牛山です。
今日は過去問題の解説です。
それでは早速本日の内容です。
【1】概要と解答例
(1) テーマ
今回の課題文のテーマは、人文科学に関する講義でした。
大変文学部らしい問題が出題されています。
「今の時代に存在しないものとの関わりを主務としているのは文学部ばかりです。」
との言葉が課題文では紹介されていますが、このメッセージは、端的に今回の課題文の内容を表した言葉です。
設問1では、校舎の価値について、地価や、耐用年数などの計算の対象とならない価値について課題文で語られている点について説明を求められています。
これも、「存在しないもの」と課題文で説かれているものです。
「存在しないもの」に関する話として市場原理主義者は、存在しないものを見ていないので、ダメだという話があり、その後建築物の話があります。
建築物には、建築家のメッセージが込められており、これも「存在しないもの」の例として書かれています。
その後話は教育論、人文科学へと移り、人文科学こそが、「存在しないもの」と密接な関わりを持ち、従って学問の基本に位置していなければならないと説かれています。
(2) 問題構成
問題構成は例年通り、以下のような形です。
設問1:説明問題
設問2:論述問題
設問3:英訳問題
設問4:英訳問題
英作文と小論文がセットになったような問題です。
(3) 設問1 解答例
設問1は説明問題ですね。
解答例を掲載しておきます。
校舎自体が学びの比喩になっているとは、校舎を建築した建築士のメッセージが、建築物の構造から見てとれるとの著者の独自の見解のことである。
ヴォーリズ建築には隠しトイレや見事な眺望を堪能できる建築設計上の仕掛けがあった。建築士がその設計に込めたメッセージとは、以下のようなものである。
「扉を開けなければ、その向こうに何があるか分からない」そして、好奇心の報酬として「それ以外のどこからも見ることのできない眺望が与えられる」というメッセージが込められているのだとの解釈を著者は示す。
特定の建築思想が校舎建築時に反映されていることを指して著者は「校舎自体が学びの比喩になっている」と解している。
【2】ご案内
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【2】編集後記
今回の課題文を読み、昔読んだトルストイの人生論の内容がフラッシュバックしました。
人間は科学で世界を明らかにしたと思っているけれども、その実態については、実は何も明らかにはできていないという見方です。
何が科学的なのかということについては学者間ですら大きな開きがありそうです。
ただし、科学的な考え方や態度については、今回の課題文の内容は大変大切ではないかと私も思います。
和文英訳問題の解答例
こんにちは。
牛山です。
今日は、過去3年間の慶應大学文学部推薦入試の英作文解答例と、英作文対策についてのお話です。
【1】英作文問題解答例
(2) 2012年
(a)
I tried to refute, but I could not explain to them in persuasive words what kind of value this building has. I still remember how frustrated I was then. (the chagrin , the bitter times)
「悔しさ」を表現する言葉に「chagrin」 という「名詞」「他動詞」がありますが、この言葉が出て来ない場合は 代わりに「frustrated」で「悔しい」という気持ちを表現する事が出来ます。
「反論する」refute(考え、仮説、発言、意見、申し立てなどに)、 retort(意見などに)
(2) 解答例の作成について
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今回は、aについてのみご紹介しましたが、塾では、記述問題及び、英作文のすべての解答例をご紹介しています。
マユ先生プロフィール
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米国在住の、プロフェッショナルです。