vol.1



こんにちは。

牛山です。


それでは早速本日の内容です。



まずこのメルマガを読んでもらう前に断っておきたい
事があります。


小論文は以下の解説を全く理解できないという人や
めんどくさそうだからなんだかよく分からん!

という人でも、問題なく短時間である程度まで
実力をぐっと引き上げる事ができます。



もう一度言います。


問題なく短時間である程度まで
実力をぐっと引き上げる事ができます。


これは、全国の高校で直接小論文を教えているからこそ
分かる経験かもしれませんが、メキメキ実力がつきます。

小論文とは・・・
というところから試験向きの小論文対策を、
一から解説するからですね。


------------------------------------------------







━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●実力テストの解説
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



実力テストは、小論文の問題で・・・

敵対的買収はいい事か悪いことか、自由に意見を述べなさい
というものです。

一時期ライブドア問題などで、日本が大揺れに揺れた
あの話題を今一度考えてみたいと思います。

遊びで、考えて解いてみてください。


↓得点力の目安です。

-------------------------------------
まったく構成が浮かばなかった 30点 
とりあえず書けた 50点  
かなり自信がある 70点 
合格を確信している 90点→まあ、勘違いも多いんですが
-------------------------------------


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●実力チェックテストの説明と解答例
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ここでの解説は、拙著:牛山の小論文技術習得講義 から抜粋したものです。

---------------------------------------------------------------------



敵対的買収は良い事か?それとも悪い事か?

課題文が2つあるというのがこのような問題の典型的なパターンだ。
一方の課題文では、『敵対的買収は悪い。』と主張し、一方の課題文では
『敵対的買収はいい』と言っているとする。

【賛成の立場  ある生徒A君の解答例  】
私は敵対的買収に賛成だ。
敵対的買収は確かに、その会社の社員にとっては受け入れがたいものかも
しれない。しかし、株式を市場に公開し、上場するという事は、敵対的買収
を受ける可能性、リスクを受け入れるという意思決定をしたという事である。
その意思決定をしている会社に入社を決意したという事は、株主がTOB
などの敵対的買収によって変わる覚悟もあったという事である。
市場から直接資金を集める事ができるという、上場のメリットだけを受け
入れておきながら、そのルールであるTOBを否定するような、デメリット
はいらないという論理はだだっ子の子供の論理である。
従って敵対的買収は日本経済の発展の為に必要なルールであり、そうする
ことによって日本経済が世界経済から取り残されないようになるのである。
われわれはこの事実を認識し、敵対的買収を批判する事をやめなければな
らないだろう。


さて、右の文章を読んでどう思っただろうか?
もしかすると、うーんそうかぁテレビを見ていたら、敵対的買収はなんだ
かレイプのようにひどい行為だと思っていたけど、これはきちんとした法律
上意味のある事で良い事なんだなぁ。
敵対的買収がだめなんてのは子供の意見だぜ。

こんなふうに思ってしまったら、まんまと言葉のトリックにだまされたと
言っていいだろう。
超一流のインテリなら敵対的買収がどのようなものでどうしてそれがいけない
かを知っている。有名な大学の教授ならおそらくきちんと理解しているはずだ。

答えは一つだ。よく分からないような問題も目的と立場が決まれば、一つである。
あなたはどうして上の文章にだまされてしまったのだろうか?
それは真実をまだ勉強していないからである。
敵対的買収そのものが、株式市場において、その市場を構成している国民に
とって果たして本当に有益なものであるかどうかを考えなければならない。
実はこのことは1970年代に既にアメリカでさんざん議論されている。
その結果どうなったか?
悪くえげつなく言えば、金持ちが勝利したのである。
世界を動かしているのは、資本力のある資本家だ。
法律も条約も、国際機構も彼らが作ったルールによって運営されているのが
実情である。
資本主義というゲームに勝利した彼らはさらに自分達に都合のいい世界にルール
を作り変え世界を支配している。

そんなことはドラマみたいで信じられないと思うだろうか?
偉大なるアメリカの経営学者ピータードラッカーは、人が幸福になる経済、
経営を研究していたが、強くこの敵対的買収を批判していた。
例を挙げたらきりがないが、どうして飢餓輸出といって、その国で飢えで死ん
でいる人が増加しているのに、食料を輸出するような悲劇が今でも続いているのか?

どうして世界中でここまで格差が拡大しているのか?
実は、こういう所に原因がある。

話を戻そう。
敵対的買収は、私達にとってそのルールは必要なものだろうか?
もっと言えば、有益なものだろうか?
一部の資本家にとって笑いのとまらないルールであって私達の生活にとって
本当に有益なのだろうか?
これらを判断するには、いくつかの有名な経済理論と、データを知っておく
必要がある。
ここでいろいろと挙げても仕方がないので、かいつまんで言うと、答えは
NOだ。

つまり、敵対的買収は経済全体の活力を損なわせる。
どちらかと言えば、一部の金持ちにとって有利なルールなのである。

【反対の場合  ある生徒B君の解答例】
私は、敵対的買収に反対である。
敵対的買収に賛成する側の論理は、敵対的買収そのものが、合法的なも
のである、もしくは、経済的に多くの人にとって有益なものであるとい
うものである。
 しかし、本当にそうだろうか。法律の理念から言えば重要な事は、そ
の社会を構成する国民にとって有益でかつ平等なルールを作る為に法律
を整備する事である。
また、資本市場を形成する事を可能にしている社会の構成員に平等に有
益かどうかは、データと理論をバランスよく吟味しなければ判断できる
問題ではない。
従って、これらに対する言及が無いままに安易に敵対的買収に賛成する
態度は早計と言えるだろう。
 例えば、いくら法律に従っていても、『もうあなたはこの書類に印鑑
を突いてしまった
のですよ』と消費者を法律をたてに騙す悪徳業者がはびこる事は許され
ないし、一部の資本家だけが利益をあげた事だけを指して、長期的に経
済全体への影響を考慮しなければ十分にデータを活用したとは言えない。
具体的な例を挙げれば、敵対的買収をし、会社の資産をばらばらにして
売り払うなどの投機的な経済活動によって一部の資本家が巨額の利益を
あげたからと言って、一般市民は何の利益も得ていない。経済的には何
の生産性も無いのである。
従って私は、敵対的買収に反対である。


この文章は歯切れが良くない。
論点にばらつきがある為に明解さに欠ける。
しかし私が教授の立場なら、こちらに点を多く出すだろう。
ここが極めて重要な学びである。
少なくともこの生徒は、法律は正しいに決まっているという先入観を
持っていない。
法の整備を必要に応じて行うべきであるという立場を取っている分、
問題意識が高いと評価する。
小論文は文章のうまさや論理だけが配点基準では無い。

注意※この反対の立場での主張には明確な論拠が無いので、論争の知
識をここで披露してもかまわない。

注意点2※もしこういう問題が出題されれば、本当に見たいのは論証
能力というよりは、鋭い観察能力、あるいは、社会にどれだけ開いた
目を持っているかだと思っていいだろう。若いなりに、若い見識、考
えを披露していただきたいものだぐらいに考えているかもしれない。
こういう部分、つまり表面的な問題の要求ではなく、その奥のホンネを
クンクンと、かぎ分ける要領のよさが必要だ。そういう意味では、
ここに掲載した解答例以外の視点を披露してもよいという事になる。
本当の要求、本当に相手が見たがっているのは何かという所までよく
考えるようにしよう。

【小論文の構成】 各段落には何をどう書くか?

文章の構成はどうすればいいだろうか?
起承転結は、私はお勧めしない。その代わりに、小論文用の、牛山式
の解法を使う。
その解法の文章構成を【問意理結】と私は呼んでいる。

それでは、各段落に書くべき事を一つずつ紹介する。

第一段落  課題文のまとめをコンパクトに書く  問題設定をする

(解説)課題文のまとめは嫌われる事がある。問題文にわざわざ、課題文
のまとめは必要ありませんという記述が慶應義塾大学の小論文で記載され
ている事もあった。問題用紙に大学がわざわざ書くなど、よほどの事だと
思っていい。金太郎飴のように、同じ主張と書き方に心底ウンザリしてい
る証拠だろう。
しかし、課題文をまとめることによって、それを踏まえた上での論理展開
という事であれば、まとめる事が毛嫌いされる事はないだろう。
例えば、

課題文Aは、マクロ的な視点から○○を述べており、課題文Bはミクロ的
な視点から○○を述べている。どちらも共通するのは○○という事だ。
では△△は必要なのだろうか?という風な文章にする。そしてその上で、
問題を設定する。
問題を設定するというのはどういう事かというと、問題文を読んで、これ
から何かを書くときにその方向を決めるという事だ。具体的には、延命治
療はいい事だろうか?とか、ゆとり教育は必要だろうか?とかいうように、
問題を設定するわけだ。
 小論文を書く時に、最初の関門はココ。
みんな問題の設定の仕方が違ったりする。




---------------------------------------------------------------------

《補足説明》

ちなみに敵対的買収には、資本主義社会にとってのメリットもあります。
株主からしてみれば、会社を乗っ取る会社も、選択肢のひとつにすぎないからです。
ただし、論文の世界では、一部のグループの人にとってどうかということよりも
多くの人にとってどうかという視点が欠かせません。

会社は誰のものか?という問いに対して、マスコミにちやほやされる学者が
『株主の為のものです』と断言するようなシーンがTVで報道されていましたが、
とんでもない事です。

大企業で働く多くの人が、一斉に会社の利益の為に(株主の利益の為に)解雇
されるというのはよくあること。
その何千人という人たちには家族もいたでしょう。
単に経営合理化という視点から言えばそれは当たり前で、優秀な人間が下した判断
かもしれませんが、お金だけで動く世界は多くの人を不幸にします。

それが飢餓輸出のような深刻な社会問題につながっているのです。

政治と経済は、コインの裏と表のようなもの。
表裏一体であり、だからこそ、私たち国民が政治をするどく監視する目を
養う必要があるのですね。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●小論文の秘訣と暴露?話を・・・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





さて、それでは第一回目です。

第一回目は、小論文で少し常識になりつつある、文章がうまければ
小論文で点数が高いというものに関する誤解を解きたいと思います。

文章がうまいと小論文で、点数が高いでしょうか?
これは誤解です・・・とは言い切りにくいのですが、
あまり重要なポイントではないというのが私の見解です。

文章力とは何か?


表現力か?語彙力か?あるいは、構成力か?

非常に範囲が広いわけです。
少なくとも私には、文豪のような繊細な世界観の演出や芸術家のような
卓越した表現力、それから専門用語だらけの博学な印象を与える
格調高い文章力・・・このようなものはありませんでした。

しかし、合格する自信には満ち溢れていましたし、多くの学生が
落ちる小論文試験もダブル合格でした。


そして、重要な事を言いますが・・・この文章力というのは、非常に
つけるのが大変で時間がかかるものです。

きちんとした構成の文章を書く能力は短期間で養成できますが、語彙力や
気の利いた表現などは短期間での養成は難しい・・・
何かを見て、それを思い出す類の記憶と、最初から完全に再生して
表現する事ができる記憶では、記憶の質が全く違うのです。


・・どういう事でしょう?

例えば薔薇という漢字を読む事ができない人はなかなかいないですよね?

ではこの薔薇という漢字を書いてくださいと言われたらどうでしょうか?

わりと難しいのではないでしょうか?
ここで起こった現象がそのひとつです。

思い出すというのは、何かを見てそれが分かるという記憶とは質が違うのです。
専門的な用語はここでは使いません。
たった1000字程度しか書かない小論文ですから、このような表現力を鍛える
為に時間を使いまくっていると・・・対策の時間が確保できずに
ゲームオーバーとなりやすい。
これが現実です。


さて、今日の内容をカンタンにまとめます。

小論文試験の対策では文章力を鍛えるというアプローチは不要

↑完全に不要と言うわけではありませんが、大雑把にとらえておきましょう。

小論文試験では文章力が占めるウェイトは低く他の対策をきちんとする
事で高得点を狙う事が十分に可能というお話でした。



           技術習得アドバイザー
                   牛山 恭範



小論文の添削はこちら

PageTop




HOME - 標準編 - 上級編 - 添削サービス- 7日間プログラム - プロフィール