたくさんいます。なぜこんなことが起こっているのでしょうか。人は物事を自分から主体的に理解しようと努める時、もっとも理解できます。もちろん、教え方がうまい人は、人に物事を理解させるのが上手です。しかし、教え方だけで理解力は決まっているわけではありません。自分は何ができないのか、どこを分かっていないのか、どこが分かっているつもりになっているのか、これとこれの違いはどこか、どの程度違うのか・・・というように、物事の温度差や、自分が理解できていない場所、理解の深さについて自問自答することができている人は、大変成長しやすい人です。一方で講師や先生が何かを教えている時、右耳から聞いて、全部左耳から抜けている人は、頭がぼーっとしているので何も分かりません。新しい情報を追加でもらうことを考える前に、目の前に出されている学習教材を消化し、自分なりに理解しようと努める人は成長します。一方で、やるべきことをやる前から、「具体的にやり方を教えてください」とおんぶにだっこを求める人は不思議と伸びません。結局何を教わっても、すべておんぶにだっこで、自分が最初から最後まで少しも主体的に考えることなく、頭を一切使わずに言われたとおりに何かをやれば合格できるということにかけてしまっている人、あるいは、そのような状況に大きな魅力を感じており、その手の誘惑にあらがうことができない人は、合格できません。何かを考えるのではなく、知的に怠惰になり、全部指示してほしい人は、自分で物事を考えなくなります。また、考えることが面倒なので、考える試験である小論文試験が苦痛になります。普段から物事を考えることに慣れ、自分から主体的に考えることが大切です。

 

 ◆どの本を読んだらいいですか
 ◆どの部分を読めばいいですか
 ◆どの部分をどのように抜き出せば合格できますか

 

 このような質問もよくありますが、あまり良い質問ではありません。気持ちはよく分かりますが、このような受験生の困りごとにつけこみ、ネタ本やノートの取り方(どこを抜き出せばいいか)などを指南する人が必ず出てきます。だいたいこれで受験生はだめになります。どの本がお勧めかまでは、百歩譲っていいとしましょう。どの部分を読めばいいのか、どのようにノートを取ればいいのか、どのような知識があればいいのかまで教えてもらうようになったらおしまいです。大学側もそのようなことを求める学生に対してガックリくるでしょう。もしも事前にこのような問いを発する受験生を知ることができるならば、大学はその学生を落としたいと思うでしょう。自分が何に知的好奇心があるのかもよく分からない、物事を達成するために、何が大事かを考えることができない、考えることも面倒に感じてしまっている、主体的に学ぶ意思が欠けている、思考する体力が無いということは、大学で学ぶ力も不足していると考えられるからです。

 

【重要原則3:意思の力を重視する】
 意思は精神論だと思っている人も、小論文の実力を高めることができません。本来学びとは、学ぶものではなく、学び取るものです。
 意思の力を希薄化させたときに胎児なことは「方法」になります。物事を達成するのにハウツーはよく求められます。しかし、世の中で物事を達成している人のほとんどは、ハウツーで物事を達成しているわけではありません。ハウツーの裏にある思想や考え方を理解し、自分のものとする一方で、意思の力で目標をたぐりよせていきます。この原理原則を無視した場合、ハウツーの情報さえあれば、なんでもできると考えてしまいます。また、この勘違いと、知的に怠惰な状況が重ね合わせられると、面倒なので考えることなく、ハウツーだけで物事を解決させてほしいと願うようになってしまいます。このような願いに応じて、例えばダイエットの世界では、一万種類以上のダイエットが世界中で提唱されています。1万種類試せば、うまくいくのでしょうか。そんなことはありません。新しいダイエット器具を買ってはうまくいかない人と同じで、新しいハウツーを知ってもうまくいかないのです。
 成長するということは、「自分が変わる」ということです。自分が変わらない時に人は成長しません。変わらないのですから成長が起こるはずがありません。自分を変えるためには、自分のどこを変えなければならないのかを見る必要があります。自分を変えなければならない点とは、自分の至らない点です。つまり、成長するためには、自分と向き合う必要があります。ところが意思の力が無い人は、自分と向き合うことができません。自分の未熟な部分、自分が人よりも劣っている部分、自分が変えなければならない部分は自分の汚点であり、その部分を直視することによって自分のセルフイメージが傷つくと思っている人もいます。そのため、まず自分は絶対的に他の人よりも優秀なんだという前提に立ち、物事を見ようとしてしまいます。このような立場をとった場合、自分は優秀なのだから、重要なことはハウツーしかないということになってしまいます。もともと成長は自分が至らないところがあり、そこに気づくことができていないか、その点を改善しようと強い意志を発揮していないかのどちらか、あるいは両方によって成長が起こっていないのに・・・そこを無視してしまっては成長が起こるはずもありません。

 

13-8 ド短期では伸びないか?
 小論文の実力は、最初に大きく引きあがり、その後停滞し、時間をかけてもう一度大きく上がっていきます。この意味では、ド短期でも成績を引き上げることが可能です。ただし、条件があります。不適切な指導を受けないことです。
 不適切な指導を受けてしまうと、短期間で点数が下がります。

 

13-9 なぜ主体性が重要なのか
 小論文の実力をつけるということは、何かを教えてもらうことによってはじめて実現することと言えるでしょう。しかし、一方的に教えられるだけでは人の成長は起こりません。知的に怠惰になると、方法を教えてもらうことや、情報を提供してもらうことばかりを考えてしまいます。方法や情報を教えてもらうことが悪いことなのではありません。問題はなぜそれでは皆さんの問題は解決しないのかということです。その理由は、ズレるからです。方法や情報をいくら教えてもらっても、皆さん一人一人の個別具体的な状況にあった方法や情報なわけではありません。方法や情報は、状況に完全対応できるものではありません。同じ問題を抱えているようで、皆違う問題を抱えています。読解方法、発想方法、思考方法などは、一定程度方法論に落とし込むことはできます。しかし、その方法論を金科玉条としてしまい、その方法やアプローチの背景にあることを理解できなくなってしまったとき、私たちの思考力はガクンと落ちてしまい、状況に対応できなくなってしまいます。
 困った時に、「この状況を打破する方法を教えてください」と質問する人は、あまりうまくいきません。「どうすればいいでしょうか。」と質問する方がましです。自分がどうにかしようとしているからです。これは主体性の問題です。
 ある時、私がAO入試のサポートをしているとき、(面接の練習をしていたのですが)私が受験生に質問をしました。「憲法9条の改正にあなたは賛成ですか、それとも反対ですか」法学部の受験生だったので、この質問をしたのですが、この受験生は、「両方答えがあります。どちらで回答しましょうか。」と聞いてきたので、「自分の考えを述べてください。」と伝えました。彼は少し考えた後、自分の考えをきちんと述べました。なかなかに優秀な答えでした。そのあと、自分なりに何かしら疑問点が残ったのか、「この点についてはリサーチします。」と言いました。多くの受験生は、このような時「どちらで述べる方がいいでしょうか。」と答えを聞いてしまいます。これはどちらが受かりやすいかという質問であり、大学側に媚びる態度と言えるでしょう。しかし、彼は大学側に媚びる態度を見せず、どちらがより妥当なのかを探ろうとしました。このような子こそ、慶應大学が欲しい学生です。どちらが答えなのか、すぐに答えを知ろうとするのは、情報や方法を授けてもらい、知的に怠惰になる道です。一方で、このように、自分なりにより一層妥当な道を模索するのは、知的に強化される成長の道なのです。
 教えてもらえば手っ取り早いと考えるのは早計です。実際に受かりやすそうな答えを仮に授けたとしましょう。この情報をもらった人は、大体何も述べることができません。それもそのはずです。答えや方法をもらうことばかり考えている依存心でいっぱいの人は、何の問題意識もありません。何の関心もありません。知的好奇心もありません。背景を理解もしていません。そもそも安全保障の背景などに何の関心もなく、ただただ受かることにしか関心がないのです。そんな状態でいったいどうして日本の安全保障や立憲主義について自分の意見を述べることができるでしょうか。

 

13-10 背景を学び取ろう
 私たちが学び取らなければならないのは、小論文の情報ではありません。小論文の情報をいくら提供しても、皆さんの成長は起こりません。
 成長が起こるかどうかは、ここまでにお話ししたように、考え方によります。ハウツーが考え方まで落とし込まれなければ、方法は必ずズレるので、現実に対処できません。その考え方は、態度によって決まります。皆さんが学ぶ対象に対してどのような態度でいるかどうかは、皆さんの考え方を形作ります。
 斜に構えて、教えてもらう内容について、批評するような態度の人、情報をいくらか与えてもらったら、その情報を自分で取捨選択して、参考になるものだけを取り入れようとする人、物事をあるがままにとらえず、バイアスでいっぱいになる人、人から得る情報に対して、感情的になってしまい、客観的に事実を受け入れることに心理的な抵抗がある人、自分の方が他者よりも頭脳明晰であると考えてしまい、学びの対象を情報単位で認識してしまい、学ぶべき対象の奥深さを誤認識してしまう人、他の情報を批判的に見てしまう人、物事の達成要因を低く見積もり、対策が甘くなってしまう人、自分で主体的に考えず、知的に怠惰になり、なんでもすぐに答えを求めてしまう人、こういう態度の人は大変「小論文の実力がつきにくい人」です。逆に言えば、この反対であれば、小論文の実力はメキメキついていきます。
 小論文の実力がつきやすい人とは、背景に目が行く人です。

 

・素直に物事をとらえる人。
・学ぶべき対象の奥深さを認識している人。
・自分の認知の限界を知り、全知全能だと自分を思い込まない人。
・最初から合格は難しいと感じている人。
・十分な対策が必要だと認識している人。
・小論文の指導ができる人は一握りだと把握している人。
・自分で知見を拡大し、成長する必要があると認識している人。
・本を読み、ノートを取り、情報を記憶していくのが速い人。
・適切なノートの取り方、学習アプローチを把握している人。

 

 この点に気を付け、小論文を勉強していきましょう。小論文の勉強について、認識が誤っている場合、甘い場合、いくら勉強しても実力が向上しないこともあります。

 

 

 

 

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