牛山です。
本日は慶應大学医学部小論文の過去問題解説です。
【1】問題概要
まず、自分の持っている医師としての資質について意見を述べることを求められます。
その上で、その資質を見極めることができる受験制度について述べることを求められます。
【2】考え方
(1) 出題意図の把握
何を求められているのかを考えることが大切です。
文字面を追い、ただ単に質問されていることに答えるのではなく、この問いを通して、あなたが求められていることを考えましょう。
(2) 自慢にならないように
今回の問題では、間接的に自己アピールすることを求められています。
しかし、自分に医師として資質があることを端的に述べていけばそれは当然嫌味になるでしょう。
したがって、まずは医師としての資質とは何かを自問自答することが先決です。
例えば、
~医は仁術なり~
という言葉がありますが、このような倫理観も優秀な医師には必要でしょう。
(1)倫理観
(2)分析力
(3)推論能力
(4)人間力
(5)マネジメント能力
など、総合的に考えた上で、具体的なエピソードとからめることができるものを考えてみましょう。
私には、高い倫理観がありますと述べても、証拠がありません。
したがって、何らかの倫理観が高いと感じられるエピソード、具体例を、述べ、自慢にならないように、配慮することが大切です。
(3) 意味付けや分析力を試す
学力や達成度、資質については、ある程度学力テストで推し量られているので、ここでは、医師としての資質の内学力テストでは計測デキないものを見るのが主眼に(実質)なっていると見る見方もできます。物事の考え方から、人となりが分かることもあります。この点に注意して、答案を設計することを心がけましょう。
【3】例外的な解き方
(1) 着眼点
今回の問題では、問1と問2がつながっています。
問1で、答えた医師としての資質について、問2で、その資質を試す受験制度について述べるというものになっています。
この場合、問2を先に考えてから、問1を設計するという方法もあります。
恐らくは配点が高いのは、問2の方でしょう。文字数の制限から見ても、一般的な小論文の配点から考えても、そう考えるのが妥当だと思われます。
(2) 日本と海外の比較
海外では、医学部の試験でも面接試験が大変重視されます。
ケンブリッジ大学の医学部受験でも、同様に面接が行われるそうです。
その時の質問を、私は、私自身が通った大学院のクラスメート(東大卒の建築士)から聞いたことがあります。
受験の会場である部屋に入り、最初の教授からの質問は、「なぜ細胞は死ぬのだね」という質問だったそうです。
このような問題を問う意味はどこにあるでしょうか。
1つは、ある程度疑問を持ちながら勉強をしているかどうかということかもしれません。
主眼は、考える力を試したいというものでしょう。
ものをきちんと覚えていることは大切ですが、考える力も大切です。医師がもしも、レントゲン写真を見て、考えることができなければどうなるでしょうか?
医師がもし、体の容態を見て、薬を出す時に考えることができなければどうなるでしょうか?
考える力がある医師と、考えないけれども、完全に計算だけができる医師ではどちらが活躍しそうでしょうか。
このようなことを考えてみましょう。
海外では、当然に重視されていることがむしろ日本の受験制度では軽視される傾向にあるのはなぜでしょうか。
もしもあなたがこのようなことに問題意識を持てば、海外を見習う方向性で答案を設計する方針もいいでしょう。