慶應大学経済学部 2002年小論文過去問題の解説

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2002年度慶應大学経済学部 小論文過去問題解説

 

こんにちは。
牛山です。

 

本日は、2002年度慶應大学経済学部小論文問題解説です。

 

【1】問題 Ⅰ

 

(1) 問題概要

今回の問題は、次のようなものです。

 

----------ここから----------
イギリスとアメリカにおいては、大学へのどのような期待が歴史上存在したか。課題文からそれらを二つにまとめそれぞれがどのような社会的変化の中で重視されるようになったのかを70字以内で述べなさい。
---------ここまで-----------

 

課題文の該当箇所は次のようなものです。

 

----------ここから----------
一方イギリスでは、専門を超えて学者と学生が寝食を共にする伝統的なカレッジ制が維持されていたが、その制度を守りながらも、新たな市民階級の勃興とともに大学教育の目的は十九世紀を通じて次第に変化した。それは古典や歴史などの素養に裏打ちされた知性と見識を育む教育、すなわち望ましい市民にふさわしい高等教育への変化であった。またイギリスの影響を強く受けていたアメリカの場合にも、大学は市民の育成を目的とする場として発展をした。
しかしイギリスやアメリカの場合にも、十九世紀後半の経済の発展にともない、専門的な個別知識への需要が高まり、またドイツにおける近代科学の隆盛にも刺激されて、十九世紀の末には、新たな変化への動きが生じた。イギリスでは、それまでの大学の特質は一方で守りながらも、専門的な教育のための組織・制度が大学に導入され始めた。また、アメリカの場合には、例えば、農業・工業等の産業教育に重きを置いた州立大学が設置されていった。アメリカにおけるこの種の教育は、具体的な職業に直接に役立つことを目的としたものであり、その後のアメリカの大学教育の一つの特色となった。
---------ここまで-----------

 

この内容をギュギュギュと圧縮します。

 

必要に応じて、簡単に言い換えることも考えてみましょう。

 

それでは、解答例をご紹介します。

 

(2)解答例

 

 市民階級の勃興と共に教養教育に関する教育が大学に期待されていた。近代科学の興隆に刺激され、近代科学の発展に伴い専門教育の期待が高まった。

 

【2】問題Ⅱ

 

(1) 問題概要

 

 日本の社会や経済のどのような現実がなぜ大学における知のあり方に変化を求めているのか。具体的な事がらを1つ取り上げて、130字以上150字以内で説明しなさい。

 

(2) 考え方

 

今回の問題は、課題文からの抜出しや要約ではありません。

 

具体的な事柄を挙げることを求められています。

 

従って、何かしら当てはまる事例を取り上げて説明する必要があります。

 

「大学における知のあり方」になぜ変化を求めるのか?

 

このあたりをしっかり考えてみましょう。

 

説明の仕方次第でいろいろな理由があると思われます。

 

大学における知のあり方に変化が求められる大きな理由の一つは、大学が社会のためにある機関だからという理由はあるでしょう。

 

大学の役割は主に大きく二つあり、1つは研究機関であり、1つは教育機関です。

 

このことはぜひ覚えておきましょう。

 

社会のどのような変化が、研究や教育に影響を与えるのでしょうか。

 

当然ですが、将来性のある分野は重点研究領域になります。

 

また、現代社会でニーズが高まる産業については、多くの大学で教育が行われます。

 

ただし、一方で現代社会で求められることだけを教えていては、大学で学んだことが陳腐化してしまい、時代の流れについていけない若者を生み出してしまうということが広く一般的に大学教育の現場では考えられているようです。

 

これは、日本も海外も事情は同じです。

 

ある程度普遍的な力である、教養や問題解決能力をいかにして高めるかということについて、危機意識を持っている大学もあるようですよ。

 

それでは、解答例を見てみましょう。

 

(3) 問題Ⅱ 解答例

 

 特定の産業が大きく発展した際に は、大学がその影響を受けることが少 なくない。以下に事例を挙げたい。日 本が円安になれば、観光産業が栄え る。このような場合、大学でも観光産 業について講義を行うケースが必然的 に増加する。本来的に大学とは、研究 機関であると同時に教育機関である。 従って、大学はその時代にあった教育 及び研究を一定程度常に求められる性 質がある。

 

【3】 問題Ⅲ

 

(1) 問題概要

 

問題Ⅲでは、グラフを読み取る問題が出題されます。

 

グラフは、時代の経過と共に、大学入学者数が増加し、一方で、18歳の人口が減少しているグラフです。

 

要は、いわゆる「大学全入時代」(希望すればどこかの大学に入ることができる。)になったことを示す資料になっています。

 

この、大学全入時代であることを踏まえて、、、、以下のようなことが問われていますよ。

 

----------ここから----------
大学をめぐるその他の状況を考慮した時、これからの大学はどのような理念に基づくべきであると考えるか。あなたの見解を460字以上500字以内で論じなさい。
---------ここまで-----------

 

(2) 考え方

 

【大学全入時代】
今回の問題では、「大学全入時代」であることを踏まえる必要があります。

 

大学全入時代と、大学全入時代の前、つまり、大学に行く人がエリートであった時代では、どのような違いがあるのでしょうか。

 

エリートであった時代に大学に行くということは、一定程度、将来は管理職候補になるという側面があります。

 

管理職候補に求められる教育というものもあるでしょう。

 

例えば、戦時下では、軍隊を組織するために組織論が説かれたと言います。

 

どうすれば軍隊を自在に組織することができるのかについて、組織論は一定の答えを提示しました。

 

このように、大学とは社会で求められる技能を一定程度身に着ける職業教育が重要になることがある性質をいくらか有しています。

 

【職業教育と教養教育】
職業教育をやればいいわけではありませんが、昔から大学の役割については、職業教育なのか?それとも、教養教育なのか?ということが議論されているのですね。

 

職業教育がおろそかになると、大学には行っても意味が無いという極論が出始めます。

 

また、教養教育がおろそかになると、大学で教える内容が陳腐化しやすくなり、専門学校化していきます。

 

ただし、このような議論は今まで一般的だったのですが、ここまで高度にインターネットが普及した時代にあっては、大学の役割以前に、大学で学ぶ意味と価値の問題に近い将来私たちは直面するようになると思われます。

 

大学では、研究者も実質的に(間接的にかもしれませんが)教育しなければなりません。

 

以上のようなことを踏まえて、何が言えるのかを考えてみましょう。

 

 

考えてみたでしょうか。

 

 

 

以下に挙げるのは、解答例ですので、多くの考え方の一つに過ぎません。

 

今回の問題の場合、グラフを踏まえる条件を付けられていたので、(私の考えるところと違いますが、補足して詳しく説明する文字数も無く)このような解答例になっています。

 

(3) 解答例

 図1から読み取ることができること は、大学全入時代であるということで ある。18歳人口が大きく減少し、同時 に四年制大学入学者数が大きく増加し つつある。このような状況をふまえ て、これからの大学はどのような理念 に基づくべきだろうか。
 大学の理念はその大学が社会で果た すことができる役割によっても変わっ てくるのが実情である。例えば東京大 学は国家的エリート養成を理念として いるが、各大学も同様である。私は、 今後の大学は一定程度社会人養成の特 色を理念に持つことが要求されると考 える。
 かつて大学とは、高度な専門教育を 受ける者、エリートだけが進学する場 であった。このような時代にあって は、必然的に行政機関及び民間の管理 職候補を育てるのが大学の役割とな る。しかし今は状況が違う。非管理職 たる国民が国際社会で経済的な付加価 値を生まないのであれば大学に行く意 味がなく、アメリカでは大学の学費を 捻出できない学生が増えていることが 大きな社会問題となっている。今日一 般的な大学に求められる社会的要請と は、多くのケースでこのような事態を 防ぐための職業教育の力であると言え るだろう。

 

【4】編集後記

 

今回ご紹介した内容は、大学に求められる変化の内の、ごく一部をお話ししたに過ぎません。

 

本当はもっと多くの変化が求められるのでしょう。

 

ただ、本文にも書いたように、今回の問題では、大学全入時代を前提としていますのでね。

 

このような文面にしました。

 

大学論については、今後も定期的に出題される可能性が大です。

 

ぜひチェックしておきましょう。

 

 

 

 

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