慶應大学 法学部 2007年小論文過去問題の解説

慶應大学絶対合格情報
ここでしか手に入らない慶應合格・不合格情報、暗記法、思考法小論文対策を無料提供!
~メールマガジンについて~
メールマガジンでは、慶應大学に特化した情報をお届けします。小論文の点数を上げる秘訣や、記憶量を増やすコツなどの情報です。メールマガジンではサービス・役務のご案内もあります。その為に無料提供となっています。プライバシーポリシーはこちら・メルマガ解除はこちら

このページでは、メルマガで流した慶應大学の文系学部の小論文問題の解説を掲載しています。 慶應クラスでは、構造ノートや構造議論チャートを使ってもっと詳しく細かく各学部の過去問解説を動画で行っています。

2007年度慶應大学法学部 小論文過去問題解説

 

~総合政策学部と法学部受験生必見~

 

こんにちは。
牛山です。

 

本日は、2007年度 慶應大学法学部小論文問題解説です。

 

【1】問題前半


(1) 設問の要求

今回の問題は、要約後にあなたの考えを述べなさいという問題でした。

設問には以下のようなことが書かれていますね。

 

課題文を読み、そこで展開されている「法」と「政治」と「歴史」の三者の関係を500字程度で要約し、それと関連づけながらあなたの考えを自由に述べなさい。

 

(2) 考え方

 

今回の問題は、「要約しなさい」という問題ですが、「法と政治と歴史の三者の関係を」と指定していますので、関係がないところはあまり入れないように論旨を要約していきます。

 

(3) 解答例

 

 国家と歴史の合理化を進めた時、国 際政治の軋轢が残る。被害を記憶する 国家は、国家史の観念を捨てることを 権利喪失と感じるものである。ところ が、国家間で起こっている対立の本質 は、歴史的真実の問題ではなく、政治 的正義の問題だ。政治的正義は世界に いくつもある。この政治的正義の真実 は学問的な真実ではなく、法的な真実 である。法は本質的に社会秩序の安寧 を目的とするものであり、絶対唯一の 真実の解明を目指すものではない。法 は現在に生きる人間のためにあるもの であり、そのために法的な真実は時間 というものに強く制約される。時間に 制約される政治はこの法の精神にこそ なじみやすい。国際政治もとりあえず 一国ずつ歴史主義を捨て、法の精神に のっとって行動する政府が増えて行け ば、ここで用いた比喩が比喩でなくな る日が来るのも夢ではあるまい。

 

(4) 読解のポイント

 

よくあるのは、課題文がやや読みにくい場合や、難解な雰囲気を醸し出している時に、心理的にやられてしまうということ。

 

(もうだめだ~)なんて思わないようにしましょう。

 

今回の課題文を読み取るコツは、筆者が否定しているものを把握することです。

 

該当部分は、

 

----------ここから----------
国家間で起こっている対立の本質は、歴史的真実の問題ではなく、政治的正義の問題だ。
---------ここまで-----------

 

という部分です。

 

中核的な部分をつかまえると、あとはスルスルと分かります。

 

要は、歴史的真実を扱おうとしている態度が、問題を収束させないという考え方です。

政治的正義の問題なのであれば、どうすればいいのか、その点について著者は次のような見解を示します。

 

----------ここから----------
一国ずつ歴史主義を捨て、法の精神にのっとって行動する政府が増えて行けば、ここで用いた比喩が比喩でなくなる日が来るのも夢ではあるまい。
---------ここまで-----------

 

ズルズルと長い文章でも、要点を絞って把握していけば、理解も簡単になりますね。

 

著者は何を否定しているのかを感じ取りましょう。

 

課題文に大きく、マイナスマークをつけるだけでも分かりやすくなります。

 

その否定しているものの反対側が、著者が肯定的に考えている部分です。

 

英文読解も同じように考えていけば大変処理しやすくなりますよ。

 

歴史的真実を追求しすぎることを著者は否定的に見ており、政治的真実を追究することで、いくらか問題が収束する方向に向かうのではないかと考えているわけですね。

 

全体の流れが分かれば、要約もやりやすくなります。

 

【2】設問後半



(1) 少し変わった設問の要求

もう一度、設問の要求を確認してみましょう。

 

----------ここから----------
課題文を読み、そこで展開されている「法」と「政治」と「歴史」の三者の関係を500字程度で要約し、それと関連づけながらあなたの考えを自由に述べなさい。
---------ここまで-----------

 

「関連付けながら」と書いていますね。

 

なぜ、「踏まえて」と書かれていないのでしょうか。

 

今回の問題では、筆者の主張を論点として、その筆者の主張に対して、賛成や反対を述べていかなくても、、、いいでしょうと出題者は考えていると見ていいでしょう。

 

(2) 理由を考えてみよう

なぜ出題者は、このように要求したのでしょうか。

 

あくまでも推測の範囲ですが、政治の問題を国際法で解決することの難しさを出題者自身が感じ取っているからかもしれません。

 

韓国との国際紛争にせよ、結局日本がいくら国際司法裁判所に訴え出てみたところで、韓国側が動きません。

 

事実上国際司法裁判所は、機能していないのです。

 

独立主権国家の集積によって世界が成り立っていますので、法を機能させることで、国際紛争を解決するということは難しく、多くのケースで、利害関係の調整を行うことで、世界の政治は回っているところが大きいでしょう。

 

中国が一党独裁体制を維持し、国民の不満が中央政府に向かないようにするために、日本バッシングをしているのは有名な話です。

 

国営放送で日本軍および日本人がいかにひどい人間であるかについての、ドラマを制作、放送し続けていると言われていますね。

 

国によっては、他国と領土問題でもめていていも、単純に(この領土は、かつての戦争時の戦利品だ、何を言ってるんだ?)という程度にしか考えていない国もあります。

 

つまり、各国が持っている正義という感覚は、普遍的価値観に基づく正義と悪という感覚ではなく、

 

自国を主体とした自己利益に基づく権利感情に似ているところがあるとも言えるでしょう。

 

もしそうでなく、普遍的な正義感情に基づく価値観によって政治が行われているのであれば、侵略戦争は起こりません。

 

従って戦争が起こる際には、必ず何らかの大義名分があり、戦争に突入します。

 

もしも、

 

政治の問題を国際法で解決することの難しさを出題者自身が感じ取っているのであれば、その問題意識を

 

汲み取った答案
~~~~~~~~~~~~~~~~

 

を作ることには、一定の意義と価値があるでしょう。

 

このように、出題者が問うている真意をある程度推し量りながら小論文で問答をすることは大切なことです。

 

問われている「字ずら」に反応して「字ずら」に対する答えを述べないようにしましょう。

 

私がよく引き合いにだす、「バカの壁」に書かれていた事例と同じです。

 

養老教授が、「この骨とこの骨の違いは何かね?」と東大生に尋ねたところ「先生、この骨の方が大きいです」と東大医学生が答えたというエピソードが紹介されています。

このように、何を問われているのかをあまり考えず、「字ずら」に反応していくと、理想的な問答ができなくなります。

 

気を付けましょう。

 

それでは、解答例を見てみましょう。

 

(2) 解答例 後半


 以上が筆者の主張である。はたして このような歴史主義を法の精神に基づ き捨てることで、法が明文化されるよ うな国際法の進展及びその運用拡大が 望めるだろうか。私は極めて部分的に 著者の理想は実現されると考える。理 由は大きく3つある。一つ目の理由は 法体系構築の原理である。各国家が用 意する法は、法の精神はあれど国家権 力の維持拡大に都合よく構築されるの が一般的である。第二の理由は、現在 の世界は独立主権国家の集まりであ り、原則として利害関係が一致しない ことだ。法は利害関係の調整を行う が、国際社会では、その調整の妥当性 を決する主体が存在しえない。現実に 今の国際司法裁判所を見ればそれが分 かる。第三の理由は、アインシュタイ ンがフロイトとの往復書簡で述べたパ ワーバランスの原理である。アインシ ュタインは戦争が無くなるのは、各国 のパワーバランスが取れている状態で あるとの仮説を立てた。お互いに牽制 し合う状態があれば、一方的な侵略は 無いとの目算である。一方的な暴力は パワーバランスが保たれている時には 起こらないが、崩れると起こる。現実 に尖閣諸島事件は、日本の国際的プレ ゼンスが低下した際に、起こってい る。アインシュタインが述べたとおり のことが起こっている。

 以上3点の理由から、私は著者の主 張は極めて局所的に実現すると考える。

 

 

 

無料メルマガでも、慶應大学の小論文を詳しく解説しています

 



~なぜメルマガに登録するのがお勧めなのか?~
1.慶應受験と学習のスキルアップに詳しい人に教えてもらうので、成長しやすい。
2.点数が短期間で大きく引きあがった指導をうけることができるので、あなたも点数が上がる事が予想される。
3.慶應受験について多面的に詳しくなるので、合格しやすくなる。
4.お金が一円もかからない。(無料で教えてもらえる。)

 

《合格実績》大学受験だけではなく、大学院受験の合格実績も豊富です。

慶應大学合格/慶應大学大学院合格/北海道大学大学院合格
東京工業大学大学院合格/上智大学合格/早稲田大学合格/京都大学合格など


~メールマガジンについて~
メールマガジンでは、慶應大学に特化した情報をお届けします。小論文の点数を上げる秘訣や、記憶量を増やすコツなどの情報ですが、メルマガにはサービス・役務のご案内もあります。その為無料で提供しています。

プライバシーポリシーメルマガ解除

 

慶應大学絶対合格情報
ここでしか手に入らない慶應合格・不合格情報、暗記法、思考法小論文対策を無料提供!

メディア掲載: プレジデントFamilyClub様

 

『慶應大学に我が子を確実に合格させる教育法』

第1回 ⇒「従来の教育法では慶應に益々合格しにくくなる」

第2回 ⇒「慶應大学合格に必要な要素と中核」

第3回 ⇒「慶應大学合格に有効な受験対策(前編)」

第4回 ⇒「慶應大学合格に有効な受験対策(後編)」~「受け身の学習」から「攻めの学習」に変化させる~

第5回 ⇒「慶應小論文対策で失敗しないための根本的対策」

第6回 ⇒「信頼関係と素直な心で慶應受験に強くなる」

 

 

慶應クラスの資料請求・お問い合わせ

 



PAGE TOP
© 2007 - DIJI SYSTEM