このページでは、メルマガで流した慶應大学の文系学部の小論文問題の解説を掲載しています。
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1998年度慶應大学総合政策学部 小論文過去問題解説
こんにちは。
牛山です。
本日は、1998年度 慶應大学総合政策学部小論文過去問題解説です。
今回の問題は次のようなものです。
設問1
高齢化社会の政策課題の内、資料の論述に含まれるそれ以外の重要な政策課題を3つ挙げなさい。
解答例
少子化対策
移民政策
年金額減額時の貧困者に対する生活保障の枠組み
この問題は、あまり資料は関係ありません。
自分が思い当たるものが、資料にあれば、それを除外するだけです。
日ごろからどのような問題意識を持っているかが重要です。
それでは、次の問題を見てみましょう。
設問2
問1に挙げた4つの政策課題の内、あなたがもっとも重要と考えるものを選び、その政策課題についての対処の仕方についてあなた自身の考えを述べなさい。
これは、ガチンコで問題解決してみせよという問題です。
あなたがどれだけ具体的に問題を捉えているかを見られています。
したがって、漠然としたことを述べたり、体のいい一般論を述べても、点数は低いでしょう。
本当に問題になりそうなことについて、本当に問題を解決するのであれば、具体的なことを述べることができるはずです。
また、ある程度具体的に述べるためには、普段の勉強、読書が大切になります。
解答例
私が上記の政策課題の中で最も重要だと考える政策課題は、「年金額減額時の貧困者に対する生活保障の枠組み」である。年金制度は仮に我が国がデフォルトしたとしても、破たんしない可能性がある。その理由は、どこまでも減額するためである。しかし、物価の高騰、消費税の増額などと同時に、年金が減額された場合、蓄えがないために、支給された年金の額では生活することができない国民が何百万人と出てきてもおかしくはない。また、生活破綻者だけではなく、健康に問題を抱えても満足な医療を受けることができず、苦しむ高齢者が多数出ることも予想される。彼らの苦しみを取る必要がある。
上記の問題を解決するためには、現行の医療制度や、生活保護を含めた社会保障制度を抜本的に見直す必要がある。現行の医療制度や社会保障制度が抱える問題点は、一律に年齢や収入によって対象を区分することにある。換言すればざっくりしすぎた分類により、対処しているため、公共財が効率的に使われていないという問題である。消費税の増額に伴い、特定品目に対する低減税率を導入するような考え方が大切だ。海外では、社会保障に一部現物支給を行っている国がある。一方で日本は、生活保護の不正受給が問題となっている。現物支給をしなければ、安アパートに住み、生活保護で得た支払金で高級外車を乗り回すような不正も横行しやすい。このような不正受給がある中で、本当に生活保護を受けなければならない人々が十分な保護を受けられないでいる。この状況に今対処しなければ将来はもっと悲惨な状況、生活に苦しむ国民の増加が予想される。医療についても同様である。年齢だけで区分けするのではなく、抗菌薬や抗生物質、感冒薬等については、高齢者負担額を無料化するなど、国民を守る政策が重要である。暇つぶしに来院する高齢者が多いという理由だけで、高齢者の負担額を一律増額するなどの措置は、妥当とは言えない。いかにして国民を守るかという視点こそが重要である。
以上、現行の医療制度や、生活保護を含めた社会保障制度を抜本的に見直す政策課題を私は提案する。
自分の考えを分かりやすく伝えましょう。
詳しく具体的に述べていきましょう。