慶應義塾大学の小論文対策

小論文コンテスト 入賞小論文のご紹介


問題

未来の人が使う新しいバッグを考えなさい。

 今回ここにご紹介する、「みなさんから送られた小論文の答案」についてですが、原則として、どれだけ創造性があるか、どれだけ利用者の精神的ニーズを考慮したか、どれだけ構想に具体性があるか、どれだけバイアスが少なく、メンタルブロックが外れているか、どれだけ主体的に頭を働かせて考えたのか、独創性はあるか等を、今回は主な評価軸としています。


 このような評価軸を採用する理由は、一般的に上記のような評価軸から評価を加えた場合、問題解決能力が相対的に高く、ユニークで多様な人材を確保しやすいためです。工業製品のように画一化された考え方ではなく、少し変わった考え方も大切です。


 文章がうまいかどうか、論理的にどうか、妥当性が高いかどうかということは、今回の小論文コンテストではあまり重視していません。


 あくまでも今回の小論文コンテストの趣旨は、チャレンジに自主的に参加して、慶應SFCの小論文試験について理解を深めること、及び、思考プロセスについて理解を深めることで、慶應SFCへの合格力を引き上げることにあります。


 以上の点についてご理解いただき、参考にしてみてください。



1位
 最近の若い世代はほとんどみんなバッグを持っている。特に女性にとってバッグはもはや必需品ではないかと感じるくらいだ。しかし、そのような人向けのバッグはコンパクトで見た目も良く、ファッションとして使われている。使いやすさよりも見た目重視なのだ。そこで私が考える未来のバッグは、より利便性を追求したものである。このバッグには二つの特徴がある。
 一つ目は、セキュリティ対策を施した作りである。最近アイフォンで流行りになった、指紋認証を搭載するのだ。具体的には、自分の指を押し当てるだけでバッグが開く溝を縁につけるのだ。このようにすることで、例えバッグを落としたとしても、本人以外開けられないので盗まれる可能性が低くなる。
 もう一つの機能としては、ドローン化したバッグである。このバッグは持ち主のスマートフォンと連動する。スマートフォンのGPS信号を拾って、バッグの両脇から出たプロペラによって持ち主の少し後を頭上くらいの高さで動いてくるのだ。もちろんバッグが飛ぶ高さはスマートフォンで操作できるので、着地も安全である。さらに、このバッグの縦の脇にカメラを搭載する。そして持ち主のスマートフォンによって操作すれば、空撮することや置き忘れた時にバッグ側から持ち主に戻ってくることもできる。このように重い物を手で持たずに済んだり、バッグを忘れても大丈夫であるという利便性が上がるのだ。
 以上の二つの特徴を掛け合わせることで、私は実現できると考える。テクノロジーが進むにつれてセキュリティの問題が一番重要になってくる。このドローン化したバッグはセキュリティを万全にすることで、自由に空を飛ぶことができるであろう。

【牛山から一言】
 未来を創造的に考えている姿勢がいいですね。他の評価のポイントは具体的な技術課題をクリアするための手法について思考していることです。欲しい機能について、既存の技術の延長線上で何かできないかを模索しているという点が評価できます。空想ではなく、現実にリアルに考えようとしている姿勢は問題解決者の姿勢であり、マインドです。

 

⇒改善のポイント
 この路線でさらに知見を拡大していけば、発明につながる可能性もあります。特許取得が可能な発明につなげるように、勉強を進めていくとさらにおもしろくなるでしょう。特許取得の要件は以下のとおりです。


1)新規性があるか・・・新しいかどうか
2)進歩性があるか・・・思いつきにくいかどうか

 知的財産権は、国家的なプロジェクトであり、日本にも近年知的財産にかかわる最高裁判所が設立されました。大学が研究開発に携わることは、スタンダードであり、発明は研究と同列に扱うべきかを学者が真剣に議論しています。

 発明をすれば慶應SFCに受かるわけではありませんが、発明は、国際基準に照らして、人類の問題解決を行ったことが国家によって認められた証です。問題解決の視点から見て、価値があることだという認識が重要です。

 私達が毎日使っているGoogleは特許によって生まれた企業です。未来を創造する、イノベーションを起こすという際に、特許を考案することは、資本力や技術力で劣る国家や企業、人が問題を解決する有効な手段の一つであるということは覚えておきましょう。


2位


【牛山から一言】
 これは・・・牛山の解答例と方向性が似ていますね。評価のポイントは、ペット型と明言し、コンセプトを明確化している点です。今回いろいろな答案を送っていただいたのですが、やはりどうしてもアイディアと評価点は相関が出てきてしまいます。私はほぼ毎日小論文の添削を行っていますが、ここまで露骨にアイディアに関する小論文だけを連続で見て、点数をつけていくという作業をやったことはありませんでした。どうしても政策論や政治論、法律関係、経済問題など、多様な添削をするようになってしまいますからね。今回の点数付けですが、連続で添削をしていると(あっまたIotだ)という感じで、かなり皆Iotについて書いています。今回、第二位の人と牛山は、方向性では似ているわけですが、全体的に見ると少数派です。と・・・いいますか、私とこの人だけでした。
 念のために言えば、ポイントは、アイディアだけで点数は決まっていないということです。アイディア勝負なんだとは思わないことも大切です。慶應SFCも、「創造性」というキーワードで、アドミッションポリシーに明記していますが、この創造性とはなんぞやということについては、様々な解釈論がたくさん出てくるでしょう。その多くはポジショントークになると思われます。
 大事なことの一つは、「自由さ」です。アイディアと評価点に相関が出てくる理由は、創造性という観点から見た場合も、同じアイディアの人は、同じぐらいの創造性であると、(その答案に関しては)評価される傾向があるからでしょう。
 ここについては、横暴に解釈したい人もいるようですが、論文試験というのは、そもそも科挙に始まり、数千年の歴史があり、その趣旨の柱は独創性なのです。これは学術でも同じです。同じ研究をすることに大きな意義は一般的に認められていません。
 創造性とは、実用性や独創性、発想の自由さ、構想力などを含めたものであると考えられます。


⇒改善のポイント
 今回の答案は、ペットというコンセプトが面白いので、このコンセプトを突き詰めていくと更に良くなります。小論文には評価されやすい雛形や型は存在しますが、杓子定規にならず、読み手の関心事項を掘り下げていけば、より評価されやすくなるでしょう。
 あってもいいかなと思ったのは、今後日本では高齢化が加速するので、お年寄りが使うバッグです。意外と、この路線は皆無でしたね。今皆さんは若いかもしれませんが、みなさんが本格的に活躍する時代には、本当にお年寄りしかいない状態に近くなりますので、高齢者向けのバッグ市場は拡大しますよ。


3位

 私は未来の人が使うバックはスタイリッシュで軽いと考える。
 バックはファッションの一部でもあり、物を入れるために存在する。しかし、現在私達が使うバックは物を入れると重たくなる。学生が教科書を持ち歩く時や主婦が夕飯の買い出しに行く時などのように、バックが重たくなる状況は私達の日常生活の中でよく起こる事である。物を入れるとバックが重たくなるため、多くの人はあまり多くのものを持ち歩かないようにする。学生ならバックが重たくなるのを嫌がり、普段から教科書を持ち帰らない学生がいる。主婦も移動手段によってスーパーでの買い物の量を変える。歩く距離が長いのなら、多くのものを運ぶ人は少ない。
 私が考える未来の人のバックの軽さの原理は肩にかける部分が広い事と肩の紐がバックの下の方を全体的に支えている事である。バックは持ち方によって体が感じるバックの重たさが変わる。多くの物を買ってレジ袋に入れて帰る時は普通に取っ手を持つと手が痛くなる。しかし、下の方を抱え込むように持つと実際の重たさが同じでも持つ本人は軽く感じる。
 最後に私は今回未来のバックとしてカーディガンを肩にかけるデザインを提案したい。肩にかける部分が広いとファッションとしてあまり魅力的には感じないと思う人もいるだろう。しかし、私が提案するデザインは肩の部分が広い事を活かしたデザインである。図に書いてあるように、肩紐は肩の部分とバックを支える部分だけが広く、真ん中の方は目立たないように細くなっている。肩紐とは別にカーディガンの袖をモチーフとした布があり、肩を覆い、体の前で結ばれる。


 バックにはファッションと物を入れる性質があるが、私は未来の人が使うバックは現在のバックが重たくなる事を改善されていて、スタイリッシュで軽いと考える。



【牛山から一言】
 自由に考えている点が評価できます。内容以前に、自由な発想があるかどうか、利用者の精神的ニーズを感じ取ろうとしているかどうかがポイントです。


⇒改善のポイント
 ここに書かれている内容は、実用新案を申請できる可能性があります。実用新案とは、特許とは違い、「物品の形状、構造又は組合せ」に関する知的財産権を指します。
 生活者のニーズにあわせて、例えば、赤子を前で抱いた状態でもかわいく美しくありたいという女性の欲求にあわせた商品企画を掘り下げていけば、面白い発想が出て来るかもしれませんよ。このように、特定の市場をターゲットとした、特異な発想も検討してみましょう。世界には、90億人を将来は超えるという人口が存在します。妊婦さんや、赤子を対象としたベビー用品関連の市場というのも実は極めて大きなものです。働きながら子育てをする女性を助ける商品や、両手を使わなければならない人が使いやすい商品(レスキュー隊や登山家など)の企画を考えてみるといいでしょう。

 

 特定の部位(筋肉)に重さがかかりすぎる場合、一部の筋力を酷使する形になるので、命がけで登山をする冒険者の場合、もしかすると装備品として、重力を分散させ、特定の筋力にかかる負荷を軽減することは価値があるかもしれませんね。


紹介したいで賞


【牛山から一言】
 これはとてもメルヘンな内容です。この投稿も、発想が自由ですよ。合格したいという気持ちはわかりますが、いつの間にか、大事なことを忘れてしまっていないでしょうか?合格したいので、皆同じ方向性で書いてしまいます。○○にからめて書けばいいという指導もあるようですが、そうすると皆同じ内容になるということです。そういう意味で、「紹介したいで賞」という賞を急遽用意して、ご案内しました。
 環境情報学部は、「創造性を重視する」と言っています。皆が同じ解決策を思いつこうとしており、世の中の問題が解決しない時、創造性がある人は別の角度から物事をみるため、ユニークな問題解決につながることがあります。まず前提として、皆同じことを言いがちだと思ってください。受験生は、何かしらちょっとした差をつけようと考えるものですが、その時に、流行のキーワードや、譲歩構文、原因を書いて対策案を書くなどの方向性に走りがちです。残念ながら、こういうことをやってもほとんど差はつきません。一方で独創性は、差がつきます。

 

⇒改善のポイント
 最大の改善のポイントは、実効性、実用性、現実のニーズなどの点から、説得的かつ魅力的に内容を表現し直すことです。
 ここは非常に重要なポイントなのですが、今回この答案は意外に思うかもしれませんが、自由に発想しているため、点数が高かったんですね。しかし、上記のような評価軸から減点せざるを得ませんでした。
 減点を防ぐだけでなく、この点については、説得的に話を展開すれば、逆に加点を狙えます。例えば、幼児向けのバッグ市場や、十代の若い女性向けのファッションアイテムとして、数百年後に流行する可能性を否定できないことを示せば面白いかもしれません。しかしながら、風船のヘリウムガスには、物理的にものを軽くする限界が存在しますので、なんらかの別の技術革新がなければ、ものを手軽に上げることができないということになってしまいます。このあたりについては、さすがに評価が大きく分かれると考えられます。


牛山賞



【牛山から一言】

 今回送っていただいた答案の中で、唯一ソーラーパネルという古いと言ってしまえば古い技術について言及し、その可能性を模索した内容でした。評価できるポイントは、微弱なエネルギーでもエネルギーを蓄電できる技術が本格的に可能になった場合、対象市場が極めて大きいことです。また、他の人が考えていないという点も評価できます。
 エネルギーの変換効率が上昇した場合、これらの商品がばかにならないかもしれません。意外に世界中の人のバッグにソーラーパネルはついているかもしれませんね。今後の技術革新に期待ということで、特別な賞を用意してご紹介します。

 

⇒改善のポイント
 答案構成を変えると評価が上がります。今は杓子定規的ですが、基本を守りつつ、説得的に自論を展開すれば、評価が上がるでしょう。もっとここは説得してほしかったなという印象があります。要は、論証を試みるポイントを変えるということです。
 今の時代、テーブルの上に置いておくだけで充電できるという技術がありますが、これらと、このバッグを関連付けても面白いかもしれません。これらの従来的な技術に加えて、自宅の中で、ロボットが充電する仕組みを考えるのもいいでしょう。要は、一定程度自動化できればいいわけですから、どうやれば自動化できるかと発想を広げていけば、付加価値が大きくなります。その上で、それらの企画構想を、説得的に語ることが大切になります。


チャレンジャー賞

 未来の人はどのようなバックを利用しているだろうか。
 私は、IOTバッグが利用されていると考える。具体的には、カバンに搭載されたセンサーによってカバンに入れている物を把握、内容情報がスマートフォンに送られる。その情報がクラウド上で各個人のスケジュールともリンクされ、必要な物、足りない物をスマートフォンを通じて音声や振動、文字情報から把握できる。カバン本体は、技術者とデザイナーが共に開発した、デザイン性の高いものである。
 私が上記のように考える理由は主に2点ある。(1)IOT産業のさらなる拡大が見込まれる点(2)ユニバーサルデザインにつながる点である。現在、IOT産業は拡大し続けており、2020年までには2倍以上にIOTデバイスが増える試算がある。IOTデバイスが増えればそれだけコストも下がり、カバンといった身近なものにもつけやすくなる。カバンをIOTデバイスとすることによって、盗難や忘れ物の減少にも繋がりうる。カバンの中身を個人の記憶ではなくインターネットに任せることで正確性はあがる。また、その情報を音声や振動、文字など様々な方法で確認することが可能となるため、障害の有無や年齢を問わず利用しやすい。
 以上からIOTカバンが利用されると考える。



【牛山から一言】
 惜しくも3位以内には入りませんでしたが、大変よく書けているので、特別にチャレンジャー賞というものを用意しました。

 

⇒改善のポイント
 答案の方向性が機能の組み合わせ的な内容でしたが、せっかくユニバーサルデザインなどにも言及するのであれば、このあたりについてコンセプトでくくることをすればもっとよかったでしょう。
 例えば、「障害を持っている方でも利用しやすいIOTバッグ」とか「不便さとストレスを解消するIOTバッグ」などと、コンセプトメイキングすることで、利用者にとっての価値を伝えやすくなります。環境情報で求められているリーダーシップとは、このように、何らかの創造的な内容を人に確実に伝える能力の類いでもあります。


めちゃ面白いで賞



【牛山から一言】

 これは文句なしに面白いです。

 

⇒改善のポイント
 答案構成を変えて、魅力的に伝えることで、この答案は大幅に点数が上がります。企画を伝える際に、魅力度が上がるコツがあります。実現性やインパクトについて言及し、企画について、付加価値をつけることが大切になります。


奇想天外で賞

 想定として、2027年のリニアモーターカーが登場した時代を考える。その中身は以下の3点は必須であろう。
 第一に、Bunko Phoneというツールだ。これは、文庫本サイズのスマホと考えてよい。電子書籍でもある。この「文庫ホン」は、文庫本でもあるため、手帳の機能も充実している。Suicaのような決済も可能。とりわけ、リニアを利用する際には、リニア特別決済が文庫ホンに付く。この機能は、リニアの超電導で被爆するため、リニア乗車前と後での被爆量が見える化される。
 第二に、品川駅から名古屋駅まで40分。荷物を持って移動するビジネスパーソンがリニアを多く利用する傾向にある。多くは、グローバル大企業に勤務する、スーパービジネスパーソンだ。彼らが会社から支給された鞄は、企業のそれぞれの味が出ているデザインである。例えば、JR関係者とすぐわかるように、リニアの形をしたバッグを背負う。トンネル内で緊急事態に遭遇した際、トンネル出口まで2.5キロぐらいは歩いて脱出する。そのため、みな、背負うタイプの鞄を携帯している。1キロ以内とリニア乗客義務に定められているので、日帰りすることを前提としてリニアの形をしたバッグを背負っている。トヨタ自動車の社員は、プリウスの自動運転を象徴するかのような鞄のデザインで、プリウスを背負っている。他の企業は推して知るべし。
 第三に、緊急時に必要な最低限の食糧を背負っている。軽量化された食糧を水がなければ増やせないが、意外なことに、高野豆腐が入っている。これには既に味付けされているので、ミネラルウォーターだけかければ1食分は満たせる量である。救助を待たねばならないときは、文庫ホンが確実にGPS対応で事故現場が管制塔に連絡される。
 以上のように、鞄の中身には文庫ホンと高野豆腐という、温故知新のツールが入っているのであった。2027年、あなたは伝統の再創造でどんな鞄をしょっているだろうか?



【牛山から一言】
高野豆腐とは奇想天外ですね。SFCの評価基準からは外れると思いますが、自由に考えるという一点において、参考にして頂くためにご紹介しました。まずは自由に考え、あとから分析的に論理的に考えていくとよい発想になりますが、自由に考えるというステップがないと、生まれない類いの構想が存在することも確かです。

⇒ワンポイント提言
自由な発想そのものをシステム化するという発想法があります。この発想法は、何の関連もないキーワードを組み合わせ、そのつながりで何かが生まれないかを考えるというものです。

 

「無限プチプチ」というオモチャは、「しりとりで出たキーワードを無理やり結び付けてアイディアを出す発想法」から生まれています。

 

この商品の開発者の開発秘話が興味深いのでご紹介します。

 

例えばこんな具合です。

 

ネコ
→コーラ
→ライブ
→ブラシ
→シャベル
→ルーレット
→トンボ
→ぼうし
→しまうま
→マスク

 

こうやって出てきた言葉をおもちゃにできないかを考えます。

 

このように、自由に発想するからこそ、生まれる大ヒット商品も存在します。
モンモンと考えてどうにもならないなら、手をすばやく動かしてみるのは一つの方法ですよ。

 

今回は「自由に発想する価値」という意味でご紹介致しました。

大事なこと


 最後に大事なことをお話ししておきます。このページを見て、「アッチのアイディアとコッチのアイディアで、どちらが点数が高いの?」というようには、あまり考えないようにしてください。見られているのはアイディアの内容ではありません。今回の小論文コンテストは、そもそもコンテストのために実施したわけではありません。
 みんなで投稿したものを持ち寄り、慶應SFCに合格するための発想力を養うためでした。この意味で、実際に参加してみた人、3~5分でもいいので、考えてみた人は、それなりに「生みの苦しみのようなもの」を味わった人もいるかもしれません。
 振り返ってみてください。自分が未来のバッグを考える時、どのように頭を働かせましたか?
 私は今回の解答例を約1分で思いつき、10分位内に書きました。これができる最大の理由の一つは、私がお師匠さんから教えてもらったこと、「自分の目で見て自分の頭で考えなさい」ということを素直に実行しているからというのは理由の一つだと思います。
 未来がどうなっているのかを見ようとすることは、「未来の映像が見える」ということです。未来の映像が見える人とは、自由に発想する人であり、よくものを知っている人であり、そして何よりも、見ようとしている人です。しかし、私たちは一般的に勉強のやりすぎで、自由に考えることを忘れてしまい、限定的に考えるようになりがちです。
 原因を考えてみると何が言えるのか?とか、分析してみよう・・・とか、過去にどんなデータがあるのか?とか、将来流行するのは、勉強した内容によると・・・とか、ついつい考えてしまっていませんか?
 感性的に考えるとは、いくつも存在する原理原則を頭の中に思い浮かべながら、今回の場合に関して言えば、未来人の気持ちや心を感じ取り、欲求を感じ取り、未来の映像を見ようとすることです。
 アップルの創業者である故スティーブ・ジョブズは言いました。「私たちは未来がどうなるかを知ることはできない。」「しかし、私たちは、私達がどこに向かっているのかを感じることはできる。」この言葉は、未来を見るための考え方であり、センスや感性をフルに活かした発想の大切さを説いたものです。そして、スティーブ・ジョブズは、世界でも、もっとも鮮明に人類の未来を見た人物の一人でした。会社に十分すぎるお金がある時に、こういうことやりたいんだと言っていた人ではありません。赤字で倒産寸前の会社で、全員が反対するのに、「私がこの会社のCEO(代表取締役)だ。」と言って、無謀とも思える方向にかじをきります。それだけ確信めいたものがあったのでしょう。
 ゆめゆめ、コッチとアッチでどちらの点数が高いの?というような、些細なことに気を取られないようにしてください。そのような解釈は、感性の世界に無理やり解釈をはさもうとするようなものです。解釈論はいかようにも成立するので、解釈の問題にする人はなかなか小論文の点数が伸びません。
自分の胸に手を当てて、自分はどう頭を働かせたのかを考えてみましょう。ハウツーの手順を守ったかどうかではありません。それは手順化、左脳化思考です。頭の働かせ方がどうであったのか、どう働かせようとしたのかが大切です。


たくさんのご応募有難うございました

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