慶應大学 法学部 1997年小論文過去問題の解説

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1997年度慶應大学法学部 小論文過去問題解説

 

こんにちは。
牛山です。

 

本日は、1997年度 慶應大学法学部小論文問題解説です。

 

【1】問題概要

 

(1) 設問の要求

次の文章を読んで、生物進化論が社会科学に与えた影響についてまとめ、あなたの考えるところを述べなさい。

 

こんな問題が出ていますね。

 

課題文の要約内容をご紹介します。

 

(2) 課題文の内容

 

 生物進化論は、社会進化論的考えに 影響を与えた。スペンサー(1820-190 3)が唱えた「社会進化論」では、 「適者生存」や「生存競争」などの用 語が用いられた。社会学者のマルサス (1776-1834)もその著作「人口論」 においてダーウィンの影響を受けたと されている。従来の、キリスト教を中 心とした人間観をダーウィニズムは打 ち壊した。「人類」は特別な存在では なく、他の生物と同じ起源から変化し てきたものであるとすれば、人間の特 異性も単なる相対的・比較的なもので しかないという考えを受け取った西欧 の社会は、ダーウィニズムを人間、あ るいは、人類の問題として議論をする という強い傾向を持つに至った。そし て、「最適者生存」の「最適者」とい う概念を倫理や社会思想の面に応用し ようとする態度が「種の起源」以後急 速に広がった。人種の優劣を生物学的 に証明しようとした「19世紀の基 礎」というチェンバレンの著作や、ゴ ルトンの「優生学」はその事例であ る。人間が人間の素質の善悪を判断し 操作するという思想は、きわめて危険 であり、ナチズムの例が鮮やかに教示 した。最終的には、人間の手による人 間の人為淘汰という思想の合理化さえ 行われるようになったのである。

 

(3) 要約のポイント

 

設問で求められている通りに要約しましょう。

 

今回設問で求められているのは、

 

----------ここから----------
次の文章を読んで、生物進化論が社会科学に与えた影響についてまとめ、
---------ここまで-----------

 

ということですね。

 

したがって、生物進化論がどのようなものであるかなどについては、まとめる必要はありません。

 

何が求められており、何が求められていないのかをきちんと見分け、課題文の量が多くとも、きちんと設問の要求通りに、要約文を作ることが大切です。

 

【2】考え方

 

----------ここから----------
次の文章を読んで、生物進化論が社会科学に与えた影響についてまとめ、あなたの考えるところを述べなさい。
---------ここまで-----------

 

あなたが考えるところをまとめなさい

 

という、大変ざっくりした要求になっています。

 

このように、「著者の主張を踏まえて」などの要求が無い場合は、著者の主張(もっとも言いたいこと)について、賛成か、反対かということを述べていかなくてもいいということです。

 

ある程度、自由に問題提起をすることができます。

 

逆に言えば、この文章を読み、自分の問題意識として、何が生まれたかを考えさせられているということです。

 

あなたは、どのような問題意識が生まれたでしょうか。

 

少しだけ、課題文の要約を読んでみましょう。

 

読んでみたでしょうか。

 

何も考えつかなかったという人のために、少しだけ考えるヒントを提供します。

 

【3】考えるヒント

 

課題文の内容は、一言でいうと、何が起こっているのでしょうか。

 

それは、社会的に大きく考え方が変わっているということです。

 

このように、それまで支配的であった価値観が大きく変わり、社会の側で物事を認識する仕組みが変わることを「パラダイムシフト」などと言います。

 

今回の問題では、このパラダイムシフトという考え方で、現代社会やかつての歴史を見るというのも、一つの方向性としてありです。

 

また、筆者が持っている問題意識である、「危険性」に目を向けるのもいいでしょう。

 

人間が、人間の素質の善悪について、判断を加えていく操作する危険性とは言い換えれば、人の「倫理意識」についての問題でもあります。

 

したがって、「倫理意識」がどうなることが危険だと著者は説いているのかについて注目し、今の日本の社会問題と結びつけるというのも、一つの方向性です。

 

倫理とは、物事の善悪を規定する学問です。何が善であり、何が悪なのかについての判断は物事の是非に直接かかわってきます。

 

例えば、同性の結婚を法的に認めるかどうかについては、何が善良な社会生活なのかについての判断がつきまといます。

 

したがって法学や政治学と、倫理は切っても切り離せない特有の事情があると言えるでしょう。

 

このあたりについては、マイケル・サンデル教授の「これからの正義の話をしよう」に詳しいので、法学部受験生はぜひ読んでおきましょう。

 

それでは、10秒でも、3分でもいいので、少しだけ考えてみましょう。

 

考えてみたでしょうか。

 

それでは、解答例をご紹介します。

 

【4】解答例

 

 生物進化論は、社会進化論的考えに 影響を与えた。スペンサー(1820-190 3)が唱えた「社会進化論」では、 「適者生存」や「生存競争」などの用 語が用いられた。社会学者のマルサス (1776-1834)もその著作「人口論」 においてダーウィンの影響を受けたと されている。従来の、キリスト教を中 心とした人間観をダーウィニズムは打 ち壊した。「人類」は特別な存在では なく、他の生物と同じ起源から変化し てきたものであるとすれば、人間の特 異性も単なる相対的・比較的なもので しかないという考えを受け取った西欧 の社会は、ダーウィニズムを人間、あ るいは、人類の問題として議論をする という強い傾向を持つに至った。そし て、「最適者生存」の「最適者」とい う概念を倫理や社会思想の面に応用し ようとする態度が「種の起源」以後急 速に広がった。人種の優劣を生物学的 に証明しようとした「19世紀の基 礎」というチェンバレンの著作や、ゴ ルトンの「優生学」はその事例であ る。人間が人間の素質の善悪を判断し 操作するという思想は、きわめて危険 であり、ナチズムの例が鮮やかに教示 した。最終的には、人間の手による人 間の人為淘汰という思想の合理化さえ 行われるようになったのである。
 以上が、生物進化論が社会に与えた 影響である。前述した進化論の事例 は、パラダイムシフトの事例の一つと 言える。かつての日本においては、福 沢諭吉の「西洋事情」「学問のすす め」は日本社会に大きなパラダイムシ フトを起こした。また、近年では、マ イケルサンデルの「ジャスティス」ト マ・ピケティーの「21世紀の資本」も 同様に、政治哲学、税制政策、国家運 営の在り方に多大な影響を与えた。今 後の日本社会で求められるパラダイム シフトとは、どのようなものだろう か。私は民主主義と統治体制について のパラダイムシフトが必要であると考 える。
 先般、安保法制についての国会審議 における、集団的自衛権の行使に関す る検討過程に大きな問題があったとさ れている。国民の権利を保護する憲法 は、民主主義の根本である。しかしこ の憲法について、クルクルと恣意的な 解釈が可能となれば、民主主義は根本 から揺らぐことになる。安保法制は日 本国における法治主義を脅かす歴史的 事件であった。残念なことだが、憲法 や現政権について論評や議論を個別的 に行っても実質的な変化は起こらない と思われる。個別の論争が大きく政治 を変えた事例は、過去の歴史上例を挙 げることが困難である。かつて福沢諭 吉が非個別案件的議論で日本にパラダ イムシフトを起こしたように、民主主 義と統治体制について、今我が国で は、パラダイムシフトが求められてい ると言えるだろう。

 

 

 

 

 

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