慶應大学の小論文対策動画

主張の連発を防ぐ考え方

Ⅰ 前提

・添削で指摘を受けてもなぜか、主張の連発をしてしまう。
・修正出来る人はカンタンにできてしまう。
・連発しているとかなり不合格になりやすい。
・理由を書こうとすると、「○○からである」と書いてしまう。

Ⅱ 類似論点(復習)


 Ⅱ 主張と考えてもいいもの

・○○だろう。
・○○であろう。
・○○だと考える。
・○○すべきだ。
・○○が重要である。
・○○しなければならない。
・○○なのだ。
・○○である。⇒一般的にそうだと思ってもらえればデータ。思ってもらえなければ主張。

 

Ⅲ 例外的な物

・(前提として)AはBである。と述べるケース。
・結論の部分に記載する『今後の展望』
・一般原則として、多くの人が、うなづいてくれる程度の言説を述べて、それを前提として入れ込む場合。
例)今世界各国で肥満人口の増加が社会問題になりつつある。

Ⅳ 再確認(分かっている人は無視しよう)
・作文と論文の違い


・細かいことを述べても点数にはならない。


 

Ⅲ 状況分析型で主張の連発を防ぐ
・フレームワークから分析すれば、主張の連発はありえない。
例)
内部要因・・・○○である。
外部要因・・・○○である。
背景要因・・・○まるである。
従って、私は○○だと考える。

Ⅳ 重用因子(原因ではなく理由)を考察するパターン
・発想の展開を行い、どのような理由の軸があるのかを考える。

例)自殺人口抑制のために、日本政府が行うべき政策とは何か?

グラフを読み取る⇒自殺理由を複数見つける⇒自殺のデータを理由として、理由軸として利用する。

「過去問題の事例で学ぶ」 2010年度 慶應義塾大学法学部

【解答例】
コリントス側の要求は、援軍(助)を送ることである。援助は実質的なアテーナイに対する開戦を意味する。その根拠は、アテーナイの統帥権を認めたことに対する非があるとの解釈である。同様に近隣諸国の同盟にも関心を示さなかったことは主犯であるとの論拠を挙げる。さらに同盟国としての義を果たすように要望している。その上で、もし援助を送らなければ、コリントスは他国との同盟に走るであろうと述べた上で、長期的には敵対国となることを暗に示し威嚇している。アテーナイ側の要求は、協定に従って合法的に紛争を解決するというものである。その根拠は、アテーナイ側の統帥権は、同盟軍から依頼されたものであり、自己に非は無いとする解釈である。
以上が双方の主張する事実及び解釈である。はたしてラケダイモーンの市民として、どのような決定をすべきだろうか。私はアテーナイの立場に立つ。協定を守り、静観する立場を取り、同時にコリントス側に最終決定事項を通知する。
私が上記のように考える理由は、大きく3つある。一つ目の理由は、正義と道義性である。コリントス側は、ラケダイモーンがアテーナイの統帥権取得に対する主犯格であり、非があると述べているが、それは単なる解釈であり、事実はアテーナイが述べたように、同盟国からの依頼である。その時に異を唱えなかったコリントスも同じくアテーナイの統帥権に関与していると言える。従ってラケダイモーンに非があるとの言は根拠なき言いがかりと言えよう。さらに、ラケダイモーンが述べる同盟とは、開戦後に支援を強制する類のものではないため、同盟を論拠として援助を要請するのは不適当である。第二の理由は、国益である。無益な争いは双方の国家を疲弊させ尊い人命と資源を失うだろう。第三の理由は協定である。アテーナイとの協定及び和約を守り、法的にも妥当な行動をとることが望ましいのは言うまでもない。アテーナイが述べるとおり、弱肉強食の世界で市民の命を守るためには、高度に政治的判断が必要であり、状況を見極めて適宜判断していくのが望ましい。
以上、正義と道義性(事実と解釈からラケダイモーン及びアテーナイに正義がある)、国益、協定の3点の理由から、私はアテーナイの立場に立つ。

 

Ⅴ 重用因子(原因ではなく理由)を考察するパターンその2
・論拠に注目する(相手側の論拠をたたく)

 2009年度 慶應大学 法学部

制限時間 90分
解答時間 高速20分 目安 45分

【解答例】
犯罪者を死刑にすべきである等の政治的発言について、かつて古代人は、政治的空間に属しつつ発言していた。しかしながら、現代では、政治的空間には実質的に属さず、自分の発言についての責任をとらずに保護された空間の中で発言することができる。この現象は、かつての古代人が司法や防衛や公的問題の管理などの重荷を進んで引き受けていたのとは対照的である。今日到来しつつあるセキュリティー社会は、公的空間で他者を気遣わず、不安や不信、嫌悪等の人間的関わりを技術によって解決する社会である。しかし、不安はそもそも覚悟を持たずに世界に属していることから生じており、覚悟を持たずに世界に属することを止めることが先である。
以上が筆者の主張であるが、覚悟を持たずに政治的空間に関与することは適切だろうか。私は筆者と同じく、不適切な行為であると考える。理由は大きく三点ある。第一に匿名での政治的発言をネットで行うことを擁護する一般的論拠である、発言のしやすさは、違法行為につながりやすいためである。第二の理由は、公益性の低さだ。恣意的な発言は、十分に公的な意義があるかと言えば、妥当性が低く非論理的な物が大半であり、疑わしい。無責任な発言がかえって社会を混乱させていることが多い。第三の理由は発言の自由が人権により認められている一方で被害者側の人権が著しく侵害されていることも多いためである。ネットでの発言により多くの人権侵害がある。このためあるアメリカの州では、ネットでの公的発言について匿名での投稿を禁じた。
以上、私は著者の見解に賛成の立場を取る。覚悟をもって政治的空間の言説に参加することは、議論を行う際の本質的な前提意識である。無責任な発言を行わないことでより一層生産性の高い議論ができるようになるだろう。

 

Ⅵ 考え方の勘所

・下書きの段階で論理構成を決める。
・大項目を理由、少項目をデータとする。
・実態を見て、反論を想定し、理由軸を決める。
・状況分析結果+反論防御によって立論する。

 

PAGE TOP
© 2007 - DIJI SYSTEM