慶應大学文学部 小論文1991年 過去問題の解説

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1991年度 慶應大学文学部 小論文過去問題の解説

 

こんにちは。 牛山です。

 

本日は、1991年度慶應大学文学部小論文問題解説です。

 

【1】問題概要

 

(1) 設問の要求

 

人間を理解するための対象的な二つの立場について、著者の考えを400字以内でまとめなさい。

 

さて、今回の内容は実質的に純粋な要約ですので、課題文の要約として、解答例を見てみましょう。

 

(2) 解答例

 

 心と脳については、対照的な二つの 考え方がある。一方では、心は身体の 中に存在する何ものかであるという考 えである。心は、魂、霊魂などの存在 として、体に出入りするものであると いう考え方が、社会的、宗教的、風習 的に受け入れられてきた。以上は心を 体より上位に立てる考え方である。他 方、身体とは別に心などといったもの がどこにも存在するわけではないとい う考えもある。合理的、科学的な構え で物事を見ていく立場がこれである。 しかし、心の領域とは、意味の領域の ことであり脳だけを取りあげて考察す ることは妥当とは言えない。第一の重 要な点は、心とは脳だけが関わってい るものではなく、身体全体が関わって いるものであるという点だ。第二の重 要な点は、心について何より大切なの は、意味的な内容であり、機能の問題 ではないということだ。脳に関する科 学的知識を人間の生き方全体の中に位 置づけ、心の問題は別問題として捉え ることが重要だ。

 

【2】問題2

 

(1) 設問の要求

 

人間の理解のために最も大切なことは何か。著者の意見をふまえ、あなたの考えを300字以内で述べなさい。

 

(2) 考え方

 

この問題は面白い問題でした。

 

この問題2では、心の理解のために、、、、

ではなく、

 

人間の理解のために、、、

 

という設問要求になっていますね。

 

皆さんは、要約文を読み、どのように思ったでしょうか。

 

課題文は、どちらかと言うと、脳を科学的に分解していき、人の意識は脳の働きについて以下のような「随伴現象説」を否定するものです。

 

「随伴現象説」
-------------ここから-------------
思想の脳髄に対する関係は、胆汁が肝臓から分泌され、尿が腎臓から分泌されるのと同じようなものだ。
-------------ここまで-------------

 

物事を感じる取ることが、神経細胞の随伴現象である、、、

 

というと、人間の心は、脳細胞の働きのみによって説明可能であるという考えに至ります。

 

本当にそうなのか?

 

もしそうならば、機械が発達すると人の脳と同じものを作ることができ、心の働きは機械で再現できるのでしょうか。

 

このような考え方の基本にあるのは、物と心、物質と精神という二元論です。

 

皆さんはどのように考えるでしょうか。

 

人間の理解のために、何が大切だとあなたは考えますか?

 

 

(3) ヒント

 

もしかするとヒントを提供できるかもしれませんので、お話します。

 

物と心を分けて考える、脳科学的な考えは特に今日の現代社会においては、支配的な考え方です。

 

もっと言えば、科学万能論と言えるかもしれません。

 

科学は万能であり、科学が前提とするものに、一切の狂いは無いという考えがあると言ってもいいかもしれません。

 

我々は、科学について、正しいことという認識を持っていることが普通かもしれませんね、あなたはどうでしょうか。

 

物事を定量化し、符号化することで、論理的に物事の妥当性を数学まで用いて推し量り、明らかにしていく、

 

この態度は、人間社会に大きな進歩をもたらしました。

 

したがって、盲目的に科学的な考えを受け入れ、正しい物、より素晴らしいものごとと考え、疑わず信じている人も近年では多くなっていないでしょうか。

 

しかし、科学は万能というわけでもないことがあります。

 

例えば、科学技術は人の身体を細分化し、機関や細胞に名称をつけ、何が起こっているのかを特定することに成功しました。その結果、薬を開発し、投薬することで、一定の成果を出すことにも成功しています。

 

しかし一方で、対象を細分化し、観察するやり方には限界もあります。

 

有効だと考えられていた薬に大きな薬害があり、多くの被害者が出ることも珍しくはありません。

 

対象を細分化し、部分的に最適化を図ることで全てが解決したと考えていると、全体として見た時に人間の身体に不具合が生じているのは、部分最適による弊害と言えます。

 

科学で分かっていることは、この事例のように、「分かったつもり」になっている可能性がある、、、、

 

ということは肝にめいじておく必要があります。

 

本来科学とは、課題文にもあるように「分科の学」という意味だそうです。

 

したがって、「特定の部分にかかわる科目としてのみなりたつ学問」だと考える方がいいのだとか。

 

東洋医学は、科学的とは言えない部分があるかもしれませんが、時に西洋医学の医師が誰も治せなかった難病を簡単に治してしまうこともあります。

 

科学的な考察の先には見えなかったものが、非科学的な医療の現場で見えるのはなぜでしょうか。

 

それは、学問に対する思想にあります。

 

西洋医学は対象を分解し、分析、考察検証などを行います。

 

東洋医学は、対象を総合的に見て、自然の中に位置づけることで、分析を試みます。

 

少し別の角度からここまでお話したことを考えてみましょう。

 

科学の限界は大きく二つあるかもしれません。

 

一つは人間が認識可能な範囲を超えることはできないということです。

 

この世の中を構成する最小単位が素粒子だとして、素粒子とは何かという問いに現代の科学は答えることができません。

 

あるいは、仮に説明ができても、本質的には何かを理解することはできません。

 

現象や対象に名前をつけることと、物事を理解することは別のことです。

 

二つ目は符号化できない世界を認識する術がないということです。

 

言語や数字で対象を符号化できないものについては、分析のしようがありません。

 

私達が神仏であるかのように、世界を認識することはできません。

 

例えば、鳥の色覚は人間よりも優れており、世界が色鮮やかに見えると言いますが、人間に鳥を超える色覚はありません。

 

色だけではありません。音、匂い、感じ方、この世の中で符号化できないものすべてについて、私たちは認識する術を持ちません。

 

いや、万物のあらゆる事象を全能的に認知することができるはず、、、、

 

と考えている人もいるかもしれませんが、もともと人間は自分が認識できる範囲で物事を考えるため、この程度の考察ですら、個人差があります。

 

物の感じ方や考え方ですら、人によって、できる人とできない人がいます。

 

符号化できない世界とは、知覚できない世界や形而上の世界のことです。

 

それでは、いつものように、少しだけ考えてみましょう。

 

10秒でも、3分でもいいので、考えてみましょう。

 

(4) 解答例

 

 私は、人間理解のために最も大切な ことは、要素還元主義的に考察しない ことだと考える。心があるのか、無い のかという考察は、二つの問題を考察 課程に含んでいる。一点目は、要素還 元主義的に物事を考察する愚である。 物と意識という具合に対象を分解した からと言って、科学的に考察はできた としても、本質に迫ることができてい るかどうかは、保証がない。第二の問 題は、言葉でしか考えることができて いないということである。人は対象を 言葉で捉えることができるが、言葉で 考え始めると、言葉で規定できない領 域に思考が突入した際に、問題が生じ る。宇宙の始まりや素粒子以下の世界 の構成単位、時間と空間の概念も同様 である。

 

 

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