慶應大学看護医療学部 2008年小論文過去問題の解説

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このページでは、メルマガで流した慶應大学の文系学部の小論文問題の解説を掲載しています。 慶應クラスでは、構造ノートや構造議論チャートを使ってもっと詳しく細かく各学部の過去問解説を動画で行っています。

2008年度 慶應大学看護医療学部の小論文問題解説

 

こんにちは。
牛山です。

 

本日は、2008年慶應大学看護医療学部の小論文問題解説です。

 

【1】問題1


この年の問題では、福沢諭吉の『福翁自伝』の「はじめてアメリカに渡る」、「ヨーロッパ各国に行く」などの文章が紹介されます。

 

これらの文章を読み、福沢諭吉の観察の特色について述べることが求められています。

 

端的にまとめると、以下のような内容です。

 

・アメリカに渡り、アメリカ人が説明する内容について、既に自分は十分に知っていることが多かった。(ガルヴァニの鍍金法、砂糖の製造法、テレグラフなど)

・物価が高いこと。

・ワシントンの子孫があまり海外では重視されていないこと。(日本での徳川、源等の子孫の扱いと大きな差があること。)

・日本に無い仕組みでかつ、文献に掲載されていないことについては、理解することが難しかったこと。(エレキトル、蒸気、印刷、病院の仕組み、徴兵令、選挙法、議会の仕組みなど)

 

上記のようなことについて、書かれた文章が出題されています。

 

【2】解き方


 

今回の問題では、福沢の「観察の特色」についてまとめることを求められていますので、抜出し問題ではありません。

 

書かれている内容について、特徴を自分が観察する必要があります。

 

ここで特徴を捉えるコツは、

 

(1)特徴的な部分
(2)象徴的な部分
(3)傾向

 

などを捉えることです。

 

福沢は、日本で調べることができることについては十分調べていたので、以下のようなことを課題文で述べています。

 

【特徴的な部分】
----------ここから----------
原書を調べて、ソレでわからないということだけを、この逗留中に調べておきたいものだ
---------ここまで-----------

 

【象徴的な部分】
----------ここから----------
日本に帰ってから、ソレを台にして、なおいろいろな原書を調べ、また記憶するところをつづり合わせて、西洋事情というものができました。
---------ここまで-----------

 

【傾向】
----------ここから----------
ソレがほぼわかるようになろうというまでには、ほねのおれた話で、そのいわれ因縁が少しずつわかるようになってきて、入り組んだ事がらになると五日もと十日も掛かってヤット胸に落ちるというようなわけで、ソレが今度洋行の利益でした。
---------ここまで-----------

 

このように、注目していけば、問題を解きやすくなります。

 

それでは、解答例を見てみましょう。


 

【3】問題1 解答例

 

 著者の観察の特徴は、効率と観察の レベルである。
 第一の特徴である、ここで述べる 「効率」とは、無駄なことをやらない ことを指す。海外での調査に際して、 福沢諭吉は日本で文献によって調べる ことができることは十分に調べてい た。そのため、あらゆることについて 質問をする必要が無く、自分が知らな いことだけを調べることができたので ある。
 第二の特徴である「観察のレベル」 とは、高い次元で調査することを指 す。腑に落ちないことについては、周 辺事情や物事の趣旨等を明らかにする ことで、十分に理解するように努めて いる。低いレベルの理解や、バランス を欠いた偏った理解、表面的な理解を 避け、総合的にレベルが高い理解を実 現している。

 

【4】問題2

 

問題2では、以下のようなことが問われています。

 

----------ここから----------
問題1で答えたような観察眼を身につけるために、どのような素養が必要であるか、あなたの考えを600字以内で述べなさい。
---------ここまで-----------

 

素養について、問われていますね。

 

 

【5】解説

 

この手の問題は、視点の良さを見ています。

 

従って、あまり仰々しく論じなくともいいでしょう。

 

仮に自明性が高いことについて、あらたまって論じれば、馬鹿げた雰囲気も出てきます。

 

そこで、「論じる」と「述べる」の中間のようなイメージで文章を設計していくことが大切です。

 

どのように書いていくべきかは、状況に応じて、臨機応変に変えていきます。

 

・論じる・・・理由とセットで記述。
・述べる・・・根拠なく記述。

 

【6】問題2 解き方

 

問題の解き方ですが、これは観察眼が無い人をイメージすること、観察眼がある人をイメージすることが大切です。

 

いわゆる、感性を働かせる思考方法が極めて有効です。

 

私が「小論文が得意になるには、感性を働かせることが大切」と言うことが時にあります。

 

これは、感性を働かせない人は、物事についての観察力が低下し、直線的なことばかりを述べるようになるためです。

 

ネタを頭に入れて、吐き出す、というように、感性を働かせない思考は直線的です。

 

今回の問題を見ても分かりますが、用意したネタが使えない・・・出題予想が外れた・・などと言ってみても仕方がありません。

 

その場その場で臨機応変に対応していくしかないのです。

 

自分の頭の働かせ方をマスターしておけば、たったそれだけで、何が出ても臨機応変に対応できるようになります。

 

観察眼が無い人はなぜ観察眼がないのかということについて、単に横から眺めているだけでは分かりません。

 

その人の言葉遣いや、思考の傾向からその人物が抱いている感情をイメージする必要があります。

 

感情など人の思考に関係が無いとあなたは思っているかもしれませんが、感情的になっている人は、大きく推論能力を落とすことが分かっています。

 

感情と思考は不可分なのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

その人の言説を見てみればだいたいその人物がどのような思考の発露を持っているのかは分かります。

 

人のことを感情的になっていると批判する割には、自分は論理的に物事を説明していない場合、

 

あるいは、人の批判はするが、論理的ではなく、論理に漏れや重複があり、論理的飛躍が生まれている場合、

 

あてこすりや皮肉など、言説に感情的になった後が見て取れる場合

モノの見方がネガティブでバランスを欠いている場合、

 

このような場合、人は感情的に反応している可能性があります。

 

このような感情の機微もイメージしてみましょう。

 

そこで起こっていることについて、「流れ」や「感情」、「傾向」、「原理」も感じ取ることが大切です。

 

その上で、自分が感じ取ったものについて、冷静に論理的に分析することを試みましょう。

 

今日はメルマガですので、ざっくりした解説になりますが、ポイントはこのようなところにあります。

 

さて、ここであなたも、この問題に参加してみましょう。

 

----------ここから----------
問題1で答えたような観察眼を身につけるために、どのような素養が必要であるか、あなたの考えを600字以内で述べなさい。
---------ここまで-----------

 

あなたの考えはどのようなものでしょうか。

 

少し頭に思い描いて練習してみましょう。

 

それでは、解答例を見てみましょう。

 

【7】解答例

 

 福沢諭吉が持っていた観察眼と同じ ような観察眼を発揮するには、どのよ うな素養が必要だろうか。私は以下の 四点を挙げる。偏見がないこと、探究 心、教養、知性の四点である。
 偏見がある人物は研究には不向きで ある。その理由は思考が偏見に囚わ れ、目が曇るためだ。人の推論能力に 関する研究でも、先入観がある人物の 推論能力は低くなることが分かってい る。
 探究心も同様に推論能力と大きな相 関がある。探究心が無い人は、物事が どうなっているのかを推し量ることが 難しいことが研究により明らかになっ ている。福沢は強い好奇心から西洋の 事情を調査していることが見て取れ る。
 教養は物事の理解に不可欠である。 英語と西洋の事情について福沢には豊 かな教養があった。教養は物事の理解 に役立つだけでなく、同様に推論能力 を高める働きを持つ。この反対に、教 養が無い人物は物事を知らないため、 何がよく、何が悪いのかを判別できな いことも珍しくない。
 知性は観察の土台である。知性が高 い人物は論理的思考力も引きあがる。 観察とは、福沢が日本に無い概念を日 本人として初めて理解していったよう に、他人による先理解がなければ、高 度な論理的思考力を要求される行為で ある。

 

【8】編集後記

 

牛山は大学院で推論能力の研究を行っていたのですね。

 

それで推論能力、論理的思考力がどうやれば高まるのか、なぜ低くなるのかに詳しいわけです。

 

このような研究を土台として、小論文サービスを提供しているため、私が主催する「慶應クラス」などの慶應大学進学対策専門塾では、いわゆる『頭がよくなる小論文指導カリキュラム』が実質的に組まれています。

 

統計的に何が言えるのかを見てきた私が、論理思考とスキルアップの原理原則に基づいて、年間のカリキュラムを作成していますよ。

 

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