慶応大学環境情報学部の小論文過去問題解説

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慶應大学 SFC 環境情報学部 小論文解説 2011年

 

 

 

こんにちは。
牛山です。

 

本日は、2011年度の環境情報学部の過
去問題についての解説です。

 

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【1】2011年度 慶應SFC 環境情報学部問題解説
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(1) 問題構成
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問題1~問題4までで、以下のような
ことが問われます。

 

【問1】
解決しようとする問題を200文字程度
で説明する。

 

【問2】
問題を科学的に軽量するために、どの
ようなデータをどのような方法で測定
するのかを400字程度で説明。

 

【問3】
新しい単位を考案し、その内容を200
文字で説明。

 

【問4】
この単位によって、問題のどのような
性質が明らかになるのかについて、60
0文字以内で説明。

 

慶應SFCを受験する際には、問題を1
つずつ解くことはあまりお薦めしません。

 

まずは、全体の問題構成を見て、何を
させたがっているのかについて、全体
像を把握しましょう。

 

いざ途中まで解いて、その後で詰まっ
てしまうような方向性で書いてしまう
と、目もあてられませんからね!

 

今回の問題は、受験生にはややハード
ルが高いかもしれませんが、アカデミ
ックスキルを間接的に問うています。

何らかの研究を行い、その研究を活か
して、社会に存在する問題を解決する
際に、研究を成立させるための、いわ
ゆる一次情報(自分で集める他の所に
は転がっていない情報)の集め方を問
われていますね。

 

さらに、その集めた情報で単位を作る
ことまで求められていますので、勘が
いい受験生でなければ相当苦しんだの
ではないかと思います。

 

これは難しい問題ですよ。
(簡単だと意味付けする人もいるとは
思いますけれども。)

 

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(2) 資料の内容
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それぞれの資料を概観しますと、以下
のような形です。

 

資料1.2 科学技術とは何か
資料3 計量の重要性
資料4 科学の欠点
資料5~7 既に存在する単位の例

 

資料はそれなりの内容で、かつ、ボリ
ュームがありますので、読むのが遅い
人は、悶絶するかもしれませんね。

 

この手の問題では、全体像を思い描き
何を問われているのか、どう頭を働か
せればいいのかを把握することに神経
を集中することが大切です。

 

資料を読み込むのはその後です。

なぜならば、何のために読むのかが、
あいまいになるからです。

 

何の目的もなく、ただ単に、TVを眺め
るように、資料を読んでいくと、一体
何をつかみとるように、頭を働かせな
がら、文章を読めばいいのかが分かり
ませんよね。

 

このような受動的な読み方を、私は、
『まるでTVを眺めるかのような読み
方』と表現することがあります。

 

こういう読み方をしていると、読んで
も、わかったような、わからないよう
な気持ちになり、頭に何も残らず、問
題を解く上で重要な手がかりも得るこ
とができません。

 

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(3) 注意点
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慶應SFCの問題に限らず、小論文の問
題を、何らかの雛形となるアプローチ
で解くことが推奨されることもあるよ
うですが、大変危険です。

 

特に慶應SFCでは、ひな形にはめて解
くことができる問題は多くありません。

 

私自身、提唱している『モンイリケツ
』という構文も、あくまでも、私は
設計思想として、指導用に使っている
だけであり、この構文にポコポコ文章
を当てはめていけば、評価される論文
が書けると言っているわけではありま
せん。

 

問題の解き方は、ケースバイケースで
対応していくのが一番です。

 

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(4) 解き方
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今回の問題では、実質的に「研究計画
書」を作ることを半分求められている
と考える方がいいでしょう。

 

この視点が欠落していると、ただ単に
特定の解放でポコポコ文章を当てはめ
るようにしか文章を設計できません。

そうすると、出題者の意図とズレたこ
とを書いてしまいます。

 

本当に設問で問われていることに、表
面的に答えてしまうと、(そんなこと
を聞いているわけではないんだけど
な)と思われてしまうということです。

 

問題のどのような性質を明らかにする
ために、どのようなデータを取ればい
いのか?ということを問われているわ
けですから、今回は極めて論理的な
考察を求める問題が出題されていま
す。(環境情報学部は比較的非論理的
な思考を求めることが多いのですが、
この年は超論理的な思考を求めてきて
いますね。)

 

従いまして、今回の問題は、いわゆる
研究計画書をそれぞれのパーツに分解
して、4つの事項を書くという問題
構成に、実質的になっています。

 

これが分かれば、それぞれのパーツの
部分に何を書くべきかも明らかになり
ます。

 

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(5) 問題解決のアプローチを使うわけではない
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慶應SFCの小論文はなんでも問題解決
のアプローチで考えれば、解くことが
できるわけではありません。

 

あくまでも大学がほしいのは問題解決
の素養がある人であり、問題解決の
パターンを暗記した人ではありません。

 

したがって、どのような問題を構成し
ようとも、大学の自由であり、大学と
しては、単なる暗記一辺倒、で金太郎
あめのような対策をする生徒よりも、
きちんと考える能力を持った生徒を
欲しいと思えば、考える力を見ること
ができる問題を設計してきます。

 

この年はその意味で良問と言えるでしょう。

 

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(6) 解答例
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【問1】
 今現在日本では、いじめが深刻な社会問題となっている。年間約200名の若者がいじめを苦に自殺し、認知されているだけでも、数万件のいじめが存在する。認知されていないいじめについては、数十万件あると言われている。


【問2】
 いじめに関するデータを5つの指標から計測する。1.教師の関心度2.学校の調査回数3.クラスカーストの度合い4.学級の閉鎖性5.モラルの度合いの5点である。主観的で定性的なデータを可能な限り排除するため、悪口や仲間はずれを目撃した回数、教師がいじめに関するヒアリングを実施した回数、完全クラス制か、クラス制ではなくなることがあるか(3段かいで評価し、数値を合わせるために、5点満点で計測)クラスカースト上位から何らかの政治力を働かされた経験についての回数等を計測する。


【問3】
 私が考案した単位は、いじめの深刻さを表す単位である。この単位は、各5つの指標を5段階評価に変え、5点満点で計測し、合計の数値をもっとも高い数値とする。(25点)Bullyingの頭文字を取り、Bと表記する。B=教師の関心度+学校の調査回数度(少なければ高い)+クラスカーストの度合い+学級の閉鎖性度+モラルの度合い、というように、足し合わせた数値が合計値である。


【問4】
 この単位により、いじめの有無、認知の有無に関わらず、いじめ事件発生のリスクの度合いが明らかになる。問題の性質については、過去の先行研究で重視されてきた、いじめ発生の重要因子の内、相関係数を算出することにより、どの指標がもっとも結果を引き起こすのかについて明らかにすることができる。この単位の数値が大きい時、いじめが発生しやすく、この単位の数値が小さい時、いじめが発生しにくいことが考えられる。
 この単位は、いじめ撲滅を目指すうえで、大きく2つの点で役立つ。一つは学校側が現在どの程度の深刻さをいじめに関して抱えているかを明らかにできることである。二つ目の利点は、学校側がやみくもにいじめに対処するのではなく、相関係数の高かった重要因子に対して、対策を集中することができる点である。
 現状では、いじめ問題に苦慮する学校は多いものの、対策は後手に回りがちであり、いじめ対策が科学的に進んでいない。原因は複雑に存在しており、学校側の危機意識が希薄であること、重要な対策が何であるかについての事実が存在していないことなどが考えられる。この度の研究計画では、尊い命が救われる可能性があり、その状態が持続する。さらに、全国でいじめを苦に自殺まで至らずとも、多大な精神的苦痛を犯罪行為により受けている若者を救う可能性が十分に考えられる。意義のある研究であり、ぜひ前向きに取り組んでいきたい。

 

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(7) 用語について「相関係数」
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【解説】

 相関係数とは、ある事象と、ある数
値の関連度合いを相関という観点から
数値化したもの。相関係数が高けれ
ば、相関度が高く、相関係数が低けれ
ば相関は低い。相関は因果関係とは別
であり、相関があれば強く関係がある
とは必ずしも考えられないが、一般的
に重要な指針とされる。

 

 

 

 

 

 

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