慶應大学 法学部 1999年小論文過去問題の解説

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1999年度慶應大学法学部 小論文過去問題解説

 

こんにちは。
牛山です。

 

本日は、1999年度 慶應大学法学部小論文問題解説です。

 

【1】問題概要

 

(1) 問題

次の文章は、戦争の責任と戦後の処理の問題について、一つの考え方を述べたものである。筆者の考えを要約したうえ、あなたの考えるところを自由に述べなさい。

 

こんな問題が出ています。

 

それでは、課題文の要約を見てみましょう。

 

(2) 課題文要約

 

 「謝罪の道を考えることこそ、歴史 に対する私たちすべての責任だと思 う」という旨の記事が朝日新聞に掲載 された。戦後ドイツが行ってきた「謝 罪と補償」を日本も行うべきかについ て、ドイツと日本を対比させて検討す ることは意義がある。ドイツは戦後、 戦争犯罪者の司法による追求を継続的 に行ってきたのに対して、日本は行っ ていない。ドイツは他国へ多額の補償 を行ってきたが、日本はほぼ行ってい ない。日本を近年戦後揺り動かしたの は従軍慰安婦問題である。加害の論理 を欠き、被害者意識にまどろんできた 日本にとっては、問題が政治的に決着 されることはありえても、被害者の理 解と納得を得るような謝罪と補償の道 は容易には切り開かれないだろう。な ぜならば、「なぜ祖父の世代の罪を孫 の世代が負うていかねばならないの か」という問いが発せられる状況は、 依然として強いからだ。ドイツでは、 祖父や父の世代が社会的に活躍してい た時期に、謝罪と補償に着手してきた のだ。

 

(3) 考え方

 

今回の問題では、

 

「あなたが思うところを自由に述べなさい」という設問の要求があります。

 

つまり、ある程度自由に問題設定をすることが許されているということです。

 

一般的には、「著者の主張を踏まえて」などと、要求されますが、今回は違います。

 

このあたりに、出題者側の意図があることを鋭く感じ取りましょう。

 

問題をパターン化する人はこういうところで、つまづきます。何を求められているのかを、イメージできないからです。

 

課題文全体の内容と、出題者側の問題意識を総合的に感じ取りましょう。

 

今回の文章は、補償問題についてのものですが、

 

戦争の責任をどのように考えるべきなのか

また、

 

世代を超えた責任の取り方

 

などについて、どのように考えているのかを述べてもいいでしょう。

 

もちろん、補償問題について、著者の論点を用いて問題設定をしてもかまいません。

 

いずれにしても、自分が何について、小論文を書くのかを先に決めることが大切です。

 

いろいろな点について、いろいろと述べてはいけません。論点を絞り、論文として書いていきましょう。

 

(4) 注目ポイント

 

今回の設問要求をもう一度見てみましょう。

 

----------ここから----------
次の文章は、戦争の責任と戦後の処理の問題について、一つの考え方を述べたものである。筆者の考えを要約したうえ、あなたの考えるところを自由に述べなさい。
---------ここまで-----------

 

「一つの考え方を述べたもの」

 

というフレーズがありますね。

 

これは一つの考え方に過ぎないと、出題者側が思っているのかもしれません。

 

そうだとすれば、どのような考え方を出題者は持っているのでしょうか。

 

このあたりも含めて、トータルに問題を考えてみましょう。

 

どうでしょうか。

 

いつものように、少しだけ考えてみましょう。

 

10秒でも、3分でも構いません。

 

 

 

 

それでは、解答例をご紹介します。

 

【2】解答例

 

 「謝罪の道を考えることこそ、歴史 に対する私たちすべての責任だと思 う」という旨の記事が朝日新聞に掲載 された。戦後ドイツが行ってきた「謝 罪と補償」を日本も行うべきかについ て、ドイツと日本を対比させて検討す ることは意義がある。ドイツは戦後、 戦争犯罪者の司法による追求を継続的 に行ってきたのに対して、日本は行っ ていない。ドイツは他国へ多額の補償 を行ってきたが、日本はほぼ行ってい ない。日本を近年戦後揺り動かしたの は従軍慰安婦問題である。加害の論理 を欠き、被害者意識にまどろんできた 日本にとっては、問題が政治的に決着 されることはありえても、被害者の理 解と納得を得るような謝罪と補償の道 は容易には切り開かれないだろう。な ぜならば、「なぜ祖父の世代の罪を孫 の世代が負うていかねばならないの か」という問いが発せられる状況は、 依然として強いからだ。
 以上が著者の主張である。私は著者 の仮説には賛成できるが、根拠には賛 成できない。つまり、日本は近隣諸国 から戦後の補償について理解されるこ とは難しいが、その理由は別のところ にあると考える。私が上記のように考 える理由は大きく3つある。
 第一の理由は、そもそも日本は戦後 の補償を、ODAという名目で行ってき たことである。このODAは政府開発援 助の略称だが、中国などでは、莫大な 金額を支援しているにもかかわらず、 「日中経済協力」などの呼称で、対等 な立場での金銭の授受と認識されてい たという。同様に、韓国に対しても政 府民間から合わせて数十兆円の、ODA 等経済支援があった。このため韓国は 近代国家の仲間入りができたと考えら れるが、韓国出身の教授が、「日本の 支援は大した額ではなく、アメリカの 方が大きい。」などと述べたことが近 年問題視されている。
 第二の理由は、中国のプロパガンダ 政策である。日本の従軍慰安婦問題 は、外交政策の道具となっている。一 党独裁政権の中国政府は、国民の不満 を外に向けることでその推進力をかろ うじて保つことができていると言われ ている。換言すれば、中国にとっては 外交政策上も、国内の政権維持のため にも、日本こそが悪の象徴でなければ 困る事情がある。第三の理由は、政府 を通じた正式な継続的謝罪が行われて いないことである。
 以上三点の理由から、私は日本政府 が今後他国に戦後補償問題について理 解されることは難しいと考える。しか し、根拠は著者と違い、上記に述べた 通りである。

 

【3】編集後記

 

私がある韓国系の高校に行き、授業を行った際に、おそらくは従軍慰安婦についての問題であると考えられる質問を受けたことがあります。

 

この時、私は大変根深いものを感じました。

 

日本のことが本当に好きな学生もいれば、日本のことがどうしても許せないという強い意識を持った学生もいるようです。

 

補償問題は、お金の問題だけではありません。日本が多額の補償を戦後中国や韓国に対して行ってきたからといって、それだけで補償が終わっているということにはならないでしょう。

 

言い換えれば、これらの問題は、政治的にけりをつければいい問題なのか、そうではないのかということでもあります。

 

例えば、広島に投下された原爆については、一瞬で数十万人の命を奪ったわけですから、日本は仮に政治的に原爆について決着がついたとしても、永久にアメリカに対して、この非人道的な所業を心の底では許すことは難しいと思われます。子供を含めた民間人を無差別に殺戮する大量破壊兵器が唯一用いられた国家が日本です。

 

どちらかといえば、今のアメリカ国民が、かつての戦争時の原爆使用について、謝罪の気持ちを持っていることが我々にとって心の救いになるかもしれません。もちろん、それは、戦争で亡くなった多くの方や遺族の方も例外ではありません。

 

仮にそうだとすれば、韓国や中国の人々も同様に感じるのかもしれません。

 

日本の政府が正式に謝罪すると同時に日本が継続的に行ってきたODAに対する理解が進み、国民レベルで相互理解が進むことが、戦後の責任問題については、重要であると考えられます。

 

従軍慰安婦問題については、当初朝日新聞の記事が発端となり、さらに、吉田氏という人物の虚偽の発言で問題が大きくなった経緯があります。

 

課題文では朝日新聞の記事がやや中立的な立場で紹介されていますが、一方で、朝日新聞の記事が従軍慰安婦問題が国際的に問題視されるようになったきっかけであるとも言われています。

 

虚偽の発言に基づく内容が、継続的に掲載されることで問題が大きくなった背景も無視できません。

 

経緯と事実関係を的確に把握し、歴史認識の一つとして、私たちは勉強しておく必要があると思われます。

 

そこで、「慶應クラス」では、この社会問題を授業で扱い、最低限の理解を作っておく授業も用意することにしました。

 

重要な社会問題については、ぜひチェックしておきましょう。

 

 

 

 

 

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