慶應大学 法学部 2001年小論文過去問題の解説

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2001年度慶應大学法学部 小論文過去問題解説

 

こんにちは。
牛山です。

 

本日は、2001年度 慶應大学法学部小論文問題解説です。

 

【1】問題概要


今回の問題は、以下のようなものです。

 

----------ここから----------
以下の文章を読み、著者の言う、イデオロギーや夢、宗教、死、科学などとリアルとの関係を検討し、あなたの考えを自由に述べなさい。
---------ここまで-----------

 

法学部の問題としては、テーマがやや変わっていますね。

 

課題文の内容をまとめると、以下のようなものです。

 

少し内容をイメージしながら読んでみましょう。

 

----------ここから----------
夢やヴァーチャルリアリティーのなかで、生命を消費していくよりも、自分の生命をリアルな現実として生きたい。ところが私たちの生活は、観念のベールで包まれている。イデオロギーは、かつて幻想機能を持っていた。宗教は現実から目をそむけさせる。技術主義の医療は無思想であり、同様の性質がある。我々にとって、死こそが絶対のリアルであり、昔から人は死という絶対のリアルから生きていることの意味を考えることができたのである。現代社会は、ヴィジョンをなくして保守的になった分だけ人をリアルから遠
ざけており、科学もその意味では、リアルとの触れ合いを隔てるものである。
---------ここまで-----------

 

法学部の問題についてはよくあることですが、課題文は読みにくい文章が出題されています。

 

ですから、上記の文より、より一層長い文章を読むと、さらに分かりにくいかと思います。

 

じっくり3回程度、気になった人は読んでみてください。

 

このように、著者は、死を「絶対のリアル」と表現し、著者が述べる「リアル」の象徴として扱っています。

 

課題文から著者が述べる「リアル」とは何なのかを読み取っていく必要があります。

 

著者が本稿で述べるリアルとは、非観念的なもの、真に生きることなどと考えていいでしょう。

 

科学や医療は、無思想であると著者は批判しています。無思想に、著者が述べる絶対のリアルである死と対峙しないこともまた、リアルではないという立場を著者は取ります。

 

このように、観念的なものを避け、無思想にならず真に生きることと対峙することの必要性を著者は主張しています。

 

【2】解き方

 

設問で要求されている順番に解いていきましょう。

 

まず設問で求められているのは、

 

----------ここから----------
以下の文章を読み、著者の言う、イデオロギーや夢、宗教、死、科学などとリアルとの関係を検討し、
---------ここまで-----------

 

ということですから、ここについて言及していく必要があります。

 

どのような関係にあるのか、言語化することを試みましょう。

 

ここでは課題文理解の力を見られていますので、必要に応じて簡単な要約や、解釈を説明的に述べることが有効です。

 

その後、上記の解釈(関係を明示することを求められていましたね。)について、自分の見解を展開するのは、一つの無難な方向性です。

 

しかし、今回は独自の考えを周辺の論点について述べていく形でもいいでしょう。

 

あなたが好きな方を選び、問題を解いていきましょう。

 

問題提起の例を以下に挙げておきます。

 

例)

・死と向かい合うとはどのようなことか
・真に生きることはどのようなことか
・現代とリアルの関係はどのようなものか

 

【3】言葉に気を付けよう

 

今回の「著者の見解」についてですが著者は自分こそが現実を直視しているという見解を持っているようです。

 

ところが、、、、

 

その見方が現実を直視しているかどうか、大変疑わしいですね。

 

「現実」「リアル」という言葉は、大変強力な言葉です。

 

人を説得する時にも、現実という言葉は、真実という言葉の代名詞として使われることがあるように思います。

 

皆さんはどのように考えるでしょうか。

 

「これが現実だ」

 

「現実を見ろ」

 

というセリフは、自分が現実を見ているので、正しいという自己認識に立脚しているふしがありますね。

 

ところが、現実が目の前にあるからといって、その人が言っていることが常に正しいとは限らないんですね。

 

なぜか。

 

その理由は、現実と自分の仮説の間に「論理の飛躍」があることがあるからです。

 

例えば、飛行機が空を飛んでいない時代がかつてありましたね。

この時代に、紙飛行機を作り、飛ばします。

 

地面に落ちますね。

 

「現実を見ろ、落ちただろう。空を飛ぶのは無理なんだ。」

 

こういう人がいます。これは類推です。

 

人は何かを考察する時、このように、現実を見て類推することで何かを推し量ろうとします。しかし、それが常に正しいかどうかは、本当は分からない。

 

あえて、「現実」という言葉を用いて説明すれば、現実に今我々の時代には飛行機が空を飛んでいます。

 

現実という言葉を用いて、自説の正しさを説く人がいたとしても、実はその人が常に正しいとは限らない。

 

現実という言葉に私たちは信念や先入観を持っています。

 

これと同じような現象は、受験の世界にもあります。

 

傾向にあわせた対策が必要だ。

 

こういう考え方を無批判に受け入れている人はいないでしょうか。

 

現実という言葉を無批判に受け入れて考察していた人が間違っていたのと同じように、この考えは大変危険です。その理由については、メルマガなどで解説することもあるので、既に映像で説明を受けた人もいるかもしれませんね。

 

私たちは言葉に気を付ける必要があります。無批判に受け入れている言葉がないかを一度考えてみましょう。

 

【4】解答例

 

 夢やヴァーチャルリアリティーのな かで、生命を消費していくよりも、自 分の生命をリアルな現実として生きた い。ところが私たちの生活は、観念の ベールで包まれている。イデオロギー は、かつて幻想機能を持っていた。宗 教は現実から目をそむけさせる。技術 主義の医療は無思想であり、同様の性 質がある。我々にとって、死こそが絶 対のリアルであり、昔から人は死とい う絶対のリアルから生きていることの 意味を考えることができたのである。 現代社会は、ヴィジョンをなくして保 守的になった分だけ人をリアルから遠 ざけており、科学もその意味では、リ アルとの触れ合いを隔てるものであ る。
 以上が著者の主張である。上記のよ うに著者は「絶対のリアル」である死 を「現実の象徴」として扱っている。 従って、宗教、科学、医療、イデオロ ギー、夢とリアルの関係は、著者が述 べる「絶対のリアル」と、その絶対の リアルから目をそらさせるものという 関係にある。
 著者のこのような考え方について、 私は全面的に賛成することはできな い。理由は大きく3つある。第一の理 由は著者の述べる「昔はできた」とい う点について疑わしいためである。著 者は死という絶対のリアルから「昔 は、人は生きていることの意味を考え ることができた」と述べている。しか し、かつてから自然崇拝や宗教は存在 しており、カントやトルストイ、ニー チェが哲学によってこれらの考察を深 めてきた歴史がある。誰もが百人百様 の解釈をしてきたのが実情であり、著 者の見解もその一つと言える。第二の 理由は、根拠が無いからである。科 学、宗教、医療などを観念的、ないし は現実との触れ合いが無いと批判する 一方で、自分はなんら根拠を持たず自 説を観念的に展開している。第三の理 由は、解釈論だからである。かつてア ンシュタインは科学と宗教の関係が不 可分であると説いた。その理由は目的 と意味づけ論にある。人の営為は、多 分にその目的が多様な意味づけ論によ って支えられている。著者が展開する 一考察は、その意味づけ論の一つであ る。物事の解釈はいかようにも可能で ある。同様に、その解釈に対する意味 づけも、いかようにも可能である。人 はえてして自分こそが正しいと思い込 むものだ。自分の理解を超える範疇に ついて人は思考できず、独善的にな る。課題文は興味深い考察だが、その 好例である。
 以上3点の理由から、私は著者の見 解に全面的に賛成することはできな い。

 

 

 

 

 

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