慶應大学 法学部 2004年小論文過去問題の解説

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2004年度慶應大学法学部 小論文過去問題解説

 

こんにちは。
牛山です。

 

本日は、2004年度 慶應大学法学部小論文問題解説です。

 

【1】問題概要


今回の問題は、次のようなものです。

 

----------ここから----------
以下の文章を読み、著者の議論を踏まえて、あなたが考える「世界」についての未来像を自由に論じなさい。
---------ここまで-----------

 

課題文では、平和論が説かれています。

 

どんな内容かと言いますと、以下のような内容が課題文に書かれています。

 

----------ここから----------
過去の平和論の中には勢力均衡に基づく平和という地政学的なもの、経済交流を通しての各国間の相互依存によるもの、国際法や国際機構の充実と浸透、文化交流その他の分野における非政府組織の役割によるものがある。グローバリゼーションは非政府組織の活動を盛んにし、その結果、市民社会が形成される可能性がある。現在の世界は、第一に国家、第二に、経済圏、第三に広い意味での文化交流によって作られた「世界」によって成り立っている。独立主権国家の対立が続く現代において、自由意思に基づく国民レベルでの交流はかつてないほど重要性を増している。そのような中にあって、NGOやINGOの作り出す世界がこれから益々重要になっていくのではないだろうか。
---------ここまで-----------

 

法学部で出題されたことを考えると、やや珍しいパターンですね。

 

しかしながら、「未来像」を述べさせる問題は、慶應大学法学部で定期的に出題されているようにも思えます。

 

5~10年に一度は出題されているようなので、やややりにくい問題ですが、慣れておく方がいいでしょう。

 

【2】注意点

 

今回の問題の注意点は、世界の未来像ではなく、「世界」の未来像を述べることです。

 

ん?どういうこと??と思うかと思いますので、気にせず読み進めてください。

 

よーく見てください。

 

----------ここから----------
以下の文章を読み、著者の議論を踏まえて、あなたが考える「世界」についての未来像を自由に論じなさい。
---------ここまで-----------

 

かぎかっこがついていますね。

 

これは、どういうことかと言いますと筆者が規定している世界ということです。

 

課題文の中で最初にかぎかっこがついた「世界」という言葉を探してみることが大切です。

 

そういう目線でずーっと探してみますとね、

 

次のような文章があります。

 

----------ここから----------

こういった諸問題が示唆するように、一口にグローバリゼーションといっても、それは決して単一的な現象ではなく、いくつかの面を持っている。地球(グローブ)といっても、それは単一の世界というよりは、その中に様々なレベルでのサブ・グローブ、いわばいくつかの「世界」が出来ているのだといえる。そのうちの一つが伝統的な主権国家の「世界」であることは疑う余地がない。

---------ここまで-----------

 

つまり、「世界」というのは、様々なレベルでのサブ・グローブのことだということが分かりますね。

 

そのうちの一つが国家なのだと筆者は言っています。

 

さらに、そのあとの部分で、次のようなものも「世界」だと言っていますよ。

 

・地域組織
・ヨーロッパ共同体
・国連

 

そして、政治学者によっては、この「世界」を「国家間関係の世界」

 

inter-state world と呼ぶ者もいるのだとか。

 

ここまでをしっかりと把握して、文章全体が平和論をテーマとしていることを念頭に、考察していくことが大切です。

 

【3】考え方

 

今回の問題は、ある程度いろいろな考え方が可能です。

 

著者が説く「世界」にはいろいろなものがあるからです。

 

課題文の要約の一部を見てみましょう。

 

----------ここから----------
現在の世界は、第一に国家、第二に、経済圏、第三に広い意味での文化交流によって作られた「世界」によって成り立っている。
---------ここまで-----------

 

こんな形になっていますね。

 

従いまして、

国家についての未来像でもいいし、
経済圏についての未来像でもいいし、
文化交流についての未来像でもいいし、
NGOについての未来像でもいいし、

 

という話になります。

 

しかしながら、課題文の中で著者が最も言いたかったのはこの部分です。

----------ここから----------
独立主権国家の対立が続く現代において、自由意思に基づく国民レベルでの交流はかつてないほど重要性を増している。そのような中にあって、NGOやINGOの作り出す世界がこれから益々重要になっていくのではないだろうか。
---------ここまで-----------

 

ある程度今回の問題はいろいろな方向で書いていくことができますが、設問の中に、

 

著者の議論を踏まえて

 

という要求がありますので、この点について論じていくのが無難でしょう。

 

【4】NGOの影響力はどの程度?

 

著者の視点は、大切な視点であると考えられます。

 

ただ、現実的に見て、NGOの影響力は今どの程度あるのでしょうか。

 

ここを政治や経済の力学的な観点から総合的に考えていかなければ、未来像を考察することはできません。

 

従来の世界で支配的であった政治的影響力と、経済的影響力について、現状でどのような動きがあり、どのような傾向があり、その結果何が言えるのかについて、

 

情報を整理要約していく
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ことも一定程度大切になるでしょう。

 

そこで、今回の解答例では、やや変則的な書き方をしています。

 

情報を整理要約しつつ、なおかつ、自分が提示した仮説との論理的関係性を明示し、論文がズルズルになっていかないように構成しています。

 

NGOが機能するかどうかは、従来の政治や経済の力学的な影響力とNGOの影響力が具体的にどうなのかということによって決まります。

 

従って、その点について言及していくといいでしょう。

 

【5】解答例

 

   過去の平和論の中には勢力均衡に基 づく平和という地政学的なもの、経済 交流を通しての各国間の相互依存によ るもの、国際法や国際機構の充実と浸 透、文化交流その他の分野における非 政府組織の役割によるものがある。グ ローバリゼーションは非政府組織の活 動を盛んにし、その結果、市民社会が 形成される可能性がある。現在の世界 は、第一に国家、第二に、経済圏、第 三に広い意味での文化交流によって作 られた「世界」によって成り立ってい る。独立主権国家の対立が続く現代に おいて、自由意思に基づく国民レベル での交流はかつてないほど重要性を増 している。そのような中にあって、N GOやINGOの作り出す世界がこれ から益々重要になっていくのではない だろうか。以上が著者の展開する平和 論である。
 果たして、著者の論じるNGOが影 響力を拡大することによる平和が実現 するのだろうか。私は一定程度著者が 述べるNGOを土台とした平和への影 響力があると考える。  私が上記のように考える第一の理由 は、国家の動きである。かつての歴史 を振り返れば、乱世と言える時代にあ って「覇を唱える人物」によって戦争 は起こってきた。ヒトラー、織田信長 等はその好例である。近年では中国が 唯一領土を拡大するための動きを見せ ていることが話題となっている。従っ て戦争は今後も起こり続ける可能性が ある。
 第二の理由は、経済活動のグローバ ル化が武力による暴力のはけ口になる ことである。中国が展開するアジアイ ンフラ投資銀行については、先進国の 中で日本とアメリカだけが参加してい ないといういびつな形となった。現代 は戦争を起こさずとも経済的に覇権を 拡大することが可能な時代である。従 って、経済活動は戦争を引き起こす確 率をわずかでも弱める働きがあると考 えられる。
 第三の理由は、非政府組織の拡大で ある。インターネットメディアの発達 と共に、グローバルな国民同士のつな がりが拡大しつつある。文化上の相互 理解が進めば戦争に対する幾ばくかの 抑止力になる可能性はある。ただし、 この考えはかつての歴史を考慮に入れ ればいくらか楽観的な見方と言わざる を得ない。現状では依然として国家の 影響力は強く、先般の安保法制も国民 の合意を実質的に得ることなく審議を 通過してしまっている。
 上記の理由から、総合的に見た場 合、非政府組織はわずかに各国の国政 に好ましい影響力を与え、平和維持に 貢献すると思われる。

 

 

 

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