慶應大学経済学部 2014年小論文過去問題の解説

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このページでは、メルマガで流した慶應大学の文系学部の小論文問題の解説を掲載しています。 慶應クラスでは、構造ノートや構造議論チャートを使ってもっと詳しく細かく各学部の過去問解説を動画で行っています。

2014年度慶應大学経済学部 小論文過去問題解説

 

こんにちは。
牛山です。

 

さて、先日試験を受けた受験生の皆さんお疲れ様でした。

 

手ごたえはあったでしょうか。
テーマはイノベーションに関するものでしたね。

 

とても経済学部らしい問題だと思います。

 

【1】設問A:イノベーションの良い影響と悪い影響

 

設問のAでは、イノベーションが市場経済に及ぼす良い影響と悪い影響を述べるのでしたね。

 

この問題は、課題文の読み取りがしっかりとできれば、問題なくできたかと思います。

 

文章をきれいにまとめていく力があれば、それほど苦戦しなかったはずです。該当箇所は次のような箇所がありますね。

 

【良い影響】
・新たな雇用を生む。
・経済の生産性を一時的に向上させる。
・現代の発明を時代遅れにする。
・現代の発明の利益を低下させる。
それでは、一方悪い影響はどのようなものがあるのでしょうか。


【悪い影響】
・技術進歩は勝者と敗者を生む。
・技術革新の向こう側には破壊されつつある技術と商品がある。
・技術革新は、古い商品を新しい商品に置き換えるプロセス。
・古い商品の生産者は職を失う。(雇用の消失)

 

このような点が重要な該当箇所です。これらをきれいにまとめることができれば、よかったわけですね。

 

このように、経済の観点から見た場合、技術革新は必ずしも良い側面だけがあるわけではなく、「雇用」や「市場の破壊」も大事な視点になってきます。

※直接投資の話は、模倣とイノベーションの違いに関連付けて記述するのも手です。

 

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●フロッピーディスクに学ぶ市場の破壊
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かつてパソコンの記録媒体と言えば、フロッピーディスクという記録媒体がありましたが、今では無くなりました。

 

当時は極めて画期的な技術であり、世界的に用いられていた記録媒体です。


それがCDとなり、フラッシュメモリとなり、最後はそのフラッシュメモリが、クラウドによってあまり必要なくなるという状態になっています。


ドロップボックスというフリーソフトを使っている人もいると思いますが、ドロップボックスがあれば、いちいちフラッシュメモリを使わなくてもいいわけです。

 

データの移行も面倒くさくなくなりますし、かなり便利。


さらに、地理的な制限が無くなるので、沖縄でドロップボックスに放り込んだファイルを旅行先の東京で引き出すということもできます。


また、データの共有ができるので、複数人でドロップボックスのファイルを共有することも簡単にできます。


まだ使ったことが無い人は、ここまでの話について??となるかもしれませんが、使えば小学生でもすぐに使うことができるような使いやすいソフトです。

 

(まだ使ったことが無ければ??となりますよね。)

 

ところで、これらのソフトを使えば、私たちは1000円~2000円程度するフラッシュメモリを買わなくてもよくなることもあります。


生活はますます便利になりますが、一方で、従来の記録媒体のメディアの売れ行きがどんどん低下していきますね。

 

今はシュガーシンク、グーグル、アイクラウドなど、オンラインのストレージサービス(大容量のハードディスクのスペースだと思ってもらってOKです。)が一般的です。

 

この手の情報をさらに詳しく知りたい方は、『クラウド知的仕事術』という本を手に取ってみてください。私が書いた本です。


この本のタイトル・・・・『あの、私全然知的じゃないんで、この知的という言葉を取ってもらえませんか?』と出版社に強く交渉したのですが、駄目でした。

 

お金を出してくれているのは出版社なので、著者は一般的にはあまり出版社に意見できないんですね。(泣)


かくして友人に、(おー、ウッシー自分のこと知的とか思ってしまってるんじゃないの??)

 

というような勘違いが無いかなぁ・・・とヒヤヒヤしていたところもあったんですけれどもね。。。

 
ところで、このような、記録媒体の変化による市場の破壊は製造業者や工場などで勤務している人々の雇用や仕事を奪う可能性があります。


私たちの生活がグルグルとすさまじい勢いで変化していくにつれて、市場が生まれると同時に、市場が破壊されています。

 

この状況のことが本文では、『創造的破壊のプロセス』と表記されています。

 

SNSにしろ、ドロップボックスにしろ、クラウドのノートにしろ、使ってみると感覚的に分かりますので、文章を読むよりもずっといいですよ。

 

【2】設問B:積み上げ型の技術進歩とジャンプアップ型の技術進歩

 

設問Bの積み上げ型の技術進歩とジャンプアップ型の技術進歩をそれぞれみていきましょう。

 


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●【積み上げ型の技術進歩】
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積み上げ型の技術進歩とは、分かりやすい例で言えば、機能の追加です。


リモコンに超早送り機能がついたり、音声の改善などです。この手の改善経営は、日本は得意だったんですね。大筋で過去の歴史を振り返れば、日本が技術立国できたのは、他国の技術の模倣によってだと言われています。日本人はとにかくこの模倣が大変うまかった。

 

松下電器などは、マネシタ電機などと揶揄されていたほどです。しかしながら、この模倣の経営は、突き詰めることで世界から評価されます。日本製品は世界的に安心できるブランドとして認知されるようになりました。


他の製品と比較して「高品質、高機能」の製品作りが日本は得意でした。


積み上げ型の技術進歩のキーワードは、「高品質、高機能」です。ですから、家電製品等について、高品質、高機能の事例を挙げていれば、今回の問題では無難に回答できているということになります。


空気清浄機、食器洗い機、洗濯機、TV、DVDプレーヤー、PCなどは、いくらでもこの積み上げ型の技術進歩の事例が見つかるのではないでしょうか。

 

【積み上げ型の技術進歩が社会に与える影響】
・消費者の消費の喚起。
・雇用の安定。

 

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●【ジャンプアップ型の技術進歩】
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ところが状況は一変します。今や日本の主要家電メーカーは世界的には負け組として認知されつつあります。なぜこうなったのでしょうか。


その理由は、日本人はイノベーションが苦手だったからです。少しずつストレッチをかけて少しずつ伸ばしていくことは得意なのですが、大胆な発想やチャレンジする精神が根付いていない、あるいはゼロベースで考えることが苦手であるとの指摘があることもあります。

 

ジャンプアップ型の技術進歩の典型的な事例は、アップルのiPodです。iPodは、それまで日本の家電メーカーが「高機能、高品質」のデジタル製品を作っていたのとは対照的でした。


日本のメーカーが操作用のボタンを増やし、説明書を分厚くしていたのに対して、アップルのiPodは、機能を一切排除して、ボタンを一つにした極めて美しいデザインの再生携帯用オーディオを市場に投入しました。あるキラーコンセプトを引っさげて・・・です。

 

キラーコンセプトとは、たった一つですべてがそこにあるというコンセプトです。

 

皮肉にも高機能、高付加価値を求めた製品は市場のニーズに合致しておらず、このアイポッドが世界の市場で爆発的なヒット商品になります。


ボタンはたった一つしかありません。購入した人は分かると思いますが、説明書がびっくりするくらいペラペラで、日本企業が分厚い説明書を入れて細かく機能説明しているのと対照的です。

 

しかも、想像以上に美しいですね。アップルの製品は、どれも驚くほど美しいです。アップルのCEOであったスティーブジョブズ氏はすべてのボタンを排除することをエンジニアに求めました。


「社長、無理です、できるわけがありません!!」と言った従業員は無視し「とにかく作れ」
と命令。(むちゃくちゃなことで有名です。)


このシンプルな製品は市場に受け入れられました。さらに、このソフトとクラウドで連動するアイチューンというソフトウェアを配布。


世界で1億人を超えるユーザーが誕生しました。この1億人を超えるユーザーは、自分のアイポッドとパソコンの音楽を同期しました。


ユーザーはたくさんのCDを保有する必要が無くなりました。さらに、ユーザーは、この曲を自分のアップル社の他の製品と同期することができるようになりました。

 

たった一つの場所にすべてが集まるというコンセプトとアイディアに、世界TOPの家電メーカーが負けた瞬間です。

 
◆iPod→関連製品群すべて→ユーザーのPC
これらをクラウド上でつなぎました。ユーザーの利便性は飛躍的に向上し、アップルの熱狂的なファンになるユーザーが世界的に爆発的に増加しました。


さらに、アップルはこのクラウド上、ウェブ上で、一大商業圏を築きます。このウェブ上で、音楽を単発で購入できます。


アップル社の時価総額は世界一になりました。ただし、これは企業レベルの話なので、国家レベルにするとどうなるかと言えば、人材、資金を海外から集めることができる国家が今は繁栄する時代になっています。


このあたりは私も世界のグルと言われた大前研一氏からいろいろと直接教わりましたが、メルマガで話す内容ではないので、ここでは話がズレますし、割愛します。

 

ところで、これでずいぶんとジャンプアップ型の技術進歩についてはイメージが膨らんだかと思いますが、他にはどのようなものがあるでしょうか。

 

他には、掃除機のルンバなどはその事例に入るかもしれませんね。今までの掃除機は、人が掃除していたのですが、ルンバは、掃除機が掃除しています。


主体が変わるという点で、従来の掃除機の「高機能」「高品質」という視点から一変。ルンバもまた世界的な大ヒット製品となりました。


つまり、ジャンプアップ型の技術進歩とは、高機能、高品質という枠組みから外れて、従来の延長線上の価値ではなく、別次元の軸の異質なモノだと考えてもいいでしょう。

 

やり方やルールがそこでは違い、そのやり方やルールを人々が受け入れた時に変革が起こり、市場の破壊が起こります。

 

そして大きな市場が生まれることもあれば、そうではないケースもあります。


要するに、市場の破壊だけが起こるケースもあるということです。例としては、百科事典の市場。書籍としての百科事典は、その後マイクロソフトがCDにおさめたものに取って代わられ、市場が小さくなりました。

 

その後、ご存知の通り、ウィキペディアが生まれ、さらに小さくなっています。


【ジャンプアップの技術進歩が社会に与える影響】
・市場の大規模な破壊と大規模な創造。
・消費者の生活の利便性向上。
・産業構造の変革。(企業の消失と誕生、成長)
・消費の活発化。(景気の向上)

 

【3】何が起こっているのか?(マクロのマクロの次元)


 

※興味が無い人はスルーしましょう。ただし、総合政策学部を受験する人は読んでおくことをお勧めします。

 

企業の時価総額や国家のGDPだけではなく、これを世界の経済まで視点を広げると何が見えてくるでしょうか。どのような国家が繁栄し、どのような国家が衰退しているのでしょうか。


国家の経済政策、教育政策による、国の成長や衰退の仕組みが見えてきます。

 

従来の国家経済と、これからの時代の国家経済は、同じ指標や同じ観点からの切り口では考えることはできません。

 

その最大の理由は、市場経済のルールが根本的に変わり始め、同時にグローバル化が急速に進んでいるからです。


今回のメルマガでも、日本の主要家電メーカーが買収寸前まで赤字に転落している話などもお話しましたが、栄枯盛衰、一時的に成長できる企業や国家が、同様に同じルールの上で成長できるとは限りません。


その理由は、ここまでに述べた通りです。

 

実はこのあたりのことが詳しく書かれている本があります。私が執筆している書籍でもオススメしていますが「慶應小論文合格バイブル」のP166に該当記述があります。大前研一(著)「新資本論」という書籍です。


興味がある人は読んでみてください。今は国家という概念がある意味で限界を迎えつつある初めての時代とも表現できるかもしれません。

 

がんばって上記書籍を読んでいた人は、2013(総)の問題もかなり理解しやすく、考えやすかったと思います。何もかも、やさしくやさしくかみ砕きつつ、国際経済や国際政治を語ることは、政治や経済のテキスト作りに似た作業になってしまいます。


その意味で、分かりにくい言葉も使っていますが、総合政策学部受験生であれば、読んでおくにこしたことはありません。


難しいから意味が無いと考える考え方もあるかもしれませんが、難しいからこそ意味があると考える考え方も一理あります。


特に国家の政治を問われた際には、今回の経済学部の問題を見て分かる通り、現代は一国の経済や政治で完結していないので、どのような日本がいいのかについては、世界の政治経済がどうなっているのかについて理解を深めておくにこしたことはありません。


またそれができていれば、昨年の2013年度の総合政策学部の問題文はやさしく感じたでしょう。


あまり難しいとか難しくないと考えずに、自発的に分かっておいた方がよさそうな部分は調べて自発的にスイスイ勉強していくのが、小論文の勉強のコツです。「これで受かる知識集」というものが、実質無いに等しいのが小論文という科目の性質です。


また、慶應大学の小論文の性質とも言えます。受かったらまぁ、いいかなぁというのでない場合は、それなりに、勉強を進めておくことをオススメしますよ!

 

【4】テーマの予想

 

テーマが的中しても何の意味もないのですが、慶應クラスやその他の私の塾では、「イノベーション」や「経済」についての授業を行っていました。これは、あたったうんぬんの話ではないですね。


塾の生徒さんは比較的なじみのあるテーマだったのではないかなと思いますが、試験後に話を聞いてみると、切り口が変わると苦戦した人もいるようです。


Vol.18 イノベーション思考
http://www.skilladviser.com/course_content/18.html


Vol.52 政治経済の勉強で下がる点を防ぐ方法
http://www.skilladviser.com/course_content/52.html

 

【5】思考回路の予想

 

テーマがあたってもあまり意味がありませんので、私が主催する塾では、慶應経済だけではなく、他の学部も含めて思考回路の予想授業を行っていました。


経済学部では、物事の因果関係が問われることが多いため、今年はその点を補強する授業を行っていました。今回の問題では、「どのような影響があるか」を考察する問題になっています。


相関関係と因果関係の違いをハッキリとイメージできていた人は、本文で述べられている「間接的な証拠」についてもイメージがしやすかったのではないかと思います。


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●実際に行うべき思考
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今回の問題では、ジャンプアップ型の技術進歩と、積み上げ型の技術進歩がありますよね。


そして、
(1)積み上げ型の技術進歩
(2)ジャンプアップ型の技術進歩

これらのそれぞれが社会に与える影響を問うています。本文の中の事例を用いて、考察を行いつつ、自分で具体的な事例を考えるということが大切です

 

どれだけ考えられるかがミソです。考え方や具体的な考えるポイントについては、いくらか今回のメルマガで行いましたね。今回の問題では、この積み上げ型とジャンプアップ型の違いについての理解度を問うことも、問題の趣旨になっています。


→『判断した根拠もあわせて示しなさい。』と要求があることに注意しましょう。

 

 

【6】解答例

 


【設問A 解答例】
イノベーションが市場経済に起こす良い影響は、その国の潜在的可能性を実現させ、新たな雇用を生み、平均所得を上昇させることである。一方悪い影響は、勝者を生む一方で敗者を生むことである。技術進歩の向う側では、破壊されつつある技術と商品がある。技術進歩は古い商品を新しい商品に置き換えるプロセスである。古い商品の生産者は職を失う。模倣は海外の直接投資を見込めるのに対し、イノベーションでは前述の現象が起きやすい。

 

【設問B 解答例】
積み上げ型の技術革新が社会に与える影響は、消費の喚起である。具体的には、薄型スマートフォンや、薄型タブレットPCなどである。積み上げ型と判断した根拠は、改善の結果として生まれる技術の進歩性にある。
一方で、ジャンプアップ型の技術進歩が社会に与える影響は、産業構造の変革である。俗に言うガラパゴス携帯と呼ばれる従来の携帯電話は、人気のあるスマートフォンにとってかわられた。その結果世界の約半数のスマートフォンがアップル社のものとなり、世界規模で製造業者を含む産業構造の変化が進んだ。ジャンプアップ型と判断した根拠は、新規性にある。消費者の不満を改善により解決する技術進歩ではなく、従来の製品コンセプトの延長線上にはない価値を改革により生み出す類の技術進歩がスマートフォンの発明である。



 

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