慶應大学SFC:総合政策学部 2008年小論文過去問題の解説

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このページでは、メルマガで流した慶應大学の文系学部の小論文問題の解説を掲載しています。 慶應クラスでは、構造ノートや構造議論チャートを使ってもっと詳しく細かく各学部の過去問解説を動画で行っています。

2008年度慶應大学総合政策学部 小論文過去問題解説

 

こんにちは。
牛山です。

 

本日は、慶應大学総合政策学部小論文
問題解説です。

 

【1】設問1


(1) 問題概要

この年は、(1)カント(2)デューイ(3)アーレントの3人が述べる、教育論についての課題文が出題されます。

 

これらの資料を読み、この3人の考え方は、どのような点で共通し、どのような点で食い違っているかを問われています。

 

(2) 大切なポイント

この手の問題は、どこが出題意図かと言いますと、「メタ化する思考」ができるかどうかをチェックする点です。

 

「統合的思考力」が問われることがあるということを、2009年度の文学部小論文問題解説でお話ししたことがありますが、これにやや似ています。

 

この問題は抜出し問題ではありません。

 

抜出し問題は、やや簡単になります。

 

何をそれぞれの3人が述べているかを抜き出せば、基本的に、どこを抜出しても、3人とも言っていることが違うという形になりますね。

 

それでは、何をやっても正解なのかという話になってしまいます。

 

私はこのような問題の解き方(抜き出しだけで対処しようとすること)を、「察してください」という風に呼ぶことがあります。

 

つまり、設問の要求に応えて、きちんと言語化することをせず、単に抜出して、いろいろと書いたので、察してくださいという形で回答するのはよくないということです。

 

もちろん、場合によっては、部分的に抜き出すことがあるのはいいでしょう。

しかし、抜出しだけで答案が構成されるようにはなると問題があります。

 

設問の要求を無視することになってしまいます。

 

以上のポイントに注目しながら、解答例を見てみましょう。

 

(3) 解答例

 カント、デューイ、アーレントの三
者が説く教育論の共通点は、子供に対
する教育が必要であるという意味で、
教育について肯定的な立場をとってい
ることである。カントは「訓育」「知
育」といった教育活動を通して、子供
が社会的な存在になると述べる。デュ
ーイは家庭を学びの場と見なし、生徒
が成長していく過程を重視している。
アーレントは、大人の共同体である社
会へ子供が適応できるように導く点に
ついて教育の意義を認めている。
 三者の教育論については、食い違っ
た点が三点ある。以下に挙げる三点の
食い違った点から、三者は理想的な教
育手段・アプローチについて別の結論
に至っている。第一の違いは、「教育
の影響主体」である。第二の違いは「
教育の目的」である。第三の違いは、
「重視する価値観」である。
 第一の違いについて述べる。カント
とアーレントは子供を教育すべき対象
として見ている。一方で、デューイ
は、子供の自主性を重視し、受動的な
態度で生徒が教育対象となることに批
判的な立場を取る。
第二の違いは、教育の目的である。
カントは教育目標を、社会人としての
自立に置いている。デューイは、子供
が行う諸般の活動に対して方向付けを
行うことを目標とする。アーレント
は、カント、デューイが説く教育目標
の弁証法的結論に至っている。私たち
が暮らす社会である共通世界を刷新す
る任務への準備をさせることを教育目
標とする。
 第三の違いは、重視する価値観であ
る。カントとアーレントは教育する立
場の責任を重視している。一方でアー
レントは子供の自主性を重んじ、その
結果として教育する立場の責任につい
ては、アーレントに比較してそこまで
大きく重視しない立場を取っている。
以上のように、三者は、教育につい
ての認識が異なっている。教育目標や
重視する価値観が違うことにより、理
想的な教育の在り方が違う。具体的に
は教育現場における主だった教育主体
について三者は別々の結論に至ってい
る。前述した認識の違いから、「教育
するもの」と「教育されるもの」とい
うように明確に区別して教育を捉える
ことが理想的な考え方であるかどうか
についても三者の意見は対立してい
る。

 

【2】設問2


(1) 問題概要

教育するものと学習するものの関係について、資料(1)~(3)の、カント、デューイ、アーレントの3人にの主張を参照しつつ、資料4について、あなたの考えを述べることを求められます。

 

(2) 考え方

資料4では大変あいまいなことが書かれています。

 

カント、デューイ、アーレントの教育論のように、はっきりと自分の立場を決めて何かが論じられているのではなく、あいまいな物言いで、以下のようなことが書かれています。

 

----------ここから----------
教える先生の側もすべてが分かっているわけではなく、分からないこともあるんだよ。
---------ここまで-----------

こういう文章は、読み取り側の問題意識次第で、読み取ることができる内容が変わります。

 

(3) 読み取り方次第で文章は変わる

 

時々、本は読みとり方次第で、どのようにでも読み取ることができるという意見に反対する立場の人を見かけます。

 

読み取り方次第でいろいろと読み取ることが難しいのは論文のような文章であり、基本的には非学術書は読み取り方次第でいろいろな内容に読み取れてしまうことが珍しくありません。

 

その理由は、人は往々にして、

 

最初から批判的かつ感情的に物事を見ていることが少なくないからです。

 

感情がプラスならプラスに読み取り、感情がマイナスならば、マイナスに読みとります。

 

例えば、偉い学者が書いた本については、

これはあの○○先生が書いた本なので・・・

 

というように、最初から萎縮してしまっている人も珍しくりません。

特に日本人は海外の学者に弱いです。

 

海外から来たものは、崇高なものでレベルが高いと決めてかかっているところがあります。

 

反対に、

 

嫌いな人が書いた内容については、最初から否定してかかっていることも珍しくありません。

 

このような現象について、脳科学者の茂木健一郎氏は、

 

ネトウヨはあげ足を取るのはうまいが心を動かされる洞察が無い

 

と述べています。

 

ネットの言論を見てみれば、批判はするが、理論の根拠は述べない、あるいは述べても不完全かつ非論理的である、そして「ケチ」や「言いがかり」といったものがいかに多いでしょうか。

 

「言いがかり」「皮肉」「ケチ」はあふれています。ケチをつけるとは取るに足らない点について言及し、相手の名誉を傷つけようと試みるような発言のことです。

 

読み取り方によって物事が変わる事例はたくさんあります。

 

例えば、塾の実績などはその一つです。

 

実績を紹介すれば、自慢しか言っていないなどと言われ、

 

実績を紹介しなければ、この塾は実績が無いのだ

 

などと言われます。

 

「新しいバッグ買ったの」

 

と友達に見せた時に

 

「私もそのブランド持ってるわよ」

 

と言ってみるのも似ています。

 

相手からのメッセージは読み手の受け取り方次第で、嫌味に見えることもあれば、普通の会話に見えることもあるのです。

 

このように、「先入観」や「うがったものの見方」で、物事はどのようにも解釈が可能です。

 

(4) 資料4をどのように読み解くか

この手の問題は、出題者側の問題意識を考えることが大切です。

----------------------------------
教える先生の側もすべてが分かっているわけではなく、分からないこともあるんだよ。
----------------------------------

というメッセージの裏には、どのような問題意識があるのでしょうか。

 

・何でも知っていると思われることが困る。

・権威性をたてにいばっているように思われたくはない。

・学問的な態度(好奇心、興味、真理の探求など)を大切にしてほしい。

 

このような問題意識が考えられます。

 

「教えるもの」と「教えられるもの」の関係の中で大切なことは、生徒の側が教えてもらう態度で、答えを知りたいと教員に依存しすぎないことでしょう。

 

生徒の側の自立心を育てることで、より良い理想的な教育ができるのではないかという認識が課題文の教育論にはありました。

 

また、

「教えられるもの」と「教えるもの」というように、教える側と教えられる側を明確に区別することが、必ずしもよいことではないという認識も課題文にありました。

 

また、

 

野放しにすることで教育が行われるわけでもないという認識が課題文にはありました。

 

(5) 解答例

 教育者の責任とはどのようなものだ
ろうか。私は愛情の裏側にある厳しさ
であると考える。
 学問とは、「問いを学ぶ」と書く。
最初に答えがあるのではなく、未知の
領域について、問題を見つけ、解決す
ることの連続が学問である。その学問
の最先端で活動する学者は時として教
育者にもならなければならない。これ
が大学教員である。大学教員には、多
くの場合威厳や権威性が一定程度存在
するが、この権威性はアーレントが述
べたように知識量から生まれるもので
はない。生徒を教育指導する立場が持
たなければならない愛情がその根底に
ある。しかし、単に愛情だけを表現す
れば、放任主義的な教育に近くなり、
アーレントが批判したように危険であ
ると考えられる。したがって教育者は
生徒を指導する責任を持たなければな
らない。この時の責任感から生まれる
のが厳しさである。
 教育者の責任とは、彼らが持つ愛情
から生まれる厳しさであると考えられ
る。

 

【3】編集後記 「落ちるよ!」

 

受験生からすると「落ちる」という言葉は聞きたくない言葉だと思います。

 

受かるよ!受かるよ!

 

と言われれば、気持ちがいいかもしれません。気分がよく、安心するかもしれません。

 

しかし、このような物言いは、ある意味で無責任だとも思うのです。

 

私は比較的「落ちるよ」と言うことを大切にしています。

 

慶應大学経済学部に受かったある子が慶應大学に合格後も、サポートを希望し、難関の会計士を目指してがんばっています。

 

この時、私は彼に、「落ちるよ」と、わりと言います。

 

その理由は、スケジュール的に本当に厳しいからです。

 

本人もそれは十分に分かっているようです。

 

ここから間に合わせることができれば、相当すごいと私は思いますが、彼は彼なりに間に合わせようと真剣そのものです。

 

そんな時に、通っている予備校では、(教えてもらっている内容は素晴らしいと思います。)
「受かるよ」と言うのだとか。

 

牛山が「落ちるよ」と言っているのに
予備校は「受かるよ」と言っている。

 

もちろん、、、、

 

牛山も相手を見て、受かる、落ちるという言葉は言います。

 

タフでなければ本当にびくついて萎縮するだけということもあります。

 

時間がきわどい時に単に落ちると言えば、心理的にも微妙な状態になりますね。

 

従って総合的に見て、受験生がタフである場合や、甘い考えでは相当まずい場合、せっかく実力があるのに、油断していて足元をすくわれそうな場合に「落ちるよ」などとニコニコしながら言うのです。

 

私は自分が主催する塾で、毎月受験生にメッセージを流します。

 

その月に何をすればいいのか、何が大切なのかなどです。

 

どれだけ心に響いてくれるかは、分かりません。

 

今月は○○が大切だよ!と言っても、スルーされることもあるでしょう。

 

でもなぜ言うのかと言えば、やはり真剣に合格を目指すためです。

 

「受かる」というメッセージと、
「落ちる」というメッセージは
両方同じくらい大切です。

 

暑苦しい言い方で表現すれば、それは

 

愛情と責任。

(ちょっと大げさですね。)

 

 

もっとたんぱくに言えば、

 

受かってほしいから。

 

 

限界までたんぱくに言えば

 

 

「受かりたければやれ」

 

(;^_^A

という話になってしまいます。

 

厳しすぎるー!

 

と感じる方もいるかもしれませんが、おんぶにだっこでは、なかなか受からないのも事実。

 

なるべく早い段階から自律的に取り組めるようにサポートしていきます。

 

そんなわけで、時にやさしく、時に厳しく、

 

やっています。

 

まあ、でも、そんないいもんじゃないというご意見もあると思いますが、、

 

(牛山さん、厳しすぎる!!)

 

と思う人もいるかも。

 

一方で、受かる人ほど、

 

「ぜんぜん、厳しくないと思います。もっと厳しくてもいいと思います。」

 

なんて言うことがあるし、

 

「超絶厳しく添削してください。」

 

なんて合格前に添削用紙に書いて答案を送ってきていることがありました。

 

ドMさんなので、厳しくされることを望んでいるのではありません。

 

結果につなげたいから、真剣なのですね。真剣であればあるほど、厳しく指導されても、二人三脚でがんばりやすいです。

 

 

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