99-1 論文の本質とは、見えないものが見えることである
小論文試験は何のためにあるのでしょうか。この問いは、学問は何のためにあるのでしょうかという問いに似ています。優れた論文を書く人は、一流の研究者と言えます。一流の研究者は、なぜ一流なのでしょうか。その一つの答えは、他の人には見ることができなかったことが見えているということです。アイザックニュートンも、アインシュタインも、ガリレオも同じです。
素晴らしい文章を書くことも重要です。論理のつながりが分かる文章を書くことも重要です。背景知識も重要です。しかし、これらのことは、どれも本質的に論文の価値を決定するとは言えません。
他の人が見えなかったものが見えたという形跡があることが、キラリと光る論文の条件と言えます。※東京大学のある教授は優れた論文について問われたところ、キラリと光るものがあるかどうかだけだと述べたそうです。
先日私が、東工大の図書館で、論文の書き方関連の書籍を見ていた時、「一流の研究者」に関する書籍が目にとまりました。私はあまり興味が無かったのですが、何気なく、その本に手を伸ばし、内容を読んでみました。その書籍の最初の方には、第六感の話が書かれていました。5感を通して、世の中を見るのではなく、第六感を用いて世の中を見ることができることが一流の条件ということでしょう。
99-2 一般的な論文指導の限界
ところが、一般的な論文指導の現場では、いかにして物事を見ることができるようになるかということについては、指導の対象外です。そもそも、教える側があまり物事を見える人ではないというケースもよくあります。
そのため、ほとんどの論文指導が、以下の点を指導して終わりになっています。
- 1)文章のアウトラインの指導
- 2)文章表現の改善
- 3)論理的つながりの改善
これらは、すべて、アウトプットの改善です。ところが、インプットを変えなければ、アウトプットの質は変わっていきません。
小論文を誰に教えてもらおうかと考えている人は、このインプットの改善をしなければならないということをすっかり忘れていることが少なくありません。
そして、毎日論文を書くような意味のない対策をやってしまいます。それでも、才能がある人は受かります。また、ラッキー合格の人、英語や数学ができた人は受かります。
99-3 見えるようになる方法
見えるか見えないかは、第一に生まれつきです。第二に幼児までに決まります。第三に、成長した後に、速読などをすることによって決まります。
ラマヌジャンのような天才は生まれつきです。幼児までに脳を鍛えることができた人は、物事が見えるようになります。それも難しい場合は、速読などの方法で後天的に鍛えるほかありません。
当塾が速読や加速学習に力を入れているのはこのためです。
99-4 単なるアイディアであるという勘違い
世の中には、アイディアを軽視する人と、アイディアを重視する人がいます。知的財産権などは、アイディアを重視する考え方の現れと言えるかもしれません。
アイディアを軽視する人は、アイディアを単なる思い付きだと考えています。もちろん、アイディアは単なる思い付きの場合もあります。
A×B、A×C・・・という具合に、なんでもかけあわせて考えていけば、いつか良いアイディアが出てくるかもしれない・・・という考え方は、この延長線上の考え方です。
しかし、アイディアというのは、「見えた結果」であることも少なくありません。分かりやすい事例は、ラマヌジャンが提供していた定理や公理かもしれません。ラマヌジャンは毎日のように、定理や公理をハーディという教授に提出していました。彼のアイディアとも言えるこの業績は、彼の死後約100年ほどかけて、多くの数学者の力によって証明されたと言われています。
99-5 発明も同じ
発明も同じです。多くの人は、発明をする人は、何かアイディアを思いついたと考えていることが少なくありません。本当はそうではありません。もちろん、横から思いついた現象を観察してみて、これはアイディアの組み合わせにすぎないのだと解釈することはできるでしょう。しかし、発明を行う人がすべてそうではありません。
頭の働かせ方が違うということです。自分が観察したい内容を見て、そこで何が起こっているのか、何が今後起こるのかを見て、見えた内容を工学的な図式に落とし込むと、それは特許になります。
私が論文試験で、高い点数を取ることができるのも、特許を取得できるのも、仕組みは同じです。見えたものを書くから、高い点数を取ることができます。
99-6 一流に触れる
私の意見ではありませんが、見えるようになる人物になるためにどうすればいいのかという点について、ある学者は、一流に触れなさいと述べているようです。
大前研一氏に学び、私は物事がより一層見えるようになったのでしょうか。直観的に言えば、私は大きく二つの成長があったと思います。第一の成長は、世界一と言われるマッキンゼーの見方を吸収したことです。大前氏は、マッキンゼーの方法論と、MITの科学的な方法論の両方を教えることができるだけでなく、単なる近視眼的な帰納法的な論理のものの見方をしない高度な知性を持ち合わせていました。世界トップのトップと誰よりもひざを突き合わせるという稀有な経験と、IQ200を超えるという高度な知性と、マッキンゼーという世界的な機関という、知性がミックスされるような知の巨人は、世界に数えるほどしか存在しません。その大前氏に、単なる帰納法的な近視眼的なロジックである論理ではない、高度な論理思考を指導してもらえたことは、私にとって大きな財産となりました。世の中にはエセ科学が氾濫しています。単に論理的であるというだけで、その背景にある広大な論理に目をやることができない見せかけの科学論はあふれています。このような、物事を見誤る見せかけの計測主義、論理主義は、間違った判断を人にもたらします。第二の成長は、知性に触れるという経験です。
99-7 どうやって小論文の対策(見えないものを見えるように)をするのか?
ものの見方を変えることが大切です。当塾では、牛山がどのように考えて物事を見ているのかを教えます。
その結果、頭の使い方が変わり、平凡で月並みな意見を脱却するようになります。
99-8 まとめ
見えないものが見えるようになることは論文対策で最も重要なことです。
小論文に関しては、以下の方法で見えるようになります。
- 1)一流に触れる
- 2本をたくさん読む(情報収集する)
- 3)牛山と接触する(牛山の授業を聞き、牛山が書いた本を読む)