慶應大学文学部 小論文2014年 過去問題の解説

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このページでは、メルマガで流した慶應大学の文系学部の小論文問題の解説を掲載しています。 慶應クラスでは、構造ノートや構造議論チャートを使ってもっと詳しく細かく各学部の過去問解説を動画で行っています。

2014年度 慶應大学文学部 小論文過去問題の解説

 

こんにちは。牛山です。
今日は慶應大学の文学部、2014年度の過去問題の解説です。
ご興味がない方はここでメールを閉じてください。

 

【1】文学部らしい問題

 

今年の問題は極めて文学部らしい問題でした。読解力や形而上についての考察が必要な問題です。

 

必要な読解力や形而上的な難しさという点では、他の学部がこれ以上難しい問題を出題することはないでしょうね。

 

このように、難しさの種類がいろいろとありますので、難易度については、どこが一番難しいかは一概には言えません。

 

【2】全体の構成

 

今回の問題の文章構成は以下のようになっています。

 

※まだ解いていない人は、ごめんなさい。まったくわからないですね。

 

先日試験を受けた人は問題用紙を見てください。

 

1)カミュの異邦人
2)哲学者鷲田氏の異邦人論「臨床哲学試論」
3)シュレールの言葉
4)著者の解釈-A(2種類の異邦人についての考え方)
5)白井氏-(カミュの異邦人について)
6)著者の解釈-B(シュレールの言説に対する解釈)
7)著者の問題意識-C(異邦人意識と難病患者の関係性)⇒問いの設定
8)著者の最終結論-D

 

以上のように、著者の考察は、上記の1)~7)までを経て、最終結論Dに至っています。

 

この流れをしっかりと追うことが大切です。論理関係が分かるかどうかがポイントですよ。

 

さて、設問Ⅰを見てみましょう。

 

今回は異邦人について、まとめることを求められています。

 

こんな時には、何についてまとめることを求められているのかをしっかりと把握することが大切です。ちょっと細かく見てみましょう。

 

【3】異邦人の説明

 

今回の問題について、異邦人の説明については、大きく分けて以下の点があります。

 

〔1〕カミュの描く異邦人の性質
〔2〕鷲田氏の説く異邦人の性質
〔3〕シュレールの歓待についての見解
〔4〕筆者の解する異邦人の性質
〔5〕1~4までの異邦人の性質を踏まえて問題提起をした結果生まれた解釈としての異邦人の性質

 

上記の4つの性質が、異邦人の性質ですので、この5点がコンパクトに答案にまとめられていることが部分点を確保するために重要になります。

 

また、この文章のテーマは『言葉が立ち上がる時』ですので、このテーマに合致した中心命題としての、筆者の最終的な結論が導かれているところに、注目することが大切です。

 

要するに、〔1〕~〔4〕までは前フリで、何のための説明だったかと言うと、〔5〕を言うための説明だったということです。

 

今年は小論文の平均点がちょっと下がるかもしれませんね。過去3~5年間の中では、難しい問題が出題されていると思います。

 

それでは、解答例を見てみましょう。

 

【4】解答例 設問Ⅰ

 

 従来の異邦人という言葉について、立ち位置の安定しない異邦からの人間という意味で私は捉えていた。しかし、カミュの異邦人は、人間の内面に潜む問題である。一切の妥協もごまかしもない生き方をすれば、人は異邦人として扱われる。白井はこれを積極性を内に秘めたものと解した。一方シュレールの述べる異邦人論は人がある他者の前に身を置くことにより、その歓待される関係の中で自分を変えられるような経験を通して獲得される力に注目している。同氏は若い時期に故郷を離れ異邦の地の客になることで、偉大な作品が生み出されていると説く。両者は対立せず、同種の樹木というべき関係にある。難病患者には異邦人意識が見られるが、人は病者となり命の限界を悟った時、病者という異邦人になり、精神性の高い優れた作品を残すことがある。

 

【5】注意点

 

文章を一度読んでからまとめようとすると、分かったような分からないような感覚になりがちです。

 

今回の問題は単純な抜出だけでは通じません。一度読んだあとに、今回のような問題では、下書き用紙にまとめることも大切です。

 

文字数を制限内にまとめることが難しかったかもしれませんが、およその指定文字数をイメージしながら書いていくことで対処可能です。

 

異邦人についての説明箇所は全体に順序が整理されない形で散らばっているため、一度読んだあとに、下書き用紙に構成をまとめるといいでしょう。

 

※解答例については、塾の中でなるべく共有する形にしていますが、今回はメルマガで流しました。

 

続いて、設問Ⅱを見てみましょう。

 

この問題の要求は「述べなさい」となっていますね。「述べる」と「論じる」の違いについては、拙著「小論文の教科書」の読者特典「述べると論じるの違い」動画で解説しました。見た人はいるでしょうか?まだ見ていないという場合はぜひ見てみてください。無料動画です。

 

今回は、「述べる」ことを求められているわけですが、その理由は、形而上のことを論じることはかなり困難を伴うからと考えてもOKです。あくまでもここでは受験生の視点の良さを見ることが目的です。このように出題意図を把握しながら問題を解いていくことが大切です。

 

今回の設問Ⅱの解答には、いろいろな解答の方向性があります。試験を受けた人は手応えがあったでしょうか。念のために解答例を掲載しておきます。

 

【6】設問Ⅱ 解答例

 

 著者は本稿で、難病患者が異邦人となった際に、その不条理を通じて命の叫びとしての言葉が立ち上がると説く。はたして、このような異邦人とはどのような存在なのだろうか。  私は異邦人について、死を超えた存在であると考える。具体的には、創作活動において、その思考様式が、生を前提としたものか、そうではないかの違いである。例えばゲルニカを描いたピカソ、羅生門を描いた芥川龍之介である。ベートーベンの作品「運命」もその一つだ。ベートーベンの運命は、彼の聴覚が奪われてから生まれた作品である。聴覚がほぼ完全に奪われても、あの大音響の中でベートーベンは音楽を感じることができたという。作曲家にとって聴覚が奪われることは、命を絶たれることに等しい。しかしその作曲家としての死を超えた先で「運命」は生まれた。芥川龍之介、ピカソ、ベートーベン等の作品は、いずれも生を前提とした思考様式を超えた次元の作品である。

 

 

 

試験、お疲れ様でした。今年の試験は、鉄道事故で大変でしたね。まだ他の学部を受験する人は、がんばって!

 

 

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