慶應大学 法学部 1998年小論文過去問題の解説

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1998年度慶應大学法学部 小論文過去問題解説

 

こんにちは。
牛山です。

 

本日は、1998年度 慶應大学法学部小論文問題解説です。

 

【1】問題

 

(1) 問題概要

----------ここから----------
「建て前と本音」についての著者の 考え方を500字程度で要約し、その 内容と関連づけながら、あなたの意見 を述べなさい。
---------ここまで-----------

 

このような問題が出ていますね。

 

それでは、課題文の概要を見てみましょう。

 

(2) 課題文概要(解答例)

 

 我が国においては、個人は長い間西 欧的な個人である前に自分が属する人 間関係である「世間」の一員であっ た。文明にせよ、文化にせよ、最終的 にはその根幹に人と人の関係の特異な あり方がある。明治時代に我が国は欧 米の諸制度を取り入れながら、結果と しては人と人の人間関係については従 来の形を残すことになった。こうして 我が国特有の状況が生まれた。諸制 度、諸体制については、近代化されな がら、一人一人の人間の生き方の点で は従来の慣行が維持されたのである。 こうして近代的な枠組みの中に、従来 の個人のあり方だけが生き残ることに なった。従来の人と人のあり方とは一 言で言えば「世間」のことである。我 が国では、公的な発言をするものは常 に自分の生き方と離れて別な次元のこ ととして話をしていたのであり、自分 の「世間」に関わらないよう用心して いたのである。こうして建前と本音の 世界の区別が生まれた。ある人が公的 な場で発言した場合、その発言がその 人の私的生活領域に根ざしたものであ れば信用されるが、そうでない場合は 信用されず、疑いの目で見られること になる。本音とは私的生活領域に根ざ した発言であり、その言葉は、世間に 根差した言葉として信用される。

 

(3) 要約のアプローチ

 

要約は、各段落の要点をつないでいくことで作ります。

 

ただし、あまり論旨から考えて重要ではない段落は無視しても構いません。

 

また、各段落の要点は、その段落ごとの「テーマ」と主張(仮説)に注目することで、見抜きましょう。

 

あとは抜き出してつなげば、要約ができます。

 

 

【2】考え方

 

さて、今回の問題は、「本音」と「建て前」について、考えさせる問題ですね。

 

チョット面白いです。

 

面白い上に、ある程度自由に考えさせる問題になっています。

 

----------ここから----------
「建て前と本音」についての著者の考え方を500字程度で要約し、その内容と関連づけながら、あなたの意見を述べなさい。
---------ここまで-----------

という問題ですね。

 

「踏まえて」

 

という言葉ではなく、

 

「その内容と関連づけながら」

 

という言葉で設問の要求が作られています。

 

従いまして、、、

 

この問題では、自分が関連する論点でいろいろと考えることが許されています。

 

何について考えてもいいのですが、注意点は、本当に好き勝手にはあまり述べない方がいいということです。

 

「文脈」が大切です。

 

今回の問題では、どのような文脈になっているかと言いますと、

 

従来の人と人のあり方とは一言で言えば「世間」のことである。

 

 

公的な発言をするものは常に自分の生き方と離れて別な次元のこととして話をしていたのであり、自分の「世間」に関わらないよう用心していた。

 

 

ある人が公的な場で発言した場合、その発言がその人の私的生活領域に根ざしたものであれば信用されるが、そうでない場合は信用されず、疑いの目で見られることになる。

 

この流れを大切にしましょう。

 

いわゆる世間体のいい物言いが、信用されない風潮がありますね。

 

このあたりについて考えてみるのもいいでしょう。

 

お笑い芸人の有吉さんは、このような傾向について、「本当のこと言っちゃうと、薄っぺらくて、誰も信用しないでしょ?」などと述べています。

 

本音と建て前以前に、人は、人のことを疑う傾向があるので、あえて本音を言わないというところまで、今の世の中がきてしまっているのかもしれませんね。

 

(1)何について述べるか
(2)どのような構成にするか

 

この2つだけでも、練習になりますので頭の中で考えてみましょう。

 

考えてみたでしょうか。

 

それでは、解答例をご紹介します。

 

【3】解答例

 

 我が国においては、個人は長い間西欧的な個人である前に自分が属する人間関係である「世間」の一員であった。明治時代に我が国は欧米の諸制度を取り入れながら、結果としては人と人の人間関係については従来の形を残すことになった。こうして我が国特有の状況が生まれた。諸制度、諸体制については、近代化されながら、一人一人の人間の生き方の点では従来の慣行が維持されたのである。こうして近代的な枠組みの中に、従来の個人のあり方だけが生き残ることになった。従来の人と人のあり方とは一言で言えば「世間」のことである。我が国では、公的な発言をするものは常に自分の生き方と離れて別な次元のこととして話をしていたのであり、自分の「世間」に関わらないよう用心していたのである。こうして建前と本音の世界の区別が生まれた。ある人が公的な場で発言した場合、その発言がその人の私的生活領域に根ざしたものであれば信用されるが、そうでない場合は信用されず、疑いの目で見られることになる。
 以上が筆者の「本音」と「建て前」についての考えである。本音と建前を見分けることは大変重要なことだが、近年我々は必要以上に人を疑う傾向あるのではないだろうか。
 著者が述べるように、私的生活と切り離された公的な発言は、一般的に信用されない。下衆の勘ぐりという言葉があるが、人は多くのケースで自分の欲求に結びつけて人の心理を推し量ろうとする。そのため、金銭欲や名誉欲が強い人ほど他者を疑いがちである。このような心理は、「自分の心の汚い部分をさらけ出す人物」を簡単に信用することにつながりやすい。近年毒舌や本音トークで話すTVタレントが売れているのは前述した内容と無関係とは言い難い。そもそも、本来人間は汚い心も持っていれば、きれいな心も持っているものである。確かに、自分の汚い心を、正直に建前を使わず話す人物は、信用に足る本心を話している人物であることもある。しかし、すべてのケースがそうではない。このような誤判断を心理学では代表性ヒューリスティックなどと呼ぶ。同様に、「政治家は皆嘘つきである。」「セールスマンは常に嘘をついている。」「自分の汚い心を毒舌で述べるタレントは全員正直者である。」という考え方も、代表的な性質を一般化して考察する誤判断である。

 以上の理由から、私は本音と建前を勘ぐりすぎることが、かえって誤判断につながっていると考える。

 

 

 

 

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