このページでは、メルマガで流した慶應大学の文系学部の小論文問題の解説を掲載しています。
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2012年度 慶應大学看護医療学部の小論文問題解説
こんにちは。
牛山です。
本日は、2012年慶應大学看護医療学部の小論文問題解説です。
【1】問題1
(1) 問題概要
2012年の問題では、「頼むこと頼まれること」というテーマで課題文が与えられています。
問題の1は、課題文の内容理解を主とした説明問題になっています。
説明問題+論述的な問題という構成が看護医療学部では多いですね。
問題1は、筆者がいわんとすることはどういうことかを説明する問題です。
下線部の内容は、
----------------------------------
そうでないと本当の意味で助けることにならない
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とありますね。
この手の指示語問題は、指示語が指し
ている内容を遡るのが鉄則です。
「そう」が指すのは、どこでしょうか。
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助ける人は、助けられる人の気持が分からなければならない。
----------------------------------
を指していますので、
助けられる人の気持が分からなければ、本当の意味で助けることにはならない
ということですね。
これは、どういうことか?
なぜなのかを説明すればよいということになります。
なぜ、助けられる人の気持が分からなければ、ならないのでしょうか。
直前の段落にそのわけが書かれています。
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頼むことほどみじめなことはない
----------------------------------
と書かれていますね。
文章のつながりから、筆者が何を述べたかったのかを察することが大切です。
こうやってヒントを探していけば、解答根拠が必ず本文にあります。
それでは、解答例を紹介します。
(2) 問題1 解答例
物事を頼むことほどみじめなことは
ない。物事を頼む側は、このような心
理的な負担を乗り越えつつ、相手に物
事を頼む。従って、助けられる側の人
の気持ちが分からなければ、助けを願
う側の人間の心理をケアすることはで
きない。「そうでないと本当の意味で
助けることにはならない」とは、この
ように助けられる側の心理的側面も含
めた救済は、心理を理解することで初
めて可能となることを指している。
【2】問題2
(1) 問題概要
問題2では、課題文の内容を理解した上で、あなた自身の「頼むこと頼まれること」について、経験から学んだことを述べることを求められています。
課題文の内容は、このようになっています。
課題文内容の構造
http://structure-notebook.com/premium/public.php?id=6450
今回の課題文については、、、、
文章の前半は、話を入れるための、社会背景に過ぎません。
後半の中で筆者が最も言いたいことは一言化すれば、「おごるべからず」ということです。
本当の救済をするには、奢らず、真摯に業務に携わることが重要であることを説いています。
本当の救済とは、筆者が規定している言葉ですから、筆者の問題意識から見た、重要な考えだと言えます。
筆者が強く批判していることから、何を本当の救済だと筆者は考えているのかを把握しましょう。
ここについては、問1でやりましたね。
問2で自分が論述する場合も、筆者の問題意識を踏まえた上でテーマとしても合致する内容を書くのが望ましいでしょう。
(2) 解答例
私が「頼むことと頼まれること」か
ら学んだことは、誠実な関心を寄せる
重要性である。幼少期に私は薬害にあ
ったことがある。幼少期から処方され
た薬が有名な薬害の対象となる薬だっ
た。そのことを初めて知りかけた時、
私は、小学校低学年から処方され続け
た薬について質問をしたことがある。
極めて真剣に私は問うた。その際に、
私がした質問を医師は一笑に付した。
その後その不勉強な町医者は病院を高
齢のため閉鎖した。私が薬害に苦しん
だのはその後のことである。医師は私
の心理面にも、体のことにも、医療の
事情にも大きな関心を示さなかった。
私が年を重ね人から頼られるように
なった時、私は誠実な関心を寄せるこ
とを大切にした。その結果、二つの面
で「誠実な関心を寄せること」は大き
く役立つことが分かった。誠実な関心
を寄せることは、クライアントの心理
面のケアとなり、問題を解決する上で
重要な役割を果たす。教えられる側が
みじめに感じる理由は精神的に屈する
か、あるいは軽く見られるためであ
る。誠実な関心を寄せればこのような
ことはおきない。相談時に会話のリー
ドをしているに過ぎないからである。
また、「誠実な関心を寄せること」
は、問題を解決する上でも、大いに役
立つ。状況を詳しく聞き出し分析しな
ければ手っ取り早い表面的な対策に終
始するようになるためである。
以上、頼むこと、頼まれることから
私は「誠実な関心を寄せること」の重
要性を学んだ。