慶応大学総合政策学部の小論文過去問題解説

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慶應大学SFC 総合政策学部 小論文解説 2014年

 

 

こんにちは。
牛山です。

先日は、総合政策学部の入試でした
が、いかがだったでしょうか。

今回の問1は、二つの資料を読ませ
て、二つの資料の学説の違いをまとめ
るという問題でした。


さっそくですが、解答例を見てみまし
ょう。

 

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【1】問題1の解答例
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資料1と資料2の学説の違いは、中国
社会の変化についての重要因子につい
ての見解にある。資料1の学説では、
中国の社会変化は主に西洋の文明の影
響によるものであると解釈している。
資料1では、西洋の多様性を認めつつ
も、西洋が19.20世紀の世界におい
て、技術その他の母国であった事実は
動かし得ないとの立場を取り、西洋の
影響力を高く評価している。一方で、
資料2の学説では、中国の社会変化
は、西洋文明に対し、受動的、反応的
なものではなく、西洋に無関係な事象
によっても起こっていると主張を展開
する。具体的には、資料2は中国社会
の変化について、「西洋の挑戦に対す
る中国の反応」であると問題を単純化
せず、思想、文化、心理的次元で問題
を捉えるに留まらず、社会的、政治
的、経済的次元の検討を慎重に行うも
のになっている。換言すれば、資料2
は社会変化の因子を精緻な枠組みで捉
えようとしていると表現できる。
----------------------------------
これがないと話が進まなくなってしま
いますので、今回は解答例を掲載しま
した。

さて、

今年は特に速く読むことができなけれ
ば厳しい問題が出題でしたね。

慶應SFC受験生は、その意味で文章
を素早く読むことができる力を養成す
ることを私はオススメしています。

それでは、設問2の方を見ていきまし
ょう。

問題はと言いますと、どのような違い
があるのかを説明して、その後に、な
ぜそのような違いが生まれたのかを解
説してくださいというもの。

ポイントは、問1の解答を踏まえて解
説することを求められている点です。
ここでピーンとくる必要があります。

漠然と今回の資料を読んでも、なかな
かポイントを見抜くことはできません
よ。漠然と読むのではなく、何がポイ
ントになっているのかを考えながら読
んでいくことが大切です。

私も、最初に問題を見た瞬間は正直、
(なんだこれ?)と思ったのですが、
クイズのようなもので、分かると大変
面白く問題が組まれているのが分かり
ます。さて、それでは、資料3と4の
違いについて、詳しく見ていきましょ
う。


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【2】アヘン戦争への経緯
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(1)資料3
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・原因:イギリスは輸入超過に苦しんでいた。
・結果:清国のアヘン吸引の習慣に目をつけて、三角貿易を案出した。

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(2) 資料3で行われている解釈
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ここで行われている解釈は、イギリス
が困った状態になったので、したたか
に、行動を起こしたという解釈になっ
ていますね。

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(3) 資料4で行われている解釈
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・原因
(1)この時期に銀の世界市場への供給量が減少した。
(2)イギリスでは紅茶を飲む習慣が一般化し、中国茶の需要が高まっていた。
・結果:イギリスは、銀を支払わず、貿易赤字を補てんする方法を考案した。

原因を1と2に分けて、イギリスが行
動を起こしたという解釈になっていま
すね。

 

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(4) どこが違う?(考えてみよう)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

さて、ここで一度立ち止まって考えて
みましょう。

資料3:したたかにイギリスはアヘンに目をつけて考案した。
資料4:(1)と(2)の状況からイギリスは考案した。
同じように三角貿易を案出したという結果に対する
『経緯や原因』についての解釈が違います。

☆彡POINT
『経緯や原因』についての解釈が違う。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

それでは、引き続き別のポイントを見
ていきましょう。

 

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【3】アヘン戦争の発端
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(1) 資料3
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・原因(経緯):イギリスは武力で自由貿易を清に対して認めさせようとした。
・結果:アヘン戦争の勃発

 

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(2) 資料3で行われている解釈
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

イギリスはかなりの程度悪役として、
解釈されていますね。

【資料4】
・原因(経緯):麻薬の為の戦争に対する議会での反対論もあった。
しかし、武力による自由貿易の拡大を正義とみなした。
・結果:アヘン戦争の勃発

 

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(3) 資料4で行われている解釈
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

資料4では、慎重派がいたことが記述
されていますね。しかしながら、当時
の時代における正義の解釈から、開戦
に踏み切ったと解釈されています。

このあたりは、当時の時代背景(植民
地化や領土拡大が、行われていた)に
おける正義の解釈になりますので、今
の時代の正義についての感覚から言え
ば、当然に許されない行為だと言えま
すが、今回の問題で問われているの
は、正義の解釈論ではなく、資料3と
資料4の違いです。

極度に単純化すれば、資料3ではイギ
リスは悪役、資料4ではイギリスは悪
役ではないと言えるかもしれません。

このような「悪役」等の表現は、当然
適切なものではないのですが、メルマ
ガの読者の皆さんに分かりやすい記述
にしていますので、ご容赦ください。

少し堅苦しく言えば、
資料3はバイアスがかかっており、資
料4は、極力バイアスを取り除き、
事実を記載するように教科書の製作サ
イドが尽力していると言えるでしょ
う。

 

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(4) どこが違う?(考えてみよう)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

さて、ここで一度立ち止まって考えて
みましょう。

資料3:イギリスは武力で認めさせようとした。
資料4:国内で反論もあったが武力行使を正義とみなした。

程度の問題がすっきりと抜けていると
言えるかもしれませんね。程度の問題
や、事実の経緯が抜けることにより、
資料3ではより一層、イギリスが悪い
印象が強まっています。

少し見方を変えれば、資料3は解釈を
書いているのに対して、資料4は、事
実を書くように努めていますね。

 

☆彡POINT2
『解釈』を書いている資料3に対し、資料4は『事実』を書くように努めている。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
それでは、引き続き、次を見ていきま
しょう。

 

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【4】日清戦争の発端
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(1) 資料3
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

・原因(経緯):東学党の乱が原因で、日清両国は出兵して衝突する
事態に発展した。
・結果:日清戦争

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(2) 資料3で行われている解釈
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

一言でいえば、雑になっていますね。
原因に対する考察課程があいまいに記
述されています。

東学党の乱はあくまでも間接的な事件
であるにも関わらず、あたかもそれが
原因であるかのように記述されていま
す。

 

【資料4】

・原因(経緯)
(1)東学党の乱が契機となり、日清両国は鎮圧のために出兵した。
(2)両軍の到着時には乱は収束しており、朝鮮政府は撤兵を求めた。
(3)しかし、日清両軍は撤兵せず、日本は武力を背景にして朝鮮に
政治改革案を示して受諾するように求めて対立した。
(4)この結果、日清両国が開戦する事態となった。
・結果:日清戦争

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(3) 資料4で行われている解釈
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

資料4では、開戦に至るまでの経緯が
詳細に記述されています。事実に基づ
いて解釈が行われているのですが、そ
の考察課程にある事実の量が、資料3
よりも、資料4の方が多くなっていま
す。

このあたり、拙著『小論文の教科書』
を読んでいた人は、事実から考察する
FACTベースの思考について、練習
していたと思いますので、それなりに
やりやすかったのではないかと思いま
す。

~読んでいた人へ~
いじめ問題について、細かくFACT
ベースで物事を見ていき、考察する問
題がありましたね。
あの時の解答例の作成プロセスを思い
出してみてほしいんです。

 

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【5】なぜ違いが生まれているのか?
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なぜ上記のような違いが生まれたのか
については、事実を細かくみていくか
どうかで、違いが生まれていると考え
てもいいかもしれませんね。

答え方はいろいろとあります。

因果関係を細かく把握していると表現
することもできますし、バイアスがか
かっているかどうかだと表現すること
も可能です。いずれにせよ、このよう
な視点を持つことができたかどうかが
今回の問題では重要になってきます。

今回の問題は、いつもそうなのです
が、渋いですね。私は個人的にこうい
う問題は好きです。

☆彡POINT3
・資料3よりも、資料4の方が事実の量が多い。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

このあたり、「小論文の教科書」を読
んでいた人は、事実と解釈を分けまし
ょうと、丁寧に書いておいたので、対
応しやすかったのではないかと思いま
す。

正確に論考する際に、もっとも気を付
けなければならないのは、いつも言っ
ていることですが、FACTベースで
物事を見ていくことです。

論理思考の基本中の基本ですので、こ
の問題は、大変小論文の勉強にもなり
ますね。

さて、解答についてですが、ここまで
に見てきたようなことをきれいにまと
めればOKということになります。

みなさん、うまくできたでしょうか。

 

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【6】ご注意:SFCに合格するために必要なスキルについて
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今回の問題は、知識が無ければ解けな
いのでは??というように思った人
も、もしかするといるかもしれません
が、ほとんど関係ありません。

今回の問題ではありませんが、《因果
関係を細かく見ていくこと》が大切で
す。

知識がある⇒問題文が分かり、点数が
取れる。これは、極めて雑な思考過程
ですね。因果関係を細かく見ていく
ことが大切です。

今回の問題の点数のポイントは、
(1)出題意図をきちんと把握できたか
(2)問1の問題をきちんと踏まえることができたか
(3)因果関係の記述の精緻さの違いであることを見抜けたかどうか
(4)違いが生まれた原因についてきちんと言語化できたかどうか

このような点になります。
これらの点をしっかりと抑えるために
必要な力とは何でしょうか?

(a)洞察力・分析力
(b)思考力(問1との関連性を見抜く)
(c)速読力
(d)FACTベース思考についてのスキルレベル
(e)ゼロベース思考についてのスキルレベル
(f)ロジカルシンキングについてのスキルレベル
(g)表現力

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【7】並べてみると・・・(必要な能力の整理を試みます。)
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(1)出題意図をきちんと把握できたか
(a)洞察力・分析力
(c)速読力
(2)問1の問題をきちんと踏まえることができたか
(b)思考力(問1との関連性を見抜く)
(3)因果関係の記述の精緻さの違いであることを見抜けたかどうか
(d)FACTベース思考についてのスキルレベル
(e)ゼロベース思考についてのスキルレベル
(f)ロジカルシンキングについてのスキルレベル
(4)違いが生まれた原因についてきちんと言語化できたかどうか
(g)表現力

 

概ねこのようになっているでしょう。
(1)を満たすのに、知識があると、
役立つこともある、という形になって
います。

従って、世界史の知識があるにこした
ことはありません。しかし、一方で、
世界史の選択者でも、今回の問題に苦
しんだ人は多かったと思います。世界
史の知識がありさえすれば、それで
解くことができる問題ではないという
ことです。

 

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【8】問3について
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(1) 考え方
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

この問3は、問1や2とつながってい
ると考えてもOKです。精緻に因果関
係を考察することで、どのように改善
を行うことができるモノがあるのかを
考察させる問題に(も)なっています
ね。

言い換えれば、ここまでの問1や問2
のように、因果関係がある程度見抜く
ことができれば、改善案を出しやすい
ですよね?

ということかもしれませんね。

そんなことも考えながら、問題を解い
ていけば、さりげなーく加点ポイント
を満たしながら答案を構成していくと
いうこともやりやすくなります。←こ
れはチョット上級テクニックです。

この問3では、自由な発想やプレゼン
テーションのスキルが、高得点への道
ですよ!

こうやって考えると、必要な能力やス
キルが多いことに気づくと思います。
これが慶應SFCの一つの特徴なんで
すが、ほとんど言及されることはあり
ません。発想力と、プレゼンのスキル
を加えて、今回の問題1~3で、ある
にこしたことはないスキルや能力をも
う一度まとめて列挙してみます。

(a)洞察力・分析力
(b)思考力(問1との関連性を見抜く)
(c)速読力
(d)FACTベース思考についてのスキルレベル
(e)ゼロベース思考についてのスキルレベル
(f)ロジカルシンキングについてのスキルレベル
(g)表現力
(h)発想力(クリエイティブシンキング)
(i)プレゼンテーション

このようになります。ズラズラと並べ
ると、チョット嫌だなぁ・・と感じて
しまうかもしれませんが、いろいろと
力を伸ばすという意味で、ワクワクし
てもらえるといいなと思います。

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(2) ご注意
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

新しいことを考えることや提案するこ
とは、簡単なことではありません。

しかし、慶應SFCは今回のような問
題になっているので、例えば思いつい
て考えるタイプの問題は、なんとかな
るという言説もありますね。

基本的に上記のような言説というの
は、体験談か、根拠がないものです。

※仮に『解釈説』とこれらの言説を呼
ぶとします。

体験談というのは、サンプル数1とい
うことです。

言い換えれば、結果論です。

場合によっては、後から理由をつけて
いるだけということもあります。この
ことを「フランクリンの言い訳」など
とも言うそうですが。。
『解釈説』は多くのケースで、気持ち
が大きくなっている時に生まれます。
そのことを覚えておけば、今回の問題
の「事実と解釈」の見極めではありま
せんが、あなたの考える力は増しま
す。

したがって、『解釈説』には、肝心か
なめの【再現性】がありません。

そういうこともあるかもしれないし、
そういうことがないかもしれないので
す。

ラッキーはあまりあてにはなりませ
ん。『解釈説』の合格理論について
も、今回の問題のように、複数の事実
に基づいて判断を加えていくことが
大切です。

実態がどうなっているのか?何が事実
なのか、ということについての精緻な
思考が無くなっていくと、あなたは合
格しにくくなってしまいます。

基本的に何もせずに合格している人
は、相当センスがいい人です。受験生
全体の10%程度は、大変センスがいい
と表現せざるをえない人がいます。

近い内にもう少し詳しい内容を図解で
ご説明します。SFCで学びたいっ!
と思っている人は、理工系へ進みたい
人などもいると思うんですが、ぜひ参
考にしてみてください。

 

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【9】問題2の解答例
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 資料3と資料4では、大きく二つの違いがある。第一の違いはアヘン戦争への経緯に対する解釈である。資料3では、イギリスは輸入超過に苦しんでいたことが指摘されており、イギリスは、清国のアヘン吸引の習慣に目をつけて、三角貿易を案出したということになっている。一方で資料4では(1)この時期に銀の世界市場への供給量が減少した。(2)イギリスでは紅茶を飲む習慣が一般化し、中国茶の需要が高まっていた。その結果として、イギリスは、銀を支払わず、貿易赤字を補てんする方法を考案したということになっている。資料3と4では、このように、経緯、及び原因に対する解釈が違う。
 第二の違いは日清戦争の発端についての解釈である。資料3では、東学党の乱が原因で、日清両国は出兵して衝突する事態に発展したと解釈している。一方で資料4では、以下のように経緯を解釈している。(1)東学党の乱が契機となり、日清両国は鎮圧のために出兵した。(2)両軍の到着時には乱は収束しており、朝鮮政府は撤兵を求めた。(3)しかし、日清両軍は撤兵せず、日本は武力を背景にして朝鮮に政治改革案を示して受諾するように求めて対立した。(4)この結果、日清両国が開戦する事態となった。
 上記のように、資料3及び資料4では、総じて事実の量に開きがあり、その結果として結果に至る解釈の精緻さに違いがある。
 なぜこのような違いが生まれたのだろうか。事実を分析し、その結果生まれる解釈は、事実を整理要約する際に何を重視するかによって、異なる性質を有する。事実をどのようにグルーピング化し、どのように論理に飛躍が無いようにまとめるかにより、得られる解釈は異なる。このような原理原則が存在する為、各資料間で異なる解釈が導かれていると考えられる。

 

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【10】問題3の解答例
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 私が今までに最も親しみにくかった科目は、化学である。その最大の理由は、私が病気がちで学校へ行くことができなかったからである。理数系の科目は積み上げ型の科目であり、授業でかみ砕いた内容を聞くことができなければ、次の出席時に内容を把握することが極めて難しくなる。他のクラスメートは難なく学ぶことができた理数系科目を私が苦手にした最大の理由は、学校教育がEラーニングに準ずる体制をとっていなかったことである。(DVDでも可)
 特別な工夫は要らない。単に体が不自由な人間にも等しく教育の機会を与えれば、楽しく学ぶ対象を吸収し、正規の学力を多くの生徒が身に着けることができるようになる可能性は上がる。現代の教育は等しくは行われていない。中高の学習進捗状況が違うため、不公平な競争が行われている。何事においても平等にすればよいとは、私は考えない。しかし、単に病気や経済的な事由で、思い通りに学習ができなかった人までも、平等の名の元に、公平に評価を下していると、教育を提供する側の人間が判断することがあってはならないのではないだろうか。個々人の事情を考慮し、教育政策と評価の公平格差のギャップを埋めることにより、非平等な社会でも公平な評価を初めて与え得る地盤ができ、個々人が楽しく学ぶ土壌が生まれると私は考える。

 

 

 

 

 

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