慶應大学文学部 小論文1995年 過去問題の解説

慶應大学絶対合格情報
ここでしか手に入らない慶應合格・不合格情報、暗記法、思考法小論文対策を無料提供!
~メールマガジンについて~
メールマガジンでは、慶應大学に特化した情報をお届けします。小論文の点数を上げる秘訣や、記憶量を増やすコツなどの情報です。メールマガジンではサービス・役務のご案内もあります。その為に無料提供となっています。プライバシーポリシーはこちら・メルマガ解除はこちら

このページでは、メルマガで流した慶應大学の文系学部の小論文問題の解説を掲載しています。 慶應クラスでは、構造ノートや構造議論チャートを使ってもっと詳しく細かく各学部の過去問解説を動画で行っています。

1995年度 慶應大学文学部 小論文過去問題の解説

 

こんにちは。 牛山です。

 

本日は、1995年度慶應大学文学部小論文問題解説です。

 

【1】問題概要

 

(1) 設問の要求

 

バッハの『諸調によるカノン』、エッシャーの絵、およびエピメデスのパラドクスの対応関係を具体的に示しながら、三者に共通する「不思議の輪」とは何かを説明しなさい。

 

今回の問題については、課題文の要約をご紹介してもいいのですが、要約が実質的に解答であるため、解答例をご紹介します。

 

課題文は「不思議の輪」について説明を試みたものです。

 

「不思議の輪」とは何でしょうか。

 

筆者は3つの事例でこの「不思議の輪」を説明することを試みます。

 

それでは、課題文を限界まで要約した内容をご紹介します。

 

今回の問題では、エッシャーの絵が資料として出題されているので、雰囲気を感じるためにこちらのサイトを見ておくのもいいでしょう。

 

Wikipedia

右下にある滝や階段の絵がエッシャーが描いた作品に近いものです。

 

 

(2) 要約&説明

 

 不思議の輪の概念に内在するのは、 無限の概念である。不思議の輪は、無 限の工程を有限の手段で表現する手段 である。例えば、バッハのカノンは、 「蛙の歌」のような輪唱に現れる。こ の輪唱は、永遠に輪唱がつながるよう な印象を受け手に与える。エッシャー の作品である「上昇と下降」も同様 に、永遠に一つの建物の中を上昇、下 降することができる錯覚を人に与え る。同様にエピメニデスのパラドクス と呼ばれる言葉では、「次の文は間違 っている」「前の文は正しい」という ような、永遠に相互に言及し続けるよ うな関係が表現されている。不思議の 輪とは、このように自己言及や基本的 繰り返し、錯覚を通して無限を感じさ せるものである。

 

(3) 考え方

 

今回の問題は、「説明しなさい」とあるため、説明問題なのですが、実質的には、要約問題です。

 

このような問題を解く時のコツは、いきなり課題文を読んだ後に、自分の言葉で説明を試みるのではなく、まず総論がないかを探すことです。

 

要は、一言で言うと、「不思議の輪」とは何のことなのかについて言及しているポイントがあるかもしれません。

 

もちろん、無いかもしれません。

 

しかし、あればその課題文の中で表現されていることですから、言葉の定義がしっかりしているはずです。

 

現代文とこういう部分は小論文試験でも似ているところなのですが、勝手に予測して自分の考えをズルズル書いていくと、説明問題では点数を落とします。

 

大切なことは、

 

「あなたがどう考えているか」

 

ではなく、

 

「課題文の筆者はどう考えているか」
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

 

です。

 

自分の考えを説明するのではなく、筆者の考えを説明する必要があります。

 

そこで、課題文を注意深く見ていくと次の二つの文があることに気づきます。

 

不思議の輪の概念に内在するのは、無限の概念である。

 

不思議の輪は、無限の工程を有限の手段で表現する手段である。

 

要はここが、中核的な部分です。

 

この中核的な説明は総論にあたりますので、何かを説明するのであれば、あとは各論的に補足説明をしていけばいいということになります。

 

説明は、いくつかやり方がありますがいくつかの説明方法の中でも優れていると言われているのは、

 

総論⇒各論

 

という流れで、説明を試みるものであると言われています。

 

まずは大きなことから説明し、そのあとに具体的なことを説明していきます。

 

 

【2】問題2

 

(1) 設問の要求

 

問題文に挙げられている「不思議の輪」の例は、どれも人によって作られたいわゆる人工物(芸術作品や言語表現)である。あなたはこの人工物であることが「不思議の輪」の本質的な特徴であると思うか。もしそう思うならば、その理由を述べなさい。また、もしそう思わずに、自然界等の非人工物のなかにも「不思議の輪」があると考えるならば、具体的な例を挙げて説明しなさい。

 

(2) 考え方

 

面白い問題です。

 

素直に考えてみましょう。

 

こういう問題は、特に解き方などにこだわらずに、自分の頭で考えることが大切です。

 

受験テクニックが氾濫するのもいいですが、私は基本的な思考体力を重視します。

 

どうやればいいのかを気にしすぎる人は、「思考体力」が欠如していることが珍しくありません。

 

思考体力とは、じっくり考える力のことです。頭を悩ませることを指します。

 

これを長時間続けることができる人は思考体力があるということになります。

 

ただし、漫然と考えても、発想は浮かんでこないのですね。

 

ここで、何か手っ取り早い発想法を・・・・

 

と考えていると、実はあまりきちんと考えることができないことが珍しくありません。

 

本質的には、方法に頼る思考が定着してしまっているからです。

 

要は、自分の頭で考えるのとは、実を言うと、真逆の思考回路が頭の中に形成されているのですね。

 

時間や空間をグルグルと回して、物事を考察することが人はできるのですがこれをやらなくなってしまいます。

 

方法は・・・

 

と考えた時点で脳の中にある情報量がガクッと落ちます。

 

いくつもあるコンセントを、1000本くらいブチブチッと引きぬいた感じでしょうか。残った容量で考えていかなければならなくなります。

 

センスを働かせるというのは、時間や空間や原理や力や流れを頭のなかにイメージすることです。

 

無限という言葉から、あなたは何を連想するでしょうか。

 

目を閉じて、無限という言葉からあなたが連想するイメージを頭の中に描いてみましょう。

 

このように、言葉は触媒として使います。

 

また、どの本を読めば受かりますか?というご質問も時々ありますが、どの本を読んでも受かりません。

 

本も同じく触媒なのです。

 

法学部や、経済学部を受験する時には、知識が役立つこともあるでしょう。

 

しかし、それは自分で頭をつかうために知識を使う場合です。

 

知識を書く試験ではありません。

 

小論文は知識量を試す試験としては最低の試験です。

 

しかし、感性や論理の力を見るには最高の試験です。

 

小論文試験で見られているのは、あなたの立論能力と感性です。

 

思考の土台に位置しており、脳科学的に言えば、右脳(感性)と左脳(論理)と言えるでしょう。

 

ゼロベース思考の方法や、発想法というのは、教えた瞬間に陳腐化しています。

 

大切なことは

 

インスピレーションを得ることです。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

 

感じるという感性を働かせるとは、インスピレーションを得ることです。

 

しかし、大学やビジネススクールでは真面目くさって、インスピレーションを得ることが大切などとは、まず教えられません。特に必修科目では・・・・・

 

どんどん科学的な色が落ちていくからですね。

 

元々インスピレーションや右脳的な活動になればなるほど、科学で数値化しにくい要素が増えていきます。

 

しかし、間違ってはならないのは、科学的に計測できないことはすなわち間違いではないということです。

 

現代の科学が追いついていないだけで、100年後や500年後の世界では明らかになっていることかもしれません。

 

どの本を読めばいいですか?

 

と問う時点で、もう感じ取ることができなくなりつつあります。

 

答えが書いている本はないのです。

 

答えを探そうとするのではなく、あなたなりの答えを探す必要があります。

 

あなたなりの答えとは、自分の中にあります。

 

自分が考察し、生み出したあなたなりの答えに論理的な意味付けを行い、書くのが小論文の答案です。

 

速読がなぜ有効なのかについて、色々なことが言われることがありますね。

 

本を読んでも答えが書かれていないのであれば、意味が無いという意見もあるかもしれません。

 

それは、本に答えを求めているからです。発想が凡庸になる最大の理由の一つは頭のなかに知見が無いことです。

 

答えを教えてもらおうと思っている人は歴史や古文のように小論文を考えているのかもしれません。

 

速読とは、触媒となる本の内容を頭にインストールしていく作業です。

 

本が必要か不要か、速読が必要か不要かという問いは、インスピレーションが必要か不要かということです。

 

インスピレーションが必要であると考える立場は、自分の頭で考えることが重要であるという立場です。

 

インスピレーションが必要ないと考える立場は、自分の頭で考える事を否定する立場です。

 

インスピレーションは洞察の土台にもなっています。

 

したがって、感性を軽んじる人は必然的に洞察力も低下していきます。

 

ただ、感性を働かせる、考察すると言っても、一朝一夕にはいきません。

 

このあたりの思考法をテクニック化した内容をご紹介しているのは、「小論文技術習得講義」です。

 

講座や授業で、少しずつ考え方については、解説をしていますが、全部を伝えきるには、少し時間がかかりそうです。

 

考えるということは、本質的に方法ではないということに気づく人がまず大変少ないです。

 

私は大学院で、IQ200を超える大前研一氏に教えてもらいましたが、彼が重視していたのは、まずメンタルブロックを外すことでした。

 

考えるという行為の先に精神性が存在するということについては変に感じる人がいるかもしれませんがよくあることです。

 

彼は大阪と東京でビジネストレーニングを実施すると、関西のビジネスマンの方が考えることが得意だと言います。関西人はメンタルブロックが少ないのです。笑いの文化がある大阪などは考えることについての許容度が高い文化があります。

 

そこでどうしても柔軟に考えやすいそうです。

 

このように、、、、

 

考え方の前に多くの人はメンタルブロ
ックがあります。

 

そして、考え方(かた)という「方法」の前に、頭の働かせ方や意識の働かせ方があります。

 

メンタルや思考の操作方法があって、その最後の段階に考え方があります。

 

意識をどう操作することで何が生まれるのかということが大切なのであって最終段階の方法だけに注目しても仕方がありません。

 

まずは素直に考えてみましょう。

 

-------------ここから-------------
問題文に挙げられている「不思議の輪」の例は、どれも人によって作られたいわゆる人工物(芸術作品や言語表現)である。あなたはこの人工物であることが「不思議の輪」の本質的な特徴であると思うか。もしそう思うならば、その理由を述べなさい。また、もしそう思わずに、自然界等の非人工物のなかにも「不思議の輪」があると考えるならば、具体的な例を挙げて説明しなさい。
-------------ここまで-------------

 

今回の問題では、

 

インスピレーション

 

に注目して、無限という言葉から何かを連想してみましょう。

 

無限に連鎖するということから、食物連鎖を想像した人もいるかもしれません。

 

あなたは無限という言葉から、どのようなインスピレーションを得ますか。

 

そのインスピレーションを得るために目を閉じて、無限という言葉から連想する物事を考えてみましょう。

 

もし何かが浮かべば、その内容について立論を行い、論理的に説明することを試みましょう。

 

 

それでは、解答例をご紹介します。

 

(3) 解答例

 

 不思議の輪の本質的特徴は人工物で あることだろうか。私は人工物である ことが、本質的特徴ではないという立 場を取る。
 不思議の輪は、人工物以外にも見ら れる。その典型は宇宙である。量子論 の世界では、宇宙の端と端はつながっ ていると言われている。また、宇宙は 膨張し続けていると言われている。さ らにブラックホールなどの時間と空間 が歪む世界では、3次元を超えた世界 が現れるとも言われている。これら宇 宙の諸性質に共通するのは無限という 概念である。3次元空間は有限の世界 だが、4次元、5次元の空間は空間に 歪みが起こる。従って4次元以上の世 界では空間上無限が再現されるという ことなるだろう。
 時間軸から考えた場合、時間は無限 に流れる。仮に我々が住む惑星が消滅 しても時間は永遠に流れ続ける。
 以上、空間の無限性と、時間の無限 性から、不思議の輪の本質的特徴は人 工物によるものではないと私は考え る。

 

 

 

無料メルマガでも、慶應大学の小論文を詳しく解説しています

 



~なぜメルマガに登録するのがお勧めなのか?~
1.慶應受験と学習のスキルアップに詳しい人に教えてもらうので、成長しやすい。
2.点数が短期間で大きく引きあがった指導をうけることができるので、あなたも点数が上がる事が予想される。
3.慶應受験について多面的に詳しくなるので、合格しやすくなる。
4.お金が一円もかからない。(無料で教えてもらえる。)

 

《合格実績》大学受験だけではなく、大学院受験の合格実績も豊富です。

慶應大学合格/慶應大学大学院合格/北海道大学大学院合格
東京工業大学大学院合格/上智大学合格/早稲田大学合格/京都大学合格など


~メールマガジンについて~
メールマガジンでは、慶應大学に特化した情報をお届けします。小論文の点数を上げる秘訣や、記憶量を増やすコツなどの情報ですが、メルマガにはサービス・役務のご案内もあります。その為無料で提供しています。

プライバシーポリシーメルマガ解除

 

慶應大学絶対合格情報
ここでしか手に入らない慶應合格・不合格情報、暗記法、思考法小論文対策を無料提供!

メディア掲載: プレジデントFamilyClub様

 

『慶應大学に我が子を確実に合格させる教育法』

第1回 ⇒「従来の教育法では慶應に益々合格しにくくなる」

第2回 ⇒「慶應大学合格に必要な要素と中核」

第3回 ⇒「慶應大学合格に有効な受験対策(前編)」

第4回 ⇒「慶應大学合格に有効な受験対策(後編)」~「受け身の学習」から「攻めの学習」に変化させる~

第5回 ⇒「慶應小論文対策で失敗しないための根本的対策」

第6回 ⇒「信頼関係と素直な心で慶應受験に強くなる」

 

 

慶應クラスの資料請求・お問い合わせ

 



PAGE TOP
© 2007 - DIJI SYSTEM