良い文章について、著者の主張に賛成か反対かを論じる問題が出ています。
著者が述べる良い文章とは、どのような文章なのかについて、読み取りを正確に行い、その上で、自説を展開しましょう。
比較的昔の問題ということもあり、いきなりですが、解答例を紹介します。
このページでは、メルマガで流した慶應大学の文系学部の小論文問題の解説を掲載しています。 慶應クラスでは、構造ノートや構造議論チャートを使ってもっと詳しく細かく各学部の過去問解説を動画で行っています。
こんにちは。 牛山です。
本日は、1988年度慶應大学文学部小論文問題解説です。
良い文章について、著者の主張に賛成か反対かを論じる問題が出ています。
著者が述べる良い文章とは、どのような文章なのかについて、読み取りを正確に行い、その上で、自説を展開しましょう。
比較的昔の問題ということもあり、いきなりですが、解答例を紹介します。
著者は、文章の手法依存的な考えを批判し、自分自身の文体を持つことの重要性を説いている。果たしてこの考えは良い文章へとつながるのだろうか。私は著者の意見に賛成の立場を取る。
なぜならば、文章の手法では、読者の心に響く文章を書くことについて限界があるからである。文章の評価は読者が決めている。無論、読者の質は重要な問題であるが、この原理については、時代と場所を問わず例外はない。従ってよい文章かどうかについて、読者の心が動く文章がよい文章であると定義することが可能である。文体は読者の心を動かす力が強い。その理由の一つは、文体は筆者の知性を反映する機能を有している点にある。換言すれば、良い知性が良い文体を生んでおり、すなわち良い知性は良い文章ということになる。知性は高いか低いかということだけが問題ではなく、知性は、楽しいか、感情移入できるか、文章に機能性はあるか、文章の性格に文章が合致しているか、洞察力があるか、趣旨や目的に文章が合致しているか、正鵠的であるか、人の心を打つか、新規性や進歩性があるか、文章に一貫性があるか、論理に漏れや飛躍はないか、常識を疑うクリティカルシンキングがあるか、革新性があるか、構想力やビジョンがあるか、明晰性は高いか、など、およそ文章に関わるあらゆる評価軸に関係性が高い。
したがって、私は文体が良い文章の条件であるという筆者の意見に賛成の立場を取る。
解答例の解説を行います。
例によって、のらりくらりと、論述している文章なのですが、いくつかポイントがあります。
まず、そもそも良い文章といっても、その範囲はあいまいなので、何が良い文章なのかということについて、定義を明確化させるというやり方があります。
論文では、概念を明確化して、論じる準備を作ることが一般的に重要だと考えられています。
そうでなければ、論文が機能的でなくなってしまうからなのですね。
次に大事なのが論理構成です。
文体→読者の心を動かす力が強い。(文体ならば読者の心を動かす力が強い。)
文体→知性を反映している。
知性(的である。)→良い文体
知性→良い内容(文章)
この内容は、ブロックのように連結できるので、(論理式は連結できるので)
つまり・・・・
良い知性→良い文体→良い内容
というロジックを補う構成になっており、良い知性ならばよい内容になるので、良い文章になるに決まっているよね・・・という常識に論理を連結しています。
その上で、知性が、良い内容との連関が強い要素であることを具体的に述べた上で、豊富な事例から帰納法的に考えれば、知性が良い文章のかなめになっていると、展開しているわけです。
今回の、内容はどうだったでしょうか。
この年の文学部の問題は、受験生がキモに銘じなければならない内容となっています。
それは、文章といっても、しょせん、形式的なものにすぎないのでしょう?
という形式主義的な考えを頭から消した方がいいということです。
なぜならば、わりと皮相的に物事をとらえてしまっているからですね。
物事を皮相的に捉える人は、学ぶ力が弱くなってしまいます。勉強しても意味が無いと思っている人は、どちらかと言えば、短絡的に物事を考える傾向が強いのですが、言い換えるとこれは文章をなめてしまっているとも表現できます。
そうすると、受かる書き方が知りたいとか、とりあえずできるようにしてほしいと考えるようになります。つまり、できないということが問題だととらえてしまうようになってしまうということです。
合格するには、できるようになることが大事なので、できるようになりたいと、なぜ考えるべきではないのでしょうか。
その理由は、みんなできていないからです。
慶應合格者ならできるようになっていると考えるのは、不適切な考え方です。
受験生全体の中でましなグループが合格している人たちです。
ということは、できていないということを前提に考えて、ちょっとだけでもましな状態になるために、何が必要なのかという発想が根本的に大切になってきます。
ましな状態がどういうものかについて、抽象的に、具体的に教えてもらうことが大切なのですね。
この意味で、できるようにならないとか、できるようになっていないということは、実はまったく問題ではないことが多いのです。
今年できるようにならない・・・と頭を抱えていた子が、慶應大学に合格しました。
それでも結局のところ、コツコツやっていると、慶應大学に合格できたということです。自分でできるようになっているかどうかを判断しないことが大切です。
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